9月公開映画 短評 ―New Movies in Theaters―

  • 2022年08月31日更新

9月公開映画の中から、ミニシアライターが気になった作品をまとめてピックアップ! あなたが観たいのは、どの映画!?

LINE UP
9/1(木)公開『この子は邪悪
9/1(木)公開『さかなのこ
9/3(土)公開『オルガの翼
9/3(土)公開『紅花の守人 いのちを染める
9/9(金)公開『エンジェル
9/9(金)公開『私を判ってくれない』※9/3(土)より鹿児島県内で先行公開あり
9/10(土)公開『ダイナマイト・ソウル・バンビ
9/16(金)公開『
9/16(金)公開『よだかの片想い
9/17(土)公開『日本原 牛と人の大地
9/23(金)公開『スーパー30 アーナンド先生の教室
9/23(金)公開『秘密の森の、その向こう
9/23(金)公開『ロックンロール・ハイスクール
9/30(金)公開『ミューズは溺れない

更新情報:9月2日に『私を判ってくれない』、9月12日に『日本原 牛と人の大地』を追加掲載しました。


『この子は邪悪』

人間の業が練り込まれたホラータッチのサスペンス

映画『この子は邪悪』メイン画像

第42回ポルト国際映画祭のファンタジー部門で、審査員スペシャルメンションを獲得したサスペンス。かつて一家で交通事故に遭い、心に傷を負った少女・花。心理療法室を営む父の司朗は脚に障害が残り、母は植物状態に、妹は顔に火傷を負った。ある日、父が目を覚ました母を連れて帰宅するが、花は彼女に大きな違和感を覚える。この家族に、自身の母親の心身喪失の原因を調べる少年・純が絡み、想像を超える不穏な物語が展開されていく。花以外の人物は皆不確かで怪しく見え、追い込まれていく彼女の恐怖を否が応でも共有することになる。昭和感漂う作品の雰囲気やホラータッチの描写も不気味。脚本には人間の愛や業の恐ろしさ、悲しさが存分に練り込まれ、心をざわつかせる。(吉永くま)

2022年9月1日(木)より全国公開 公式サイト  予告編動画
(2022年/日本 /100 分)監督:片岡翔 出演:南沙良 、大西流星 、桜井ユキ、玉木宏 ほか 配給: ハピネットファントム・スタジオ © 2022「この子は邪悪」製作委員会


『さかなのこ』

男も女も超越した魚好きの存在をのんが好演

魚類学者でタレントとしても知られるさかなクンの自伝的エッセーを原作に、『おらおらでひとりいぐも』の沖田修一監督が、性別を超越した人間賛歌のドラマを織り上げた。子どものころから魚好きのミー坊は、高校生になっても魚への愛は相変わらず。不良グループの対立も、ミー坊が魚片手に介入すると、いっぺんに収まってしまう。だがお魚博士になりたいというミー坊の夢をかなえる進路は、なかなか見つからなかった。とにかくミー坊を演じるのんが素晴らしい。男も女も関係ないという存在のミー坊を、きらきらの笑顔で闊達に表現する。生の魚を絞めたり、何度も海に飛び込んだり、体当たりで役に臨む腰の入れようで、柳楽優弥や磯村勇斗といった共演者も引きずられるように輝きを増す。大らかな優しさを見事に体現していて、じんと胸が熱くなった。藤井克郎

2022年9月1日(木)より全国公開 公式サイト 予告編動画
(2022年/日本/139分) 監督・脚本:沖田修一 出演:のん、柳楽優弥、夏帆 ほか 配給:東京テアトル ©2022「さかなのこ」製作委員会

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『オルガの翼』

市民革命に向き合うウクライナ体操選手の苦悩

ロシアのウクライナ侵攻にもつながる2013年にウクライナで起きたユーロマイダン革命をモチーフに、フランス出身のエリ・グラップ監督が力強いスポーツドラマを編み上げた。欧州選手権を目指してウクライナでトレーニングに励む15歳の体操選手、オルガは、大統領の汚職を追及するジャーナリストの母とともに命の危険にさらされる。母を残して、亡き父の故郷、スイスで練習を積むことにするが、気になるのは故国ウクライナの情勢だった。ユーロマイダン革命とは、親ロシア政権の不正をただすべくウクライナ国民が立ち上がった市民運動で、映画では実際のニュース映像を駆使して、大統領追放に至る社会の大きなうねりを再現。一方でオルガ役のアナスタシア・ブジャシキナをはじめ、体操選手を演じた少女たちの見事な演技(芝居も体操も)にも魅せられた。(藤井克郎)

2022年9月3日(土)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2021年/フランス、スイス、ウクライナ/90分)原題:OLGA 監督・脚本:エリ・グラップ 出演:アナスタシア・ブジャシキナ、サブリナ・ルプツォワ、カテリーナ・バルロッジョ ほか 配給:パンドラ © 2021 POINT PROD – CINÉMA DEFACTO


『紅花の守人 いのちを染める』

壊滅的な打撃から復活した山形の伝統特産品

山形が誇る特産品、紅花。染料の材料のほか食用油としても重宝されるが、その歴史、生産から多様な活用法までを、『世界一と言われた映画館』を手がけた山形県在住の佐藤広一監督が丁寧にドキュメンタリー映画化した。江戸時代、北前船の交易で栄えた山形の紅花生産は戦時中、国によって栽培を禁じられ、戦後は化学染料の普及で壊滅的な打撃を受ける。だが農村の片隅で種子がひそかに守り継がれていたことから見事に復活。映画は、山形市内で紅花農家を営む長瀬さん夫婦をはじめ、米沢で紅染め工房を構える新田さん夫婦、さらに京都の染色家、奈良の紅染めに欠かせない烏梅の生産者と幅広く取材し、紅花文化を受け継ぐ人々の思いを伝える。紅花農家が登場するアニメーション映画『おもひでぽろぽろ』の声を演じた今井美樹のナレーションも耳に優しい。(藤井克郎)

2022年9月3日(土)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2022年/日本/85分) 監督:佐藤広一 ナレーション:今井美樹 配給:UTNエンタテインメント ©映画「紅花の守人」製作委員会


『エンジェル』

80年代LA.の夜の空気まで活写したクライムスリラー

映画『エンジェル』メイン画像日本で38年ぶりに劇場公開されるクライムスリラー。主人公のエンジェルは、昼は模範的な女子高生、夜はストリートガールという二つの顔を持つ少女。社会からはみ出した夜の仲間たちの友情や愛情を受けながら、大人たちの世界で懸命に生きている。しかし、娼婦を狙った変質者による連続殺人事件が発生し、エンジェルの仲間も次々に狙われ……。実年齢23歳の主演のドナ・ウィルクスが、大人びていながらも幼さを内包した15歳の少女を好演、刑事役のクリフ・ゴーマンの渋い演技も魅力的だ。さらに見どころは、華やかな喧騒と猥雑さが混じり合う夜のロケーション。ロバート・ヴィンセント・オニール監督は、物語の舞台であるハリウッド・ブルバードに通いつめて脚本を練りあげ、「ストリート自体が作品の主役」と語る。撮影は『ハリソン・フォード 逃亡者』などを監督したアンドリュー・デイヴィス。光と影を巧みに操り、80年代L.A.の夜の空気や匂いまで見事に活写した。(min)

2022年9月9日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(1983 年/アメリカ/93 分)原題:ANGEL 監督:ロバート・ヴィンセント・オニール  出演:ドナ・ウィルクス、クリフ・ゴーマン、ディック・ショーン ほか 提供:キングレコード 配給:ビーズインターナショナル © 1983 The Angel Venture. All rights reserved.


『私を判ってくれない』

自然豊かな島で紡がれる2人の女性の物語

映画『私を判ってくれない』メイン画像

『夕陽のあと』で助監督を務めた近藤有希と水落拓平が、再び鹿児島県長島町を舞台に紡ぐ、対照的な2人の女性の物語。東京から突然帰郷した自称女優の城子。以前初出演するはずだった映画の制作が頓挫したことがあり、島の一部の出資者に恨まれている。彼女は知り合いで島を出たことがない由記乃の実家に転がり込むが、その存在は自然豊かな静かな島に波紋を広げることになる。やがて、再び映画を撮ると言い出すが……。奔放で傲慢な城子と、言いたいことを言えない由記乃。時間を共有するうちに、城子の心はわずかながらほどけていき、由記乃は徐々に気持ちを口に出すようになっていく。同じ時系列の出来事が、前半は城子、後半は由記乃を中心に描かれており、これにより誰もが人生の主役であり、物事には多様な見方や感じ方があることを再認識する。コロナ禍で制作がストップしても、この地での映画作りを諦めなかったスタッフの思いと、短絡的な動機ではあるが映画を撮りたいという城子の思いが重なり、フレームの内外でのこの町の求心力を感じた。(吉永くま)

2022年9月3日(土)より鹿児島・ガーデンズシネマにて先行公開、9月9日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2022年/日本/100分)監督・脚本・編集:近藤有希、水落拓平 出演:平岡亜紀、花島希美、鈴木卓爾 ほか 配給:フルモテルモ © 私を判ってくれない

◆オススメ記事:
【スクリーンの女神たち】『夕陽のあと』貫地谷しほりさんインタビュー
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『ダイナマイト・ソウル・バンビ』

自主制作と商業映画の混成部隊が織りなす混乱

ミスムーンライト』など数多くの自主映画を手がける松本卓也監督が、撮影現場の混乱を愛情と皮肉をたっぷりと込めて見つめた異色作。自主映画業界でのし上がってきた若手監督の山本は、プロデューサーから初の商業映画の監督に抜擢される。自主制作の仲間たちとプロのスタッフとの混成部隊で撮影に臨んだが、わがまま放題で怒鳴り散らす監督のせいで、チームの和が乱れていく。映画は、現場の様子をつぶさに撮影しているメイキング映像と山本監督がメガホンを取る劇中劇が交錯する形で展開。横暴な監督の態度に徐々にやる気を失っていくプロのスタッフに対して、自主制作のスタッフは何とかつなぎ止めようと必死になだめる。その熱さこそが映画づくりの神髄なのだという松本監督の思いがひしひしと伝わってきて心に染みた。(藤井克郎)

2022年9月10日(土)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2022年/日本/99分) 監督・脚本・編集:松本卓也 出演:松本卓也、岡田貴寛、イグロヒデアキ ほか 配給:シネマ健康会 ©シネマ健康会

◆関連記事:映画に懸ける情熱を鼓舞したいー『ダイナマイト・ソウル・バンビ』松本卓也監督インタビュー


『手』

徐々に熱情が盛り上がる初々しいエロティシズム

ロマンポルノ50周年を記念して3本の新作を公開する「ROMAN PORNO NOW」企画の第1弾。『ちょっと思い出しただけ』の松居大悟監督が、山崎ナオコーラの小説を原作に、切なくも初々しいエロティシズムに挑んだ。年上のおじさんにしか興味がないさわ子は、付き合ったおじさんの写真を撮ってはコレクションするのを趣味にしていた。そんなさわ子に初めて同年代の気になる存在が現れる。同じ職場に働く森だったが、彼には結婚を考えている恋人がいた。序盤はエロティックな表現を封印し、徐々に2人の熱情を映像で盛り上げていく仕掛けが、いかにも松居監督ならではの巧みさで魅せる。主役の2人を演じた福永朱梨、金子大地のはにかみを含んだ大胆演技も見もので、かつてのロマンポルノにはない新鮮なエロスを創出していた。第2弾の白石晃士監督『愛してる!』、第3弾の金子修介監督『百合の雨音』も順次公開。(藤井克郎)

2022年9月16日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2022年/日本/99分/R18+) 監督:松居大悟 出演:福永朱梨、金子大地、津田寛治 ほか 配給:日活 ©2022日活

◆関連記事:《ロマンポルノ・リブート・プロジェクト》― 「日活ロマンポルノ」再起動! 日本を代表する5人の監督が“あえて”ルールに縛られる!


『よだかの片想い』

顔にあざがある女性の葛藤をみずみずしく活写

『Dressing Up』で鮮烈なデビューをした安川有果監督待望の長編第2作。島本理生の小説を原作に、コンプレックスを抱える若い女性の心の葛藤をみずみずしい映像で紡いでいる。大学院生のアイコは生まれたときから顔にあざがあり、そのせいで人づきあいはどこか一歩引いているところがあった。だが出版社に勤める友人の勧めで自伝を出版することになり、人生が動き始める。インタビューの写真撮影を偶然見ていた映画監督の飛坂から映画化の話も持ち上がるが……。ちょっとぎこちない大人の付き合いを、松井玲奈と中島歩が余韻のある表現で好演。そんな2人を捉えるカメラワークが素晴らしく、目映い日の光を効果的に使い、互いの心情を巧みに写し取る。城定秀夫の脚本も秀逸で、まさに「スジ、ヌケ、ドウサ」が三位一体となった奇跡的な作品だ。(藤井克郎)

2022年9月16日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2021年/日本/100分) 監督:安川有果 出演:松井玲奈、中島歩、藤井美菜 ほか 配給:ラビットハウス ©島本理生/集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会


『日本原 牛と人の大地』

医学生から牛飼いに転じた元学生運動家の闘い

映画『日本原 牛と人の大地』メイン画像

陸上自衛隊「日本原(にほんばら)演習場」のある岡山県奈義町で酪農を営む、内藤秀之さん(通称ヒデさん)とその家族を映したドキュメンタリー。1969年、学生運動家だった医学生のヒデさんをある悲劇が襲う。それを機に大学をやめ、奈義町の日本原で牛飼いとなった彼は、自分たちの生活、そして平和を守るため反基地運動に参加し、50年間自衛隊と闘ってきた。穏やかな佇まいの中に闘志が滲み出るヒデさんを撮影するのは、黒部俊介監督。映画学校を卒業後、一時は映画から離れたものの、ヒデさんと出会い再びカメラを手に取った。低温殺菌の「山の牛乳」を作る、自身の息子と同じ心の病を抱える人たちを配達に雇う、演習場内の畑を耕作する唯一の農家になっても諦めない……。そんな団塊世代のヒデさんの静かだが熱いエネルギーを、団塊ジュニアよりさらに若い監督がありのままに受け止め、映像で伝える。そこに監督のエゴは介在せず、「知ってほしい」という強い気持ちがストレートに響いてくる。(吉永くま)

2022年9月17 日(土)より全国公開 公式サイト 予告編動画
(2022年/日本 /110 分)監督・撮影:黒部俊介 編集:秦岳志 ナレーション:内藤陽 配給:東風 © 2022 Kurobeko Kikakushitsu


『スーパー30 アーナンド先生の教室』

貧しさに人生を奪わせない! 奇跡の教育プログラム

映画『スーパー30 アーナンド先生の教室』メイン画像

渡航費用が出せずイギリスへの留学を諦めた、天才的な数学の才能を持つアーナンドは、街で物売りをしていたある日、名門インド工科大学の予備校経営者に拾われ人気講師に。だが、ある若者との出会いにより予備校をやめ、貧困家庭から30人を選抜して寮と食事を無償提供する教育プログラム<スーパー30>を開始する……。食べるものにも事欠くほどの資金難、裕福な子女が通うライバル校の妨害やマフィアの襲撃といった困難に見舞われながらも、熱血教師が夢を叶えようとする実話ベースの物語は、格差が深く根付く社会に一撃を食らわせ、何とも痛快だ。アーナンドの生徒役の中には実際の同プログラムの生徒もいるというが、ライバル校の前で披露される生徒たちのパフォーマンスは、「ここから這い上がりたい」「貧しさに人生を奪わせてない」という魂の叫びにも聞こえた。(吉永くま)

2022年9月23日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2019年/インド/154分)原題:SUPER30 監督:ヴィカース・バハル 出演:リティク・ローシャン、ムルナール・タークル、アーディティヤー・シュリーヴァースタウ ほか 配給:SPACE BOX © Phantom Films, N&G Ent, Reliance Ent, HRX Films.


『秘密の森の、その向こう』

亡き祖母の家を訪れた少女が出会った奇跡

『燃ゆる女の肖像』のフランスの俊英、セリーヌ・シアマ監督が、少女と母との繊細な心のふれあいを、ファンタジー色たっぷりに描き上げた。8歳の少女、ネリーは、一人暮らしの祖母が他界し、両親とともに森の中にたたずむ祖母の家を初めて訪れる。少女時代を過ごしたこの家に思い出が多すぎる母は、片付けもそのままに一人どこかへ出ていってしまう。その日、森を探索していて同じ8歳の少女、マリオンと出会ったネリーは、雷雨に襲われてマリオンの家に駆け込むが、その家はおばあちゃんの家だった。子どものころの母親との遭遇という大事件を、ごくごくありふれた光景のように優しく描写するシアマ監督の感性が光る。幼い2人を演じたジョセフィーヌとガブリエルのサンス姉妹の思慮深い演技も素晴らしく、またまたすてきな余韻を味わった。(藤井克郎)

2022年9月23日(金・祝)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2021年/フランス/73分)原題:Petite Maman 監督・脚本・衣装:セリーヌ・シアマ 出演:ジョセフィーヌ・サンス、ガブリエル・サンス、ニナ・ミュリス ほか 配給:ギャガ © 2021 Lilies Films / France 3 Cinéma

◆オススメ記事:『燃ゆる女の肖像』短評―女性画家とモデルの心のひだに肉薄


『ロックンロール・ハイスクール』

ラモーンズ×コーマン! 愛すべきハチャメチャ、ロック映画!

映画『ロックンロール・ハイスクール』メイン画像伝説的パンクロックバンド、ラモーンズが数々の映画出演オファーの中で唯一承諾し、演奏だけでなく演技まで魅せた幻のロック映画。ロック大好き女子高生のリフが通う学校に、新校長ミス・トーガーが着任し、全校ロック禁止を掲げたて二人の手下と生徒を厳しく取り締まる。そんな妨害にも負けず、音楽の授業でラモーンズのために曲を書いたリフは、ライヴ会場で彼らに手書きの楽譜をプレゼント。大喜びしたラモーンズはリフのため、ミス・トーガーを成敗しに高校へ乗り込み……。製作総指揮はロジャー・コーマン。コーマンクオリティのB級ノリとハチャメチャ展開、そしてラモーンズの楽曲を中心としたロックチューンが痛快に作品を盛り上げる。ただし、ロック映画になったのは監督のアラン・アーカッシュの提案(ラモーンズを推薦したのは美術教師役ポール・バーテル)で、コーマンは当初『ディスコ・ハイ』というディスコ音楽×ハイスクールの映画を企画していたらしい。それはそれでちょっと観てみたい。(min)

2022年9月23日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(1979 年/アメリカ/93分/PG12)原題:ROCKʼNʼROLL HIGH SCHOOL 監督:アラン・アーカッシュ 製作総指揮:ロジャー・コーマン 出演:P・J・ソールズ、ヴィンセント・ヴァン・パタン、RAMONES ほか 提供:キングレコード 配給:ビーズインターナショナル ©1979 New World Productions Inc. All Rights Reserved.

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『コーマン帝国』—アメリカ映画界の最重要人物にしてB級映画の“神”! ロジャー・コーマンの素晴らしき映画人生。
「夜コーマン」—ロジャー・コーマン関連4作品をレイト上映。バイオレンス! ロック! エロ! 宇宙! これぞコーマンクオリティ!!


『ミューズは溺れない』

女子高校生の繊細な心の機微を独創的な感性で描く

高校の美術部に所属する朔子は、スケッチ中に誤って海に転落した姿を、同じ美術部員の西原に描かれる。その絵がコンクールで賞を取り、取材を受けた西原は次回作のモデルを朔子にすると宣言。悔しさと恥ずかしさでいたたまれない朔子は、絵の道を諦めて船をかたどった造形物の創作に没頭するが……。TAMA NEW WAVEと田辺・弁慶の両映画祭でグランプリに輝いた作品で、立教大学大学院などで学んだ淺雄望監督の初長編となる。朔子と西原が言い合いながら階段を上る場面の複雑なカット割りや、音楽にならない雑音や効果音を組み合わせた音声など、独特な感性に裏打ちされた淺雄監督の創造性が光る。感動の薄い主人公が、友人や家族、そして取り壊しが迫る家との関係性の中でちょっとだけ成長する描写がまた繊細で、大器の誕生を予感させた。(藤井克郎)

2022年9月30日(金)より全国順次公開 公式Twitter 公式サイト 特報動画
(2021年/日本/82分) 監督・脚本・編集:淺雄望 出演:上原実矩、若杉凩、森田想 ほか 配給:ムービー・アクト・プロジェクト ©カブフィルム

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