反町流・“究極の上司” の極意とは? —『WOWOWオリジナルドラマ 今どきの若いモンは』主演・反町隆史さんインタビュー

  • 2022年04月01日更新

反町隆史さん主演の『WOWOWオリジナルドラマ 今どきの若いモン』が、2022年4月9日(土)より放送・配信開始する。原作は、就活生やビジネスマンの間で絶大な共感を生み、「1億回読まれた漫画」と話題の吉谷光平氏による同名人気コミック。商社の営業部を舞台に、反町さん演じる“究極の上司” 石沢一と、慣れない仕事に奮闘する新人社員の麦田歩(福原遥)や、麦田の教育係で意識高い系社員の舟木俊(中村海人:Travis Japan/ジャニーズJr.)ら個性豊かな部下たちとのやりとりを描く、“お仕事コメディ”だ。

各回30分、1話約8分のショートドラマを毎回3話分放送する新スタイルで「国民的長寿ドラマ」を目指すという本作。念願だったというWOWOWオリジナルドラマの初主演を飾る反町さんに、作品の魅力や石沢役への意気込みなどをうかがった。


“究極の上司”、石沢一の作り方

作家性の高い作品やエッジィな作品を世に送り出し、ドラマファンはもちろん映画ファンからも注目度の高い、WOWOWオリジナルドラマ。4月スタートの『今どきの若いモンは』では、監督・脚本家・俳優とマルチに活動するアベラヒデノブ氏が脚本を、『全裸監督』ほか多数の話題作で脚本も手掛ける山田能龍氏が監督を務める。約8分のショートドラマ3本立てというユニークな構成も見どころだ。

反町隆史さん(以下、反町):演じる立場としては1話が約8分ですから、展開を早く見せられるところが良いです。1時間のドラマだとリアルに見せるために必要な“間”も描かないといけないけれど、それが無い分、スーパーサラリーマンのキャラクターを作りやすいんです。

WOWOWオリジナルドラマ『今どきの若いモンは』反町さん演じる石沢一は、一見近寄り難いコワモテ課長。その口癖は、若者批判の枕詞の大定番、「今どきの若いモンは……」。しかし、その先には悩める部下たちの気持ちに寄り添う、予想外の言葉が続く。「こんな上司がいたらなぁ」と憧れずにはいられない“究極の上司”であり、同僚や部下だったらどんなに心強いだろうと思えるスーパーサラリーマン、それが石沢だ。

反町:石沢は一見近寄り難いけど、実はすごく人間味溢れるキャラクター。ドラマの中には彼の昔の姿も少し出てくるけど、今の石沢とは少し印象が違うんですよね。石沢自身の成長も描かれるので、共感できる部分が多かったです。

原作は第1話がTwitterで11万RT、25万いいね を獲得した超人気漫画。映像化にあたってはどんなことに注力したのだろうか。

反町:原作は以前読んでいて、作品の内容は知っていたんです。そのうえで台本を読み、どんなシーンがあるのか、原作のどういう部分を大事にしているのか、テレビドラマとして何を訴えようとしているかを把握してから、もう一度原作を掘り直しました。

新人時代の自分にアドバイスするとしたら……

WOWOWオリジナルドラマ『今どきの若いモンは』WOWOWオリジナルドラマ『今どきの若いモンは』『ビーチボーイズ』『GTO』(フジテレビ系)『相棒』シリーズ(テレビ朝日系)……など、90年代半ばから多くの人気ドラマに出演し、俳優としてのキャリアを積み重ねてきた反町さん。そんな反町さんの目には、初々しくも社会人としてうまく立ち回ることができない新入社員の麦田や、頭の回転が早い分、経験より理屈が先行する若手社員の舟木の姿などは、どんな風に映るのだろう。

反町:石沢から見て彼女や彼の良いところは、がむしゃらで失敗を恐れないところですよね。失敗しても気付いてすらいなかったりもする。かといって、打っても響かないのではなく素直にちゃんと答えを返してくれる。そこがすごく微笑ましく思えます。

19歳で俳優デビューしてから約30年。常に第一線を走り続けてきた反町さんにも、慣れない仕事に悩み、必死でもがいた新人時代があったに違いない。もし、当時の自分にアドバイスを贈るとしたら、どんな言葉をかけるかを聞いてみた。

反町:新人時代は、先輩俳優たちに囲まれてただがむしゃらで、生き急いでいた気がします。今振り返ると、もう少し冷静に腰を据えて、ゆっくりやっても良かったかなとは思いますね。役者は早咲きよりも遅咲きのほうが良い部分もある。「人間としても男としても、経験や引き出しを増やしてから世に出ても遅くないよ」と声をかけるかもしれません。

相手に目線を合わせ、人との繋がりを大切にすることがテーマ

WOWOWオリジナルドラマ『今どきの若いモンは』課長として部下に背中を見せ、さりげなく的確に成長へと導く石沢。反町さん自身が後輩俳優の相談に乗ったりアドバイスしたりすることもあるのだろうか。

反町:僕自身も若い頃そうでしたが、男同士で細かい相談をすることはあまりないですね。先輩方の背中を見ながら、役を全うすることや、常に平然としていることの大切さを学ばせていただいたと思います。ただ、現場の空気は主役の人間によっても変わるので、僕が主演する作品の現場は、若い役者たちが楽しくいられる雰囲気にしたいとは思っています。

言葉以上に、先輩俳優たちの行動や生き様から多くを学んできたと言う反町さん。そんな彼の目から見た石沢の良いところや、共感する部分はどこなのか。

WOWOWオリジナルドラマ『今どきの若いモンは』反町:石沢は決して命令もしないし、あまりストレートには言わないんですよ。麦田や舟木の目線に立って、上からではなくちょっとひねって伝える。相手の気持ちを掴むために目線を合わせられるのが彼の良さでもあり、この作品のテーマでもあるんですよね。人との繋がりを大事にしている人だと思うので、そこはすごく共感できます。

たとえ後輩や部下であっても、まずは相手に目線を合わせる。人との繋がりを大切にする。石沢が大切にしていることを、反町さん自身も学生時代のサッカー部での経験から学んだという。

反町:学生時代はサッカーをやっていて、そこで学んだのは隣にいる仲間に目線を合わせて思いやることです。厳しい練習で苦しい思いをしている仲間がいたら、その気持ちを慮って助け合う。それがチームワークだということを、先輩たちや先生から学びました。

年齢を重ね、全部の時間を許せて楽しめるようになった

WOWOWオリジナルドラマ『今どきの若いモンは』反町隆史さんインタビュードラマのタイトルでもある、「今どきの若いモンは」という石沢の決めゼリフ。反町さん自身は、“今どきの若いモン” をどんな風にとらえているのか。

反町:僕がすごいと思うのは、やはりネット社会に対応しているところ。うちの娘もパソコンやスマホを当たり前に使いこなしていますから。その反面、会話をするのも直接じゃなく何かを通してだったり、情報過多だったりにも見えます。そんな中で、このドラマを観て「この人間関係いいな」とか「人との繋がりっていいな」と感じて貰えたら嬉しいです。僕もそうですけど、生きていく中でわかりやすく幸せだと思うことなんて、そんなにないんですよ。ただ、些細な幸せを自分が感じられるかどうかだと思うので、若い世代にもそういった感覚は大切にしてほしいと思います。

昨年12月に48歳の誕生日を迎えた反町さん。実生活では2女の父であり、若さを俯瞰する年齢になった今だからこそよかったと思うことや、価値観の変化を感じるのはどんなことだろう。

反町:年齢を重ねながら自然に価値観も変わってきましたが、今は全部の時間を許せて楽しめるようになりました。昔は気持ち的に急いだり、こうしなきゃいけないと思い込んだり、責任感や欲が前面に出ていたけど、徐々に変化していますね。その要因は、仕事を通して経験を重ねてきたことと、子育てを通していくらか人間としての成長があったからかなと思います。 

目覚まし要らずの、朝のルーティーン

ドラマの中では、缶入りのブラックコーヒーを飲んでリフレッシュする石沢の姿が度々登場する。反町さん自身が仕事に集中するために大切にしているアイテムやルーティーンとは?

反町:ここ10年くらい続けている朝のルーティーンはありますよ。起きる時間はだいたい一緒で朝6時半くらい。ドラマの『相棒』を7年間やっていたんですけど、自然に目が覚めるので一度も目覚ましをかけたことがないんです。

規則正しい生活が反町さんの元気の源のようだが、驚いたのは撮影当日の台本は読まず、先々の台本を読むということ。

反町:その日のセリフはもう前に覚え終わっていて、少し先の台本を読みます。朝起きてから30分くらい集中して読んで、それから朝食を食べて現場に行きます。

悩めるビジネスマンにも、これから社会へ出る人にも観てほしい

WOWOWオリジナルドラマ『今どきの若いモンは』最後に、本作を楽しみにしている視聴者へのメッセージをいただいた。

反町:働いている方はもちろん、これから社会に出る人たちにも観ていただきたいです。毎回いろんなテーマが出てきて、それを一つずつ解決していくので、観た方が「ああ、これはわかるな」とか「共感できるな」と思うところがきっとあると思います。人間模様からも感じるところがあると思いますので、ぜひ楽しみにしてほしいですね。

プロフィール

WOWOWオリジナルドラマ『今どきの若いモンは』反町隆史さんインタビュー反町隆史(そりまち・たかし)/石沢一役

1973年12月19日生まれ、埼玉県出身。フジテレビ系ドラマ『ビーチボーイズ』(1997)、『GTO』(1998)、NHK大河ドラマ『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』(2002)、テレビ朝日系ドラマ『相棒』シリーズほか話題のドラマや映画、CMなどに多数出演。主な映画主演作に『13階段』(2003/長澤雅彦監督)、『男たちの大和-YAMATO』(2005/佐藤純彌監督)、『蒼き狼 地果て海尽きるまで』(2007/澤井信一郎監督)などがある。

作品・放送&配信情報

▼『WOWOWオリジナルドラマ 今どきの若いモンは』
放送開始日:2022年4月9日(土)
WOWOWプライムにて放送【第1回無料放送】
WOWOWオンデマンドにて配信【WOWOWオンデマンドで無料トライアル実施中】
放送・配信:毎週土曜午後10:30〜 ※全8回放送/全22話 各回30分(1話約8分×3話分放送)

番組公式サイト

WOWOWオリジナルドラマ『今どきの若いモンは』キービジュアル原作:吉谷光平「今どきの若いモンは」(Cygames/サイコミ連載中)
監督:山田能龍 脚本:アベラヒデノブ 音楽:渡邊崇
出演:反町隆史 福原遥 中村海人(Travis Japan/ジャニーズJr.)
水崎綾女 / 藤井隆 萩原聖人
プロデューサー:村松亜樹、平部隆明、河添太
制作協力:ホリプロ 製作著作:WOWOW

【STORY】三ツ橋商事営業部。そこに一見コワモテの課長・石沢一(反町隆史)がいた。「今日も残業だ」「働き方改革のうまみなんて俺たちに降りてこない」とグチる若手社員たちに、「……ったく」と鋭い視線を向ける石沢。その言葉の先を待たずに若手社員たちは逃げていく。そんな中、石沢の部署に新入社員の麦田歩(福原遥)が配属される。緊張と不安を抱えて出社する麦田。しかし、指導係の先輩・舟木俊(中村海人)は聞き慣れない横文字ビジネス用語を並べたて、他の先輩社員もテキパキと仕事をこなし、部署の空気になじめない。ひとりデスクでお弁当を食べるのが唯一の心休まる時間。すると、突如石沢が麦田の目の前に現れた。「ったく、今どきの若いモンは……」。石沢の言葉に麦田は――!?

【取材スタッフ】
インタビュー・構成:min
オフィシャルスチール:井上琢也(井上美術株式会社)
ヘアメイク:iNOMATA (&’s management)
スタイリスト:吉野誠


【衣裳クレジット】
ジャケット10万3400円/タリアトーレ(伊勢丹新宿店)、カーディガン3万4100円、クルーネック2万7500円/ともにスローン、パンツ7万3700円/カナーリ(コロネット)、時計78万7000円/パネライ(オフィチーネ パネライ)、その他はスタイリスト私物

問い合わせ先:伊勢丹新宿店 03-3352-1111 オフィチーネ パネライ 0120-18-7110 コロネット 03-5216-6521 スローン 03-6421-2603

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