10月公開映画 短評 ―New Movies in Theaters―

  • 2021年10月14日更新

10月公開映画の中から、ミニシアライターが気になった作品をまとめてピックアップ! あなたが気になるのは、どの映画!?

LINE UP
10/1(金)公開『TOVE/トーベ
10/2(土)公開『恐るべき子供たち 4Kレストア版
10/8(金)公開『ONODA 一万夜を越えて
10/8(金)公開『草の響き
10/9(土)公開『Cosmetic DNA
10/9(土)公開『夢のアンデス
10/15(金)公開『アミューズメント・パーク
10/15(金)公開『ジャズ・ロフト
10/22(金)公開『ビルド・ア・ガール
10/23(土)公開『Shari
10/23(土)公開『彼女はひとり
10/29(金)公開『スウィート・シング
10/30(土)公開『MONOS 猿と呼ばれし者たち

更新情報:10月14日に『ビルド・ア・ガール』を追加掲載しました。


『TOVE/トーベ』

ムーミンの世界の裏側に秘められた生々しい人生

ムーミンの生みの親として知られるフィンランドのアーティスト、トーベ・ヤンソンの半生を描いた伝記映画で、気性の激しい一人の女性の恋と創作の悩みがリアルな描写でつづられる。トーベは著名な彫刻家の父親に反発しつつ、画家として名を上げたいと焦っていた。一方で妻帯者の政治家、アトスと付き合うようになるが、そんな彼女の前に市長の娘で舞台演出家のヴィヴィカが現れる。フィンランド出身の女性、ザイダ・バリルート監督は、奔放な性格ながらもうぶで純真なトーベのジレンマを、ジャズの調べと狂おしいほどのダンスシーンを絡めて巧みに表現。ファンタジー色の強いムーミンの世界の裏側にこれほど生々しい人生があったとは意外で、芸術が生まれる素地の奥深さに感じ入った。(藤井克郎)

2021年10月1日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2020年/フィンランド、スウェーデン/103分)原題:TOVE 監督:ザイダ・バリルート 出演:アルマ・ポウスティ、クリスタ・コソネン、シャンティ・ローニー ほか 配給:クロックワークス © 2020 Helsinki-filmi, all rights reserved.


『恐るべき子供たち 4Kレストア版』

妖しさに彩られた濃密な悲劇

詩人ジャン・コクトーの小説を、ヌーヴェルバーグに影響を与えたジャン=ピエール・メルヴィル監督が映画化。約70年前の作品が美しくクリアな映像で蘇った。ポールは雪合戦の最中に、想いを寄せていた級友ダルジュロスが放つ雪玉を胸に受け倒れる。彼は自宅の子供部屋で療養することになるが、そこは姉エリザベートと共同の部屋で、他人が入ってくることを許さない、危険な愛と戯れの世界だった。姉弟の人間関係がわずかに広がっても、暮らす場所が変わっても、閉鎖的な子供部屋の中で肥大した息苦しくなるような歪みは変わらない。妖しさに彩られた濃密な悲劇。居心地の悪い空間、支配欲の塊のようなエリザベートの不遜な表情、劇中で使用されるバッハの協奏曲、すべてが破滅を予感させる。(吉永くま)

2021年10月2日(土)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(1950 年/フランス/105分)原題:Les Enfants Terribles 監督: ジャン=ピエール・メルヴィル 脚本: ジャン・コクトー 、ジャン=ピエール・メルヴィル 撮影::アンリ・ドカエ 衣装デザイン: クリスチャン・ディオール 出演:ニコール・ステファーヌ、エドゥアール・デルミット ほか 配給:リアリーライクフィルムズ  © 1950 Carole Weisweiller (all rights reserved) Restauration in 4K in 2020 . ReallyLikeFilms


『ONODA 一万夜を越えて』

ジャングルの孤島で戦い続ける最後の日本兵

終戦を知らされずに約30年間、フィリピン・ルバング島で任務を遂行し続けた小野田寛郎少尉の実話を、フランス出身のアルチュール・アラリ監督が映画化した。1944年、秘密戦の訓練を受けた小野田は、劣勢のルバング島でゲリラ戦を指揮するよう命じられる。教官の谷口少佐の指令は「何があっても生き延びよ。玉砕は許されない」だった。先の見えない状況の中、わずかな部下を鼓舞して必死に戦い続ける小野田の表情に、カメラはクローズアップを多用して肉薄。青年期、壮年期をそれぞれに演じた遠藤雄弥、津田寛治ともに鬼気迫る目力の強さで、最後の日本兵の存在感をリアルに表現する。熱帯雨林のむせ返るようなジャングルの風景とともに、果てしない絶望感が胸に鋭く迫った。(藤井克郎)

2021年10月8日(金)より全国公開 公式サイト 予告編動画
(2021年/フランス、日本、ドイツ、ベルギー、イタリア/174分)原題:ONODA 監督・脚本:アルチュール・アラリ 出演:遠藤雄弥、津田寛治、イッセー尾形 ほか 配給:エレファントハウス © bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma


『草の響き』

ただ走るしかやることがないやるせなさ

北海道函館市のミニシアター、シネマアイリスが企画する作家、佐藤泰志原作の映画化第5弾。今回は『はいかぶり姫物語』の斎藤久志監督を起用し、心に変調をきたして東京から故郷の函館に帰ってきたエリート編集者の鬱屈した思いを、淡々とした描写でつづっている。病院で毎日のランニングを勧められた和雄は、日々同じ道を走っているうちに、いつも並走してくる若い男に気づく。言葉は交わさないものの気になる存在だったが、ある日を境に彼は姿を見せなくなった。ただ走るしかやることがない和雄のやるせなさと、若い男の孤高の生き方を並行して描くことで、2人が追い詰められていく苦しさを浮き立たせる話法が見事。和雄を演じた東出昌大の新境地とも言える存在感にも注目だ。(藤井克郎)

2021年10月8日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2021年/日本/115分)監督:斎藤久志 出演:東出昌大、奈緒、大東駿介 ほか 配給:コピアポア・フィルム、函館シネマアイリス © 2021 HAKODATE CINEMA IRIS


『Cosmetic DNA』

男社会からの脱却を若さあふれるスピード感で活写

化粧愛の強い美大生、アヤカは、「映画に出演してほしい」と声をかけてきた怪しげな監督に薬を盛られ、暴行を受ける。なかったことにされて落ち込むアヤカだったが、大学院生のサトミとアパレル店員のユミと出会い、男に頼らないで運命を切り開くことを誓い合う。そんなある日……。1995年生まれの大久保健也監督の初長編作品で、2020年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で北海道知事賞を受賞した。目まぐるしいカット割りとイラストやアニメーションを駆使した映像処理が、あふれ返る音楽の洪水の中、目にも止まらぬスピード感で展開する。男社会からの脱却というテーマ性はあるものの、それ以上に最初から最後まで勢いに任せて突っ走ったくらくらするような若さに圧倒された。(藤井克郎)

2021年10月9日(土)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2020年/日本/109分/PG-12)監督・脚本・撮影・編集・照明:大久保健也 出演:藤井愛稀、西面辰孝、仲野瑠花、川崎瑠奈 ほか 配給:Cinemago 配給協力:Giggly Box © 穏やカーニバル


『夢のアンデス』

軍事クーデター後のチリを俯瞰的に描く

南米ドキュメンタリーの巨匠でパリ在住のパトリシオ・グスマン監督が、チリ軍事クーデター後に新自由主義の実験の場となってしまった祖国の現状を俯瞰的に見つめ直す。1973年のクーデター後に逮捕・監禁され、国を離れた監督が、チリに住む作家や映画監督など知人へのインタビューを通じ、また時に自身の苦い記憶も交えながら、同国の恐怖に満ちた歴史や、ピノチェト軍事政権後の今も残る社会問題を浮き彫りにした。客観的かつ冷静な視点が貫かれているなか、当時の政府による弾圧や遺された負の遺産への怒りが滲む。「2度と祖国で暮らすことはない」と監督は明言する。だが、祖国、そして国の象徴でもある神々しいアンデス山脈への溢れ出る思慕に、強い葛藤が感じられた。(吉永くま)

2021年10月9日(土)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2019年/チリ、フランス/85分)原題:The Cordillera of dreams 監督・脚本:パトリシオ・グスマン 出演:フランシスコ・ガシトゥア、ビセンテ・ガハルド、パブロ・サラス、ホルヘ・バラディットほか 配給:アップリンク © Atacama Productions – ARTE France Cinéma – Sampek Productions – Market Chile / 2019


『アミューズメント・パーク』

ホラーより震撼!? 高齢社会の暗部を容赦なく描く非エンタメ作

映画『アミューズメント・パーク』ポスターゾンビ&カルト映画の鬼才、故ジョージ・A・ロメロ監督が’73年に手掛けた未発表映画。当時はホラーだけでなく恋愛映画『There’s Always Vanilla』なども撮っていたからか、ルーテル教会が高齢者虐待や年齢差別に対する啓蒙的な作品の制作をロメロに依頼。しかし(案の定?)、完成作を観た教会はあまりに辛辣な内容におののき封印。半世紀を経て発見され、4Kレストア化でついに日の目を見た。物語の舞台は架空のアミューズメント・パーク。ある日、一人の老紳士が意気揚々と出掛けていく。しかし、そこで楽しそうにしているのは若者と富裕層の老人だけ。社会的地位も財もない高齢者はぞんざいに扱われ、存在と尊厳を否定され、理不尽な暴力を受け、身も心も崩壊していく……。米社会の縮図として描かれた園内で、老人は生きる希望を奪われ、無機質な白い部屋に帰り、思考停止させたまま終末を待つ。高齢社会の暗部を誇張したフィクションと笑いたいが、老いの先にある現実の描写は身につまされる。観る年代によって印象は大きく変わりそうだが、老いの足音がかすかに聞こえ始めた世代なら、ホラーを超えた恐怖を味わうかもしれない。若者は忘れがちだが、老いは必ずやってくる。願わくば、この作品を笑い飛ばせる未来を創りたいものだ。(min)

2021年10月15日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(1973年/アメリカ/53分)原題:THE AMUSEMENT PARK 監督:ジョージ・A・ロメロ 出演:リンカーン・マーゼル ほか 配給:ビーズインターナショナル © 2020 George A. Romero Foundation, All Rights Reserved.


『ジャズ・ロフト』

ユージーン・スミスがいざなう最高にご機嫌な贅沢

ジョニー・デップ主演の『MINAMATA-ミナマター』で映画化された写真家、ユージーン・スミスは来日前、米ニューヨークの「6番街のロフト」と呼ばれる5階建てのビルに住んでいた。そこでは夜な夜なジャズミュージシャンが集まってはセッションを繰り広げていたが、スミスが録音した大量のオーディオテープを基にラジオ局のプロデューサーであるサラ・フィシュコ監督がドキュメンタリーに仕上げたのがこの作品だ。スミスはもちろん写真でも彼らの演奏風景をとらえていて、当時の参加者やスミスの息子らが、これらの写真を見ながら「ロフト」の日常やスミスのすごさを口々に語る。自由な出発点からの芸術がいかに豊かで贅沢かを味わうことができる最高にご機嫌な時間に浸った。(藤井克郎)

2021年10月15日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2015年/イギリス/89分)原題:The Jazz Loft According to W. Eugene Smith 脚本・プロデューサー・監督:サラ・フィシュコ 出演:サム・スティーブンソン、カーラ・ブレイ、スティーヴ・ライヒ ほか 配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム © 1999,2015 The Heirs of W. Eugene Smith.


『ビルド・ア・ガール』

パワフルな女子高生音楽ライターが大暴走!

映画『ビルド・ア・ガール』メイン画像

イギリスの人気コラムニストで作家のキャトリン・モランの半自伝的小説を映画化。1993年、冴えない16歳の女子高校生ジョアンナは、悶々とする日々から抜け出すため、ロンドンの大手音楽情報誌のライターに応募し人気者に。だが取材相手のロック・スターに夢中になり、冷静な記事が書けず失敗。編集部のアドバイスで、過激な記事を書く辛口批評家“ドリー・ワイルド”として再出発し、地位と名声、お金を手に入れるが、徐々に自分の心を見失っていく。イケてない女の子が成功を経て勘違いし大暴走の結果、最後には……、というイタさ全開の展開だが、そんなことはどうでもよくなるほど、ジョアンナから放たれるパワーや「自分の道は自分で切り開く」という強い信念に圧倒される。さらに注目したいのは、当時のものを細かくリサーチしたという内装や小物、そして既存の楽曲とオリジナル曲。90年代初頭という、大人には微妙に懐かしい近過去の空気感も魅力だ。(吉永くま)

2021年10月22日(金)より全国公開 公式サイト 予告編動画
(2019年/イギリス/105分/R15+)原題:How to Build a Girl 監督: コーキー・ギェドロイツ 出演:ビーニー・フェルドスタイン、パディ・コンシダイン、サラ・ソルマーニ、エマ・トンプソン ほか 配給:ポニーキャニオン、フラッグ   © Monumental Pictures, Tango Productions, LLC, Channel Four Television Corporation, 2019


『Shari』

知床の空気感を奏でる「シャリシャリシャリ……」

知床半島に位置する北海道斜里町を舞台に、振付家でダンサーでもある映画作家の吉開菜央監督が、ドキュメンタリーともフィクションともつかない独特の映像世界を紡ぎ上げた。登場するのは、石窯パンを焼く女性に東京から移住してきた鹿ハンターの夫婦、木彫りの民芸品を集めている農家のおじさんと、どこか存在感のある、でも普通の人たちだ。そんな彼らの何気ない会話と相撲に興じる小学生たちの情景に、吉開監督自らが演じる「赤いやつ」が絡んで、知床ならではの神秘的できりっと澄み切った空気感を醸し出す。「シャリシャリシャリ……」といったナレーションの言語感覚も耳に心地よく、エコロジーへの問題提起もはらみつつ、どこか芸術の本質を突いた新しい感覚に酔いしれた。(藤井克郎)

2021年10月23日(土)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2021年/日本/63分) 監督・出演:吉開菜央 撮影:石川直樹 出演:斜里町の人々、海、山、氷、赤いやつ 配給:ミラクルヴォイス ©2020 吉開菜央 photo by Naoki Ishikawa

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『彼女はひとり』

時を経てもなおみずみずしく!中川奈月監督の初長編作が単独公開!

映画『彼女はひとり』ポスターSKIPシティ国際Dシネマ映画祭、⽥辺弁慶映画祭ほか多数の賞を受け、「⽥辺弁慶映画祭セレクション2020」の上映で話題となった中川奈月監督の初長編作が、 撮影から数年を経てついに単独劇場公開される。ある出来事により自殺を図った高校生の澄子は、死ねずに生還。学校生活に戻った澄子は幼なじみの秀明が女性教師と交際していることを知り、彼を執拗に脅迫するようになる……。淡々とした態度ながら鋭利に秀明の精神を削っていく澄子。一見して生きることに無気力そうな彼女の瞳の奥には、底知れぬ孤独と渇望が見え隠れし、サスペンスフルな物語をけん引していく。澄子の目的とは——? 冒頭からラストまで緊張感を途切れさせず、登場人物たちの関係性を徐々に明かしていく脚本に引き込まれる。澄子の複雑な内面をリアルに感じさせる主演の福永朱梨は、「第13回田辺・弁慶映画祭」で俳優賞を受賞。秀明の戸惑いや情けなさを良い意味で普通っぽく自然に演じ切った金井浩人の演技とともに刮目に値する。⿊沢清監督作品などで活躍する芦澤明子の映像の陰影と相まって、60分という上映時間の中にしっかりとした見ごたえを感じる作品。今回の単独公開を受け約1年ぶりに鑑賞させてもらったが、若手監督が描く思春期の危うさと脆さは時を経てなおハッとするほどずみずみずしく、作品の求心力の高さに再びしびれた。(min)
※本記事は、2020年11月掲載の短評を一部加筆・修正して掲載しています。

2021年10月23日(土)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2018 年/日本/60分)脚本・編集・監督:中川奈月 撮影:芦澤明子 出演:福永朱梨、金井浩人、美知枝、中村優里、三坂知絵子、櫻井保幸、榮林桃伽、堀春菜、田中一平、山中アラタ ほか 配給:ムービー・アクト・プロジェクト © 2018「彼女はひとり」

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『スウィート・シング』

モノクロ主体のぎゅっと抱きしめたくなる心象風景

ビリーとニコの姉弟は、酒癖は悪いが子ども思いの父親と3人、つましくも温かな生活を送っていた。だが父はアルコール依存症の治療で強制的に入院させられてしまう。母親が恋人のボーと暮らす海辺の家でしばらく過ごすことになる2人は、マリクという少年と仲良くなるが……。『イン・ザ・スープ』で知られる米インディーズ映画界の旗手、アレクサンダー・ロックウェル監督が、モノクロ画面を主体にカラーのシーンをちりばめて、美しくも印象的な映像世界を構築した。同じカラーでも、ボーたちと一緒の時間は毒々しいどぎつさで、海の中ではくすんだような色使いと、ビリーの心象風景を表現した工夫が見事。ビリー・ホリデイをはじめとした多彩な音楽も相まって、ぎゅっと抱きしめたくなるようないとおしさにあふれていた。(藤井克郎)

2021年10月29日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2020年/アメリカ/91分)原題:Sweet Thing 監督・脚本:アレクサンダー・ロックウェル 出演:ラナ・ロックウェル、ニコ・ロックウェル、ウィル・パットン ほか 配給:ムヴィオラ ©️2019 BLACK HORSE PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED


『MONOS 猿と呼ばれし者たち』

異様な風景の中で暴走する少年少女たち

南米コロンビアを舞台に、ゲリラ組織のメンバーである少年少女の狂気と暴走を、ブラジル出身でコロンビア人の母を持つアレハンドロ・ランデス監督が、先鋭的な映像で編み上げた。猿たちを意味する「モノス」は、8人でアメリカ人女性の人質を監視する役目を担っていた。ある日、組織から預かった大切な乳牛を1人が誤って撃ち殺してしまう。8人の中で軋轢が生じ……。前半の荒涼たる山岳地帯といい、後半の未開のジャングルといい、一種異様な風景の中で、テロの脅威と仲間内の確執が繰り広げられる。彼らは何者なのか、何のために戦っているのかといった説明は一切なく、まだあどけない少年少女たちが殺戮を行う。あえてゲーム感覚のように娯楽要素をちりばめて人間の本性に迫った若きランデス監督の世界観にうなった。(藤井克郎)

2021年10月30日(土)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2019年/コロンビア、アルゼンチン、オランダ、ドイツ、スウェーデン、ウルグアイ、スイス、デンマーク/102分/R15+)原題:MONOS 監督・脚本・製作:アレハンドロ・ランデス 出演:モイセス・アリアス、ジュリアンヌ・ニコルソン、ソフィア・ブエナベントゥーラ ほか 配給:ザジフィルムズ © Stela Cine, Campo, Lemming Film, Pandora, SnowGlobe, Film i Väst, Pando & Mutante Cine

 

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  • 2021年10月14日更新
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