公開目前の『海炭市叙景』、徹底予習!―第23回 東京国際映画祭より舞台挨拶・記者会見
- 2010年11月22日更新
小説家・佐藤泰志さんの幻の名作を、熊切和嘉監督が映画化した『海炭市叙景』。ロケ地・函館市のシネマアイリスでは2010年11月27日(土)より、東京では12月18日(土)よりユーロスペースにてロードショー。全国順次公開です。
第23回 東京国際映画祭のコンペティションに出品された本作。開催期間中は、熊切監督と出演者のみなさまが来場して、話題をさらいました。目前に迫った劇場公開の予習として、10月28日(木)におこなわれた東京国際映画祭での舞台挨拶と記者会見の模様をお楽しみください。
↑の写真は、舞台挨拶より。左から、谷村美月さん、加瀬亮さん、三浦誠己さん、南果歩さん、小林薫さん、熊切監督です。
▼『海炭市叙景』舞台挨拶(第23回 東京国際映画祭より)
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《セレブの靴チェック!》 | ||
加瀬さん | 三浦さん | 小林さん |
谷村さん | 南さん |
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ぜひ画像をクリックしてご覧ください。特に谷村さんと南さんの足元は、これからのパーティ・シーズン、女性なら参考にさせていただきたいアイテムと雰囲気です。
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「函館のみなさまと、いちから手作りで作りあげた映画です」(熊切監督) 改行 2年前に、前作の『ノン子36歳(家事手伝い)』を携えて、函館イルミナシオン映画祭に参加したときに、シネマアイリスの菅原代表と出会ったことがきっかけで、『海炭市叙景』の企画が始まりました。函館のみなさまと、いちから手作りで作りあげた作品です。 |
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「未来永劫、みなさまに観ていただく作品だと思いました」(三浦さん) 改行 この映画は、未来永劫、みなさまに観ていただく作品だと思いました。そう思える作品に参加できたことがとても光栄ですし、僕自身、自らを掘り下げて演技に取り組めた現場でした。みなさまの心に響いてくれる作品だと信じています。函館のスタッフのみなさまと、ご賛同くださったかたがたへ、感謝の気持ちでいっぱいです。 |
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▼『海炭市叙景』記者会見(第23回 東京国際映画祭より)
― 本作には、函館の地元のかたがたがたくさん出演していますが、プロの俳優として、一般のかたと共演することに違和感などはありましたか?
「『オール・ロケで撮影する意味』をいただけた気がします」(南さん)
加瀬亮さん(以下、加瀬) 一般のかたがたが俳優として参加してくださったおかげで、いろいろな偶然や生々しさが、画面にはいりこんでいると思います。なにより、10年近く俳優をしている自分についた余計な垢などを意識することができて、とても勉強になりました。
小林薫さん 加瀬くんのようにフレッシュな人に垢がついているのなら、私はどのくらいたまっているのだろう、と思いますが(笑)。
プロの俳優であるという戸惑いを心のどこかで抱えていないと、芝居をする高揚感のようなものに、なかなか出会わなくなっていくのではないか、という気がします。プロになっていくのは致しかたないですが、今回のように一般のかたと共演したことで、自分の戸惑いや、芝居と向きあっていること、あるいは余計なものなどを意識するという鏡になりました。
南果歩さん 本作に出演してくださった一般のみなさまは、函館に住んでいるかたがたなので、この土地を深く知って、土地のものを食べて、土地の四季をすべて体で知っています。そういうかたがたとご一緒できたことで、私たちがよい意味で腰を据えて取り組む空気をいただけましたし、「この土地でしか生みだせない作品」という、「オール・ロケで撮影する意味」をいただけた気がします。
三浦誠己さん 僕もみなさまと同じ意見です。撮影中、熊切監督には、「一般のかたよりNGが多い」と叱られました(笑)。
― 限られた予算の問題や、プロの俳優と一般のかたが共演するなど、いろいろな事情があった中、作品のクオリティを高くするために、特に配慮した点は?
「その土地に生きている人や、刻まれているものを映したい」(熊切監督)
熊切和嘉監督 その土地に生きている人や、刻まれているものを映したい、という思いは以前からあったので、現地のかたに出演していただきたいとは思っていたのですが、これまでの作品では、なかなか踏ん切りがつきませんでした。でも、『海炭市叙景』では、状況的なことや、単純に予算が足りないのもあって、「これはやるしかない」と、踏ん切りがついた感じです。
いざやるからには、プレッシャーはありました。僕は北海道の出身なので、「この映画で失敗したら、地元に帰れない」と思いました(笑)。
本作には、主人公が5人以上いるので、(主人公がひとりだった)これまでの作品とはまったく違ったため、クランク・インまでになかなか準備が追いつかなくて、ばたばたしていました。ですが、その気持ちを吹っ切って、「撮影現場で、本当にそう見えるように作りさえすれば、それをどこから撮るかは、そのときに考えればよいのだ」と、素直かつシンプルに考えることができました。その考えが、うまく運んだような気がします。
― 加瀬さんはこれまで、お茶目なキャラクターを演じることが多かったですが、『海炭市叙景』や『アウトレイジ』での役柄は、これまでとはイメージが違いますね。異なる役を意図的に選んだのですか?
「自分の仕事の幅を広げる機会になりました」(加瀬さん)
加瀬 基本的に、役というものはいただかないとできないので、自分からどうこうしようという感覚は、あまりありません。確かに、『海炭市叙景』や『アウトレイジ』での役をいただいた当初は、主に外見的な問題から、「自分では説得力がないのではなかろうか」と思いました。
本作でも、熊切監督には最初、「(この役は)自分では想像がつかない」というようなことを言ったのですが、監督は「やってみてほしい」とおっしゃってくれました。そのおかげで、自分の仕事の幅を広げる機会になったと思っています。
▼『海炭市叙景』
作品・公開情報
日本/2010年/152分
監督:熊切和嘉
配給:スローラーナー
コピーライト:(C)2010 佐藤泰志/『海炭市叙景』製作委員会
●『海炭市叙景』公式サイト
※2010年11月27日(土)より、函館シネマアイリスにて先行ロードショー。12月18日(土)より渋谷ユーロスペースにてロードショー。全国順次公開。
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取材・編集・文:香ん乃 スチール撮影:柴崎朋実
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