6月公開映画 短評 ―New Movies in Theaters―

  • 2019年06月02日更新

6月公開映画の中から、ミニシアライターが気になった作品をまとめてピックアップ! あなたが気になるのは、どの映画!?

LINE UP
6/7(金)公開 『ガーデンアパート
6/8(土)公開『満月の夜には思い出して
6/21(金)公開 『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動
6/22(土)公開『ある町の高い煙突
6/28(金)公開 『COLD WAR あの歌、2つの心


『ガーデンアパート』

若き才能が愛の真実を鋭く映し出すガールズムービー

映画『ガーデンアパート』愛が崩壊しそうな1組の若いカップルと、狂気を纏った中年女性の一夜の出来事を描くガールズムービー。国内外で活躍する気鋭の若手映像作家UMMMI.が、石原海としてメガホンを執った初長編作品であり、ロッテルダム国際映画祭にも選出された注目作だ。太郎と同棲していたひかりは妊娠するが、大学を卒業してバイト暮らしだ った2人には金銭的な余裕がない。太郎はひかりに内緒で叔母の京子に頼るが、彼女は若くして夫を亡くしてから、酒に溺れ奇妙な言動を繰り返していた。そんな京子のもとに、太郎に内緒でひかりが訪れ……。若い感性で切り取られた刹那的な一夜の狂宴。しかし、そこに描かれているのは、脆くも烈しい愛の真実の姿。孤独ゆえに愛を求め、愛するがゆえに孤独を抱える人々の、普遍的な愚かさと愛おしさが胸に刺さる。(min)

2019年6月7日(金)より全国順次公開 公式サイト
(2017年/日本/77分)英題:The Garden Apartment 監督・脚本:石原海 出演:篠宮由佳利、竹下かおり、鈴村悠、石田清志郎、石原ももこ、稲葉あみ 、彩戸惠理香、Sac、Alma、森雅裕、奥田悠介、塚野達大 配給:アルミード


『満月の夜には思い出して』

みずみずしい才能たちが紡き出す、ほろ苦く美しい青春映画

映画『満月の夜には思い出して』メイン画像1994年生まれの新鋭・川北ゆめき監督の透明感に満ちたアーティスティックな感性と、シンガーソングライター大槻美奈の希有な才能、若手俳優たちのみずみずしい魅力が紡ぎ出す、ほろ苦く美しい青春映画。大学の映画サークルに所属する襟加、萌花、祐介は、卒業を前に最後の映画製作に着手する。夢を追う日々が終わりに近づくにつれ、それぞれの心は希望と不安に揺れ始め……。川北監督が中央大学の映画研究会在籍中に撮り上げ、MOOSIC LAB 2018 の【長編部門】で大槻がスペシャル・メンションに輝いた作品。青春に終わりを告げる若者たちの心模様を繊細に描いた本作は、同世代はもちろん、かつて夢を追った人々の心にも、もの作りへの愛情を呼び起こさせるだろう。そして、いつしか心の奥にしまい込んだいた宝箱を再びそっと開けてみたとき、そこには、懐かしい日々のなかで拾い集めた小さな宝石の欠片たちが、映画に描かれた星空のように光り輝いているのだろう。(min)

2019年6月8日(土)〜21日(金)池袋シネマ・ロサ、6月29日(土)~7月5日(金)京都 出町座にて公開 公式Twitter
(2018年/日本/68分)監督・脚本・編集:川北ゆめき 劇中歌・音楽:大槻美奈 出演:時吉襟加、竹内ももこ、野島健矢、進藤智美、大槻美奈、木村知貴 配給:SPOTTED PRODUCTIONS

関連記事:【イケガールに会いたい! Vol.9】愛らしいルックスの奥に秘めた真摯なまなざし! 竹内ももこちゃんの巻。


『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』

濃すぎる面々が繰り広げる家族のドタバタ劇

映画『家族にサルーテ!』メイン画像

ナポリ湾に浮かぶ美しいイスキア島を舞台に、人間味あふれる、否、人間くさすぎる家族が、涙あり笑いありの騒動を展開する。本国イタリアでは大ヒットを記録。島に暮らすピエトロ&アルバ夫妻の金婚式を祝うため、久しぶりに親戚一同19名が集合。しかし天候不良でフェリーが欠航になり、パーティー後も皆島に残ることに。時間が経つにつれ、それまで隠していた本音や秘密が徐々に露呈し始める。果たしてこの嵐は収まるのか? 問題だらけの困った家族なのに「大家族って面白い!」と感じるのは、イタリア人の大らかさによるものか、イスキア島のマジックか。そんな彼らがまた数年後にどこかで集い、「チャオ」と言い合う姿が目に浮かぶ。(吉永くま)

2019年6月21日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2018年/イタリア/107分)原題:A casa tutti bene 監督:ガブリエレ・ムッチーノ 出演:ステファノ・アコルシ、ステファニア・サンドレッリ、イヴァノ・マレスコッティほか 配給:アルバトロス・フィルム、ドマ ©2018 Lotus Production e 3 Marys Entertainment


『ある町の高い煙突』

日立の大煙突と桜並木に秘められた感動の実話

映画『ある町の高い煙突』昭和の文豪・新田次郎の同名小説を松村克弥監督が映画化。明治が終わりを告げようとしている1910年の茨城県久慈郡を舞台に、日立鉱山の煙害と戦った地元村民たちの姿を史実に基づいて描く物語だ。裕福な地主の家に生まれ育った関根三郎(井手麻渡)は、隣村の日立鉱山による煙害が発生している事実を知り、進学も外交官になる夢も捨て、煙害と闘うことを決意する……。立場的には敵と味方でありながら、村民を率いる三郎と日立鉱山の庶務課長の加屋淳平(渡辺大)が互いに理解し合い、若きリーダーとして志高く闘う姿が感動を呼ぶ。当時、世界一の高さを誇った155.7メートルの大煙突と桜並木が生まれた理由は、地球規模で環境問題が深刻化し、CSR(企業の社会的責任)が重要視される今こそ、多くの人々が知るべき真実だ。井手、渡辺、小島梨里杏ら若手実力派とそれを支える豪華きわまりないベテラン俳優陣の名演も見どころだ。(min)

2019年6月22日(土)より全国公開 <ユナイテッド・シネマ水戸、シネプレックスつくば 6月14日(金)先行公開> 公式サイト 予告編動画
(2019年/日本/130分)監督・脚本:松村克弥 原作:新田次郎『ある町の高い煙突』(文春文庫刊)出演:井手麻渡、渡辺大、小島梨里杏、吉川晃司、仲代達矢、大和田伸也 ほか ナレーション:阿川佐和子 配給:エレファントハウス/Kムーブ ©2019 Kムーブ


『COLD WAR あの歌、2つの心』

時代に翻弄された男女の運命と愛の行方

映画『COLD WAR』メイン画像91回アカデミー賞3部門にノミネートされた、パヴリコフスキ監督(『イーダ』)の最新作。冷戦下のポーランド、ピアニストのヴィクトルと歌手志望のズーラは音楽舞踏学校で出会い、愛し合うようになる。だがヴィクトルは西側に亡命。その後再会した2人は何度かのすれ違いを経てパリで共に暮らし始めるが、ある日突然ズーラが帰国。彼は後を追うが、思いもかけない運命が待ち受けていた。分断された東西の国々で再会と別れを繰り返しながらも絆を断ち切れない恋人たち。モノクロの映像と哀愁を帯びたメロディが、彼らの愛を美しく際立たせる。遠い歴史になりつつある冷戦時代の2人の生き様は、今を生きる私たちにも深い余韻を残す。(吉永くま)

2019年6月28日(金)より全国公開 公式サイト 予告編動画
(2018年/ポーランド・イギリス・フランス/88分)原題:ZIMNA WOJNA 監督:パヴェウ・パヴリコフスキ 出演:ヨアンナ・クーリク、トマシュ・コット、アガタ・クレシャほか 配給:キノフィルムズ

ページトップへ戻る

  • 2019年06月02日更新

トラックバックURL:http://mini-theater.com/2019/6-new-movies-in-theaters/trackback/