『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』― 甘酸っぱい青春と笑いを散りばめて描く男子高校生たちの奮闘劇

  • 2023年05月05日更新

映画『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』メイン画像
「日本のベニス」とも称される富山県射水市の美しい町並みを背景に、地元の危機を救おうと奮闘する男子高校生三人組の挫折と成長を描くハートフルコメディ、『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』が2023年5月19日(金)より富山3館先行公開、5月26日(金)よりユーロスペース、池袋シネマ・ロサほか全国順次公開される。思春期まっただ中の若者たちを通して、伝統と人々のつながり、そして新たな時代への希望を、甘酸っぱくもコミカルに描く青春映画だ。


愛する地元がピンチ! 男子高校生三人が埋蔵金発掘に立ち上がる

トオル(酒井大地)、アゲル(宮川元和)、ヨシキ(長徳章司)は富山県射水市の「内川」沿いに住む、男子高校生三人組。家族や将来についてそれぞれ密かに悩みを抱えながらも、大好きなラーメンを食べ、熱い風呂に浸かり、同級生の女子・花凛(原愛音)と会話を弾ませ、久しぶりに開催される「放生津曳山祭」を心待ちにしていた。しかし、祭りを仕切る会長であるトオルの祖父・松蔵(泉谷しげる)が本番前日に急死。家に借金があることもわかる。さらに、町のあちこちでリゾート開発会社への借金があることも判明。立ち退きを決める住民も出てくるなか、トオルたちは蔵で古い巻物を見つける。そこには“埋蔵金”の文字が。大好きな地元を守るため一攫千金に動き出す三人だが――。

映画『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』画像1 映画『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』画像4

「出来んこと考えんと、出来ること考え!」

映画『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』画像3富山県射水市を舞台にした2016年公開の映画『人生の約束』のスタッフが再集結し、新たに製作された本作。両作の題材となった「放生津曳山祭」とは、地元で370年続いている伝統的な秋季祭礼だ。

今作の劇中では、新型コロナの影響による中止を経て祭りの復活を待ちこがれる地元の人々の様子や、そのために尽力した松蔵の思いが描かれる。生前の松蔵が日頃言っていた「出来んこと考えんと、出来ること考え!」という言葉は、コロナ禍でもがきながらも道を模索した人々への共感や、未来を拓かんとする若者たちへの力強いメッセージが込められているようで、思わず感じ入った。

注目の若手とベテラン俳優が集結。 富山県出身キャストも多数出演!

映画『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』画像2主人公のトオルを演じるのは、スターダストプロモーション主催の「第1回スター☆オーディション」で男子部門グランプリに輝いた、酒井大地。トオルが好意を抱く同級生の花凛役には、原愛音。アゲル役の宮川元和とヨシキ役の長徳章司は共に富山県出身で、オーディションから抜擢された。他愛もない悪ふざけ、もどかしい恋心、密かに抱えた悩みや葛藤……思春期の感情を若手俳優たちが等身大かつみずみずしく演じる。

映画『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』画像5トオルの祖父母に扮するのは、泉谷しげると丘みつ子。円熟の芝居で物語の要所をキリリと引き締める。そして、射水市(新湊市)出身の立川志の輔が町の医師役で友情出演するほか、富山にゆかりのあるキャストやスタッフが多数参加。富山弁の響きがことさら温かく聞こえるのも、地元独特の空気のようなものを感じるのも、このキャスティングの妙なのかもしれない。さりげなく描かれる映画愛も素敵だ。

「守ること」と「変わっていくこと」トオルたちの描く未来とは――

大好きな地元を “守るため” に奮闘するトオルたちのドタバタ劇を、甘酸っぱい青春と笑いを散りばめて描く本作だが、そこには “守る” ことへの少々シビアな問いかけも垣間見える。トオルたちはどんな未来を描いていくのか――若い世代も、大人世代も、観る人それぞれに感じるものがあるだろう。

飯テロ注意! 食欲を刺激する個性豊かなラーメンたち

個性豊かなラーメンたちが登場するのも本作の見どころだ。「麺処スパロー」のカレー中華、チャーシューと揚げ背脂がたっぷりのった「まるなかや」、「麺屋 いろは」の富山ブラックラーメン……。映画館を出たらすぐ富山に行きたいという衝動に駆られる可能性も大だ。とりあえず、劇場近くのおいしいラーメン屋は検索しておくといいかもしれない。

(文:富田旻)

▼『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』
映画『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』ポスター画像(2023年/日本/110分/DCP/5.1ch/HD )
出演:酒井大地、原愛音
宮川元和、長徳章司、金児憲史、澤武紀行、お姉ちゃん(雷鳥)、しまえりな、山﨑広介、天地龍也、尾島実和、金澤一彦、橋川明美、木村夏樹、ゆういち(雷鳥)
泉谷しげる、立川志の輔(友情出演)/丘みつ子

監督:本多繁勝
脚本:西永貴文 撮影:山下悟 照明:木村明生 録音:瓜生公明 VE:守屋誠一 助監督:廣田 啓 制作:飯塚昌夫 河内隆志 編集:日下部元孝 選曲:原田慎也 音響効果:茂野敦史 VFX:田中貴志 スタイリスト:棚橋公子 ヘアメイク:幸田恵 監督助手:保母海里風 ガンエフェクト:浅生マサヒロ、井上いちろう
タイトル題字:立川志の輔 スチール応援:イナガキヤスト
製作総指揮:石橋 冠 プロデューサー:大井紀子
配給:アークエンタテインメント
製作:AX-ON (c)AX-ON

『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』公式サイト
公式twitter:@bokura_movie

※2023年5月19日(金)より富山3館先行公開(TOHOシネマズ 高岡、TOHOシネマズ ファボーレ 富山、J MAX THEATERとやま)
5月26日(金)よりユーロスペース、池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

  • 2023年05月05日更新

トラックバックURL:https://mini-theater.com/2023/05/05/58087/trackback/