4月公開映画 短評 ―New Movies in Theaters―

  • 2022年03月28日更新

4月公開映画の中から、ミニシアライターが気になった作品をまとめてピックアップ! あなたが観たいのは、どの映画!?

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4/1(金)公開『アネット
4/1(金)公開『英雄の証明
4/1(金)公開『TITANE/チタン
4/2(土)公開『猿ノ王国
4/8(金)公開『クレマチスの窓辺
4/15(金)公開『気狂いピエロ
4/16(土)公開『あした、授業参観いくから。
4/16(土)公開『メイド・イン・バングラデシュ
4/23(土)公開『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ
4/23(土)公開『インフル病みのペトロフ家
4/29(金・祝)公開『勝手にしやがれ
4/29(金・祝)公開『ツユクサ


『アネット』

カラックス監督の異能ぶり全開のミュージカル

『ポンヌフの恋人』の異才、レオス・カラックス監督の長編6作目で、アメリカのバンド、スパークスのオリジナル曲に乗せて、ロックオペラ調のダークミュージカルを織り上げた。2021年のカンヌ国際映画祭では監督賞を受賞している。挑発的な笑いで人気のコメディアン、ヘンリーは、世界的なオペラ歌手のアンと結ばれる。だが特異な才能を持った娘、アネットが生まれたことから、2人の人生の歯車が狂い始める。冒頭、監督の声による「上映中は黙って見ろ」のアナウンスから始まり、刺激に満ちた仕掛けの数々と怒涛の展開に片時も目が離せない。主演のアダム・ドライバーとマリオン・コティヤールの歌も圧巻だが、中でもアネットの表現にはあっけにとられる。60歳を超えてもぎらぎらとエネルギッシュなカラックス監督の熱情にうれしくなった。(藤井克郎)

2022年4月1日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
2021年/フランス、ドイツ、ベルギー、日本/140分/PG12)原題:Annette 監督:レオス・カラックス 原案・⾳楽:スパークス 出演:アダム・ドライバー、マリオン・コティヤール、サイモン・ヘルバーグ ほか 配給:ユーロスペース © 2020 CG Cinéma International / Théo Films / Tribus P Films International / ARTE France Cinéma /UGC Images / DETAiLFILM / Eurospace / Scope Pictures / Wrong men / Rtbf (Télévisions belge) / Piano

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『英雄の証明』

不条理に翻弄される“英雄”の人生

映画『英雄の証明』メイン画像

『別離』『セールスマン』で米アカデミー賞外国語映画賞を2度制したアスガー・ファルハディ監督作品。本作で第74 回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した。イランの古都シラーズで生まれ育ち、今は借金の罪で服役中のラヒム。その婚約者が偶然17枚の金貨を拾う。借金を返済すればすぐ出所できるが、彼は罪悪感から落とし主に返すことを決意。その善行が報道され英雄に祭り上げられる。だが、SNS である噂が広まり状況が一変。吃音症の息子をも巻き込む大事件に発展する。ミステリー要素も加味されたストーリーの中で浮き彫りになるのは、“英雄”という概念の脆さや誰かの人生を変えてしまうSNSの危険性だ。こうした社会の歪みが、街の色や雰囲気、生活習慣、人と人との距離感が違う異国を身近にする。長所も短所も持ち合わせた普通の男が翻弄される不条理に、何とも言えない不気味さを覚えた。(吉永くま)

2022年4月1日(金)全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2021年/イラン・フランス/127 分)原題:GHAHREMAN 英題:A HERO 監督・脚本・製作:アスガー・ファルハディ 出演:アミル・ジャディディ、モーセン・タナバンデ、サハル・ゴルデュースト ほか 配給:シンカ © 2021 Memento Production Asghar Farhadi Production ARTE France Cinema


『TITANE/チタン』

顔を変形して息子を名乗る女と父親との共同生活

2021年のカンヌ国際映画祭は、何ともすさまじい映画を最高賞のパルムドールに選び出したものだ。幼い頃の交通事故で頭にチタンプレートを埋め込まれたアレクシアは、連続殺人事件の容疑者として追われる身になっていた。顔を変形して行方不明の青年だと名乗りを上げたアレクシアは、すっかり自分の息子だと信じた消防隊長の父親と共同生活を始めるが……。身の毛もよだつようなバイオレンス描写といい、ゆがんだ疑似父子関係の緊迫感といい、思わず声を上げそうになる場面が連続する。有無を言わせぬめちゃくちゃな設定に意味の分からない突飛な展開と、映画の常識を逸脱した表現が、まさに見ているこちらの頭を刺激しまくる。長編第1作の『RAW~少女のめざめ~』でもあっと言わせたジュリア・デュクルノー監督の鬼才ぶりに度肝を抜かれた。(藤井克郎)

2022年4月1日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2021年/フランス/108分/R15+)原題:TITANE 監督・脚本:ジュリア・デュクルノー 出演:ヴァンサン・ランドン、アガト・ルセル、ギャランス・マリリエ ほか 配給:ギャガ © KAZAK PRODUCTIONS – FRAKAS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA – VOO 2020


『猿ノ王国』

誰も責任を取らない日本社会の体質を風刺

映画『猿ノ王国』メイン画像『狂覗』『半狂乱』といった社会性をはらんだ過激なカルト作品で知られる藤井秀剛監督が、今度は日本社会の無責任体質をテーマに、はっと息をのむサスペンススリラーに仕上げた。某テレビ局の最上階にある役員室で、コロナワクチンに関する危険な特集を放送すべきかどうかの会議が、ディレクターやキャスターらが集まって始まろうとしていた。一方、地下の編集室では、特集の再編集を命じられた編集マンらが何者かによって閉じ込められる。2カ所で起こっている出来事をテンポよく切り替えながら、誰も責任を取りたがらない日本的な企業風土を諧謔味たっぷりに表現。マスクの着脱で力関係を描写するなど、コロナ禍のネタを巧みに取り入れながら、普遍性のある社会批評にもなっている。あっと驚くラストを含めて、息も継がせぬ展開にしびれた。(藤井克郎)

2022年4月2日(土)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2021年/日本/77分) 監督・脚本・撮影・編集:藤井秀剛 出演:越智貴広、坂井貴子、種村江津子、分部和真、足立雲平 ほか 配給:POP 2021©POP CO.,LTD

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『クレマチスの窓辺』

「旅人の喜び」を表現する映画的な時間と空間

クレマチスとは多年草のつる性植物で、「旅人の喜び」の花言葉を持つ。東京で暮らす25歳の絵里は、一週間の休暇を取って、亡くなった祖母の家がある地方の町にやってきた。水辺にたたずむこの静かな町で、いとこ兄妹や靴職人、古墳研究者らとゆったりとした時間を過ごすうち、都会生活では味わえない穏やかな気持ちに包まれていることに気づく。島根県出身の永岡俊幸監督の劇場公開第1作で、ふるさと島根を舞台に、何とも映画的な時間と空間をスクリーン上に表現した。特段、何か出来事が起こるわけではないが、ゆっくりと流れる川も、ちらっと断崖が見える海辺も、靴屋も花屋も大きな蔵がある祖母の家も、すべてがこの映画の時を刻んでいて、そこに出演者が自然に溶け込んでいる。いつまでもこの世界に浸っていたいと思わせる小品だ。(藤井克郎)

2022年4月8日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2020年/日本/62分) 監督・共同脚本・編集:永岡俊幸 出演:瀬戸かほ、里内伽奈、福場俊策 ほか 配給:アルミ―ド © Route 9

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『気狂いピエロ』『勝手にしやがれ』

名優ベルモンドへの哀悼を込めて代表作2本を同時公開

映画『勝手にしやがれ』メイン画像昨年88歳で逝去したフランスの国民的大スター、ジャン=ポール・ベルモンド。彼の代表作で、ジャン=リュック・ゴダール監督と組んだヌーヴェル・ヴァーグの傑作『気狂いピエロ』と『勝手にしやがれ』が哀悼を込めて同時公開される。なお、『気狂いピエロ』は2015年のレストアで明快な色彩が蘇った2Kレストア版、『勝手にしやがれ』は2020年公開60周年を記念して作られた4K レストア版(日本初公開)となる。

公式HP 予告編動画
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本 応援: SLOBE IÉNA (『勝手 に し や が れ 』 )、Charles Chaton (『気狂 い ピ エ ロ 』 )、OPAQUE.CLIP(『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』) 配給:オンリー・ハーツ

『気狂いピエロ』2Kレストア版

映画『気狂いピエロ』メイン画像金持ちの妻との生活に退屈さを感じているフェルディナン。ある夜、かつての恋人マリアンヌと再会し、彼女の部屋で一夜を明かす。翌朝殺人事件に関わってしまい、彼女の兄がいる南仏へ共に向かう。彼らは海辺の一軒家で暮らし始めるが、マリアンヌが失踪。彼女を探すギャングと一悶着起こした後、ようやく彼女を見つけるが……。台詞と色彩が鮮やかに弾け、本能のまま破滅へと疾走する2人。スクリーンの彼らに置いてけぼりを食らわないよう必死に追いかけるうちに、いつのまにかこの独創的な世界の虜になっている。哀れで滑稽なフェルディナンと無邪気な悪女のマリアンヌ。それぞれを演じるベルモンドとアンナ・カリーナの魅力は唯一無二といえるだろう。(吉永くま)

2022年4 月 15 日(金)より全国順次公開
(1965年<2015年2Kレストア版>/フランス/110分)監督・脚本・台詞:ジャン=リュック・ゴダール 出演:ジャン=ポール・ベルモンド 、アンナ・カリーナ、グラツィエラ・ガルヴァーニ  ほか 字幕:寺尾次郎 © STUDIO CANAL

『勝手にしやがれ』4Kレストア版

映画『勝手にしやがれ』サブ画像自動車泥棒の常習犯ミシェルは、マルセイユで盗んだ車でパリに向かう道中、白バイの警察官を射殺。パリに着くと、以前南仏でベッドを共にしたアメリカ人の留学生パトリシアに会いに行くが、彼女はつれない態度をとる。結局ミシェルを受け入れるパトリシア。だが、殺人逃亡犯としてミシェルの顔写真が新聞に掲載されると彼女も事情聴取されることに。彼は次第に追い詰められていく。短く哲学的な台詞の応酬やジャンプ・カットは今見ても刺激的だ。モノクロのパリの街で、ソフト帽を斜めにかぶりくわえ煙草でニヒルを気取る一方、好きな女性に子犬のようにつきまとい駄々をこねるミシェル=ベルモンドの憎めない魅力が炸裂。ドライなタッチで描かれる刹那的な生き方と、彼なりの純愛とのギャップにも痺れる。(吉永くま)

2022年4 月 29日(金・祝)より全国順次公開
(1960年(2020年4Kレストア版)/フランス/90分)監督・脚本・台詞:ジャン=リュック・ゴダール 出演:ジャン=ポール・ベルモンド 、ジーン・セバーグ、ダニエル・ブーランジェ、ジャン=リュック・ゴダール ほか 字幕:寺尾次郎 © STUDIO CANAL

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『あした、授業参観いくから。』

たった一言から想像の世界が広がる映画魔術

『幸福(しあわせ)のスイッチ』の安田真奈監督が、講師を務める演技や脚本のワークショップで活用している教材を基に映画化。23分の短編ながら、すでに公開された大阪や神戸、名古屋での反響が大きく、東京での1週間限定公開が実現した。中学で英語を教える則子が担任を受け持つクラスにはさまざまな家庭環境の子どもがいて、親との距離感も一人一人違っていた。「あした、授業参観いくから」「えっ?」という同じせりふでも、映画の中の5つの家庭では全くニュアンスが異なる。その相違を、余計な説明を加えずに表情や情景描写だけで表現する試みで、オーディションで選ばれた中学生役が一瞬の演技で魅せる。画面には映っていないそれぞれの家庭の事情がたったこれだけの会話からいろいろと想像できる、まさに映画の魔術に出合える瞬間だ。(藤井克郎)

2022年4月16日(土)より東京・新宿K‘s cinemaで公開 公式サイト 予告編動画
(2021年/日本/23分) 脚本・監督:安田真奈 出演:片岡礼子、和泉敬子、前田晃男 ほか 配給:パラサング

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『メイド・イン・バングラデシュ』

劣悪な環境の縫製工場で働く女性たちの絶望と苦闘

主人公のシムは、ダッカの縫製工場で働く23歳の女性。職場環境は劣悪で、狭い部屋に押し込められて時間外までミシン掛けをさせられながら、残業代も支払われない。夫は失業の身で、このままでは生活ができないと腹をくくったシムは、労働者権利団体の女性に提案された労働組合を作ることを決意する。だが署名に協力してくれる同僚は少なく、夫にも反対される。何よりも職場の上司に知られることになり……。バングラデシュ出身のルバイヤット・ホセイン監督が、働く女性の権利がまるで保障されていない祖国の実情を、小気味のよい娯楽映画に仕立てて告発。ダッカの街の喧騒などリアルな映像で、逆境をはねのけようと苦闘するシムたちの生き生きとした姿を活写した。監督の心からの怒りが鋭く胸に突き刺さってきた。(藤井克郎)

2022年4月16日(土)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2019年/フランス、バングラデシュ、デンマーク、ポルトガル/95分)英題:MADE IN BANGLADESH 監督・脚本・製作:ルバイヤット・ホセイン 出演:リキタ・ナンディニ・シム、ノベラ・ラフマン、パルビン・パル ほか 配給:パンドラ © 2019 – LES FILMS DE L’APRES MIDI – KHONA TALKIES– BEOFILM – MIDAS FILMES


『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ』

ネットに流出した映像をめぐる風刺コメディー

2021年のベルリン国際映画祭で最高賞の金熊賞に輝いた怪作。ルーマニアの俊英、ラドゥ・ジューデ監督が、コロナ禍を背景としたネット社会の落とし穴を、痛烈な皮肉を込めてコメディーに仕立てた。教師のエミは、夫との夜の営みを撮影した映像が誤って流出し、保護者や学校関係者に糾弾される。軍人や聖職者ら、さまざまな立場の人たちが持論を展開するが……。この保護者会のやり取りを見つめた第3部の前に、コロナ禍の街をエミがただ歩く第1部、辞書風に写真を配した第2部を据え、シュールな笑いで現代社会を風刺する。公開されるのは、セックス場面が大きく「規制中」の文字でつぶされた「監督〈自己検閲〉版」で、監督の痛快な意趣返しになっている。「殺しはいいのにセックスはだめ」という表現のあり方への批判メッセージが耳に痛い。(藤井克郎)

2022年4月23日(土)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2021年/ルーマニア、ルクセンブルク、チェコ、クロアチア/106分/R15+)英題:BAD LUCK BANGING OR LOONY PORN 監督・脚本:ラドゥ・ジューデ 出演:カティア・パスカリウ、クラウディア・イェレミア、オリンピア・マライ ほか 配給:JAIHO © 2021 MICROFILM (RO) | PTD (LU) | ENDORFILM (CZ) | K INORAMA (HR)


『インフル病みのペトロフ家』

政権への辛辣な風刺を込めた妄想と記憶の奇譚

舞台演出家でもあるロシアのキリル・セレブレンニコフ監督の最新作は、プーチン政権への批判を繰り返してきたこの人らしい辛辣な風刺が込められた妄想と記憶の映像奇譚になっている。アレクセイ・サリニコフの小説が原作。ソ連崩壊後のエカテリンブルクに暮らすペトロフは、流行のインフルエンザで発熱しながらも、凍てつく街をふらついていた。バスから降ろされ、霊柩車に乗って行きついた先は……。作家志望の親友の自殺や、幼かったソ連時代のヨールカ祭りなど、さまざまな思い出が脈絡もなく現れては消え去っていく。妻や息子のエピソードも含め、移動カメラによる驚異の長回しで、幻想に彩られた世界観を脳裏に刻みつける表現は他に類を見ない。脚本は政府による軟禁中に書いたもので、憤りを換骨奪胎した皮肉にロシアの希望を感じた。(藤井克郎)

2022年4月23日(土)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2021年/ロシア、フランス、スイス、ドイツ/146分/R15+)原題:Петровы в гриппе 英題:Petrov’s Flu 監督・脚色:キリル・セレブレンニコフ 出演:セミョーン・セルジン、チュルパン・ハマートワ、ユリヤ・ペレシリド ほか 配給:ムヴィオラ © 2020 – HYPE FILM – KINOPRIME – LOGICAL PICTURES – CHARADES PRODUCTIONS – RAZOR FILM – BORD CADRE FILMS – ARTE FRANCE CINEMA -ZDF


『ツユクサ』

小さな幸せに寄り添う癒しの人間ドラマ

映画『ツユクサ』メイン画像

『愛を乞うひと』の平山秀幸監督がメガホンを取った、人生を立て直したい大人の心に響く人間ドラマ。小さな港町で気の良い仲間たちと穏やかな日々を送るひとり暮らしの芙美は、ある夜運転中に隕石にぶつかってしまう。その日を境に、彼女は小学生の友だち・航平との他愛もない時間や、町に越してきた篠田との運命的な出会いを通じて、ささやかな幸せを見つけるようになる……。明るく気丈に見えるが、実は過去を背負う芙美。そんな彼女に芽生えた大切な感情に、ごく自然な形で寄り添う作品の温もりに癒される。飄々とした雰囲気と柔らかさを併せ持つ芙美を小林聡美、朴訥な篠田を松重豊が演じているが、人生の半ばを過ぎた2人の絶妙な距離感が心地良い。タイトルでもあるツユクサやその葉で作る草笛、エンディングに流れる中山千夏の昭和の名曲「あなたの心に」がノスタルジーを誘い、味わいを添えている。(吉永くま)

2022年4月29日(金・祝)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2022/日本/95分)監督:平山秀幸 出演:小林聡美、平岩紙、斎藤汰鷹、江口のりこ、松重豊 ほか 配給:東京テアトル © 2022「ツユクサ」製作委員会

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