たくさん笑って毎日を過ごしてほしい ―『生きる街』イ・ジョンヒョンさんインタビュー

  • 2018年01月19日更新

映画『生きる街』イ・ジョンヒョン_インタビュー東北の海辺の街を舞台に、東日本大震災によって心に深い傷を負った家族の再生を描く映画『生きる街』。夏木マリさんが約10年ぶりに映画主演を飾る本作で、物語のキーマンとなる韓国人青年ドヒョンを演じたイ・ジョンヒョンさんにインタビューしました。韓国の実力派ロックバンド「CNBLUE」のギター&ボーカルとして、日本でも武道館ライブを成功させるなど絶大な人気を誇るジョンヒョンさんに、日本映画初出演の感想や、宮城県石巻市で行われた撮影の様子、さらに2018年1月24日に発売となる、セカンド・ソロアルバム「METROPOLIS」のことなどを伺いました!

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監督から「日本語がうますぎる!」と言われました(笑)

— 本作の出演オファーを受けた時の気持ちをお聞かせください。

映画『生きる街』イ・ジョンヒョン_インタビューイ・ジョンヒョンさん(以下、ジョンヒョン):僕は4歳から4年間ほどに日本に住んでいたこともあって、日本の映画も好きですし、出演できること自体が嬉しかったです。同時に、自分が韓国以外の映画作品に登場することに対して、どこか不思議な感覚もありました。最初に台本を読んだ時は、人として大切な絆や温かい気持ちが描かれた、とてもステキな作品だと思いました。

— 日本映画はよくご覧になるんですか?

ジョンヒョン:もちろん! ここ数年だと『君の名は。』(2016)が良かったですね。ほかにも、『ジョゼと虎と魚たち』(2003)や『世界から猫が消えたなら』(2016)など深く印象に残っている作品がたくさんあります。特に、本作のような人々の自然な姿を描く静かな日本映画が好きなんです。

— 本当に幅広く観ていらっしゃるんですね! 先ほどから、ほとんど通訳さんを介さずにお話しをしていますが、ジョンヒョンさんには韓国語字幕や吹き替えも必要なさそうですね(笑)。

映画『生きる街』イ・ジョンヒョン_インタビュージョンヒョン:そうですね。だいたいは字幕なしでもわかります(笑)。

— 本作でジョンヒョンさんが演じたドヒョンは、震災によって心の傷を抱えた家族を再生に導く重要な役です。ご自身は、ドヒョンのキャラクターをどうとらえていますか?

ジョンヒョン:ドヒョンは、亡くなった父親から託された手紙をわざわざ外国まで届けに行くような、心優しい青年です。とてもピュアな人間なんだと思います。

— 榊英雄監督からは、この役を演じるにあたってどのような演出がありましたか?

ジョンヒョン:榊監督とも現場でいろいろと話をしながら役を作っていきましたが、一番印象に残っているのは「日本語がうますぎるよ!」と言われたことです(笑)。

— なるほど、たしかに(笑)。では、劇中では日本語をわざと下手に話したりもしたのですか?

ジョンヒョン:わざと下手に話すことはしませんでしたが、「完璧な日本語を話そうとしなくて良いんだ」とは思いました。なので、発音の違いなどもあまり気にせずに、素のまま話していたと思います。とはいえ、僕にとってはかなり難しい発音の日本語もあって、夏木マリさんが正しい発音を教えてくださったりもしたんですよ。

— そうだったんですか!撮影現場の雰囲気や、夏木さんとの共演はいかがでしたか?

映画『生きる街』イ・ジョンヒョン_インタビュージョンヒョン:撮影現場ではスタッフも共演者も仲が良くて、作品同様に温かな雰囲気でしたし、とても楽しかったです。夏木さんは、僕が撮影に入った時には完全に千恵子役になりきっていらしたので、本当に千恵子さんにしか見えなかったんです。後から、すごくカッコいいアーティストだと知って驚きました。とても気さくなのにプロフェッショナルで、尊敬すべき方です。

— 撮影の合間には、榊監督と一緒に温泉にも入られたそうですね。

ジョンヒョン:何度かご一緒しましたよ。でも、最初から一緒に行ったのではなくて、撮影終わりで温泉に行ったらたまたま居合わせたという感じです。監督と温泉で語り合ったことも、良い思い出になりました。

— 日本と韓国の映画の撮影現場と比べて“違い”を感じたことや、“印象的”だったことがあれば、お聞かせください。

ジョンヒョン:日本の現場は、日々のスケジュールも最初からきちんと決めてあって、だいたいはその通りに進みますし、スムーズに現場が動いているという印象でした。韓国も最近はかなり良くなってきていますが、日本に比べると待ち時間が長いことが多いですね。そこは、日本の現場を見習ってほしいです(笑)。

たくさん笑って毎日を過ごしてほしい

— 2011年3月11日の東日本大震災のことは、当時どのように知りましたか? その時に何か考えたことがあればお聞かせください。

映画『生きる街』イ・ジョンヒョン_インタビュージョンヒョン:震災のことは、韓国でテレビのニュースを観て知りました。実は、僕自身も京都に住んでいたときに阪神淡路大震災を経験しています。その恐怖感を覚えているだけに、被災された方々のことがすごく心配でしたし、自分自身の思い出もよみがえってきて、しばらくは複雑な気持ちで過ごしていました。

— 震災から5年以上経ちましたが、ロケ地となった石巻の印象はいかがでしたか。

ジョンヒョン:撮影に入る前は、震災の爪あとを見て切ない気持ちになるのではないかと不安もありました。でも、実際に行ってみるとかなり復旧作業が進んでいて、土地の人々も穏やかに暮らしているように見えました。もちろん、数年前に被災したことを思えば胸が苦しくなりましたが、新しく開発された街の風景と自然が共存していて、未来への希望を感じる美しい場所にも思えました。

— ジョンヒョンさんご自身は、本作を観る方にどんなメッセージが伝われば嬉しいですか?

ジョンヒョン:辛いことがあっても、笑って生きようと前向きに努力することの大切さと、“故郷”や“家族”、そして“人間の温かさ”が心に残る作品だと思います。僕が手掛けた劇中歌の「ひかりのまちで」の歌詞にも、そんなメッセージを込めました。映画館を出て皆さんの日常に戻っても、どうかたくさん笑って毎日を過ごしてほしいです。

洗練されていながらも、誰もが盛り上がれるアルバムを目指した

— 1月24日に発売になるセカンド・ソロアルバム「METROPOLIS」に込めた思いを教えてください。

映画『生きる街』イ・ジョンヒョン_インタビュージョンヒョン:2016年のソロコンサートが終わった後に、もっと皆がノリノリになれるような曲をたくさん作って、盛り上がるライブをしたいと思ったんです。「METROPOLIS」では、都会的で洗練されていながらも、誰もが口ずさんだり踊ったりできる曲を目指して作りました。

— 何曲かデモ音源を聴かせていただきましたが、クールでいてキャッチーなサウンドが印象的で、ひと言「ものすごくかっこいい!」と思いました。

ジョンヒョン:ありがとうございます。嬉しいです。

— ソロとバンドでの活動では、気持ち的にどういった違いがありますか?

ジョンヒョン:正直に言うと、バンドで活動するほうが慣れているし気持ち的には楽です。だって、一人はやっぱり寂しいじゃないですか(笑)。でも、ソロだからこそ表現できることや突き詰められる部分もありますし、期待して待ってくれているファンのためにも頑張っています。でも、やっぱりライブに「CNBLUE」のメンバーがいないのは寂しいですね(笑)。

— 「CNBLUE」メンバーの仲良しぶりが伝わってきて、何だか微笑ましいですね(笑)。最後に、日本でのソロコンサートへの意気込みと、アルバムを楽しみにしているファンへメッセージをお願いします!

ジョンヒョン:2作目となるソロアルバムは、思わず口ずさんだり、踊り出したくなるような曲がたくさん入っていると思います。ライブも絶対に楽しいものになると思うので、皆さんぜひ遊びに来て、一緒に盛り上がりましょう!僕も目いっぱい楽しみます!!

映画『生きる街』イ・ジョンヒョン_インタビュー

<プロフィール/イ・ジョンヒョン>
1990年生まれ。韓国釜山広域市出身。2010年にデビューしたロックバンド「CNBLUE」のギター&ボーカルを務め、韓国や日本のみならず世界各国で人気を博す。幼少期に日本で暮らした経験から日本語も堪能で、デビュー前は日本で半年間ほどライブハウスやストリートライブなどのバンド修行を経験。リーダーのジョン・ヨンファと共に「CNBLUE」の楽曲の作詞作曲を手掛けるほか、他のアーティストへの楽曲提供など幅広く才能を発揮している。2015年8月に東京国際フォーラムで開催した初の単独ソロファンミーティングのチケットは即完売。2016年7月にはファースト・ソロアルバム「SPARKLING NIGHT」をリリースして大きな話題となる。俳優としても躍進中で、2010年に映画『アコースティック』にドラムのカン・ミンヒョクと出演した後は、『紳士の品格』『オレンジ・マーマレード』『マイ・オンリー・ラブソング』『ランジェリー少女時代』などのドラマに立て続けに出演。2018年はドラマ『その男、オ・ス』の主演も決定している。

《ミニシア恒例の靴チェック♪》
映画『生きる街』イ・ジョンヒョン_インタビュー182センチの長身でタイトな黒のスーツを上品に着こなすジョンヒョンさんは、まるで貴公子のようでした。シンプルでシックな皮のシューズもとてもお似合いです!

 

 


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<ソロコンサート2018 スケジュール>
LEE JONG HYUN Solo Concert in Japan –METROPOLIS-
2月1日(木)神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール 17:30開場 18:30開演
2月2日(金)神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール 17:30開場18:30開演
2月12日(月・祝)大阪・グランキューブ大阪 17:00開場18:00開演
2月13日(火)大阪・グランキューブ大阪 17:30開場18:30開演

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映画『生きる街』メインビジュアル▼『生きる街』作品・公開情報
(2017年/日本/122 分)
監督:榊英雄
出演:夏木マリ、佐津川愛美、堀井新太、イ・ジョンヒョン(CNBLUE)、岡野真也、吉沢悠、石田法嗣、小柳友、ラサール石井、斎藤工、内田理央、新津ちせ、菅原大吉、石倉三郎(写真の出演)、仲間由紀恵(声の出演)/原日出子、升毅
主題歌:BRAHMAN「ナミノウタゲ」
挿入歌:イ・ジョンヒョン(from CNBLUE)「ひかりのまちで」
題字:ジョージ秋山
配給:アークエンタテインメント、太秦
©2018「生きる街」製作委員会

『生きる街』公式サイト


>>『生きる街』予告編映像<<

※2018年3月3日(土)新宿武蔵野館、ユーロスペース、イオンシネマ石巻ほか全国順次公開

(取材・編集・文:min インタビュー撮影:ハルプードル)

 

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