フィンランド映画祭 2010 オープニングセレモニー
- 2010年11月03日更新
2010年10月30日(土)、恵比寿ガーデンシネマにてフィンランド映画祭2010のオープニングセレモニーが開催されました。今年は、フィンランドの新世代の監督たちがメガホンを取った7本の新作映画を上映。セレモニーではまず、特別後援の駐日フィンランド大使館を代表し、ユッカ・パヤリネン一等書記官が日本語で挨拶を行いました。↑の画像、左から、クラウス・ハロ監督、アク・ロウヒミエス監督、サーラ・サーレラ監督、パヤリネン氏です。
駐日フィンランド大使館 ユッカ・パヤリネン一等書記官
皆様こんにちは。フィンランド映画祭にようこそいらっしゃいました。この映画祭では、1960年代後半から70年代生まれの若い監督、女性監督3人と男性監督4人による7本の作品が紹介されます。今国内では、フィンランド映画の人気が高いのですが、その理由は簡単で、フィンランド映画が面白いからです。ベテランのアキ・カウリスマキ監督に続き、たくさんの若い世代の監督が良い作品をどんどん作っています。映画はその国の文化や生活を知るための窓です。映画を通してフィンランドのことをもっと知ってもらいたい、もっと中まで覗き込んで監督が伝えたいことを知ってもらいたいと思っています。そして感動を日本の皆様と分かち合えることができたら最高です。
続いて、上映7作品のうち3作品の監督が登壇。『ツイステッド・ルーツ』のサーラ・サーレラ監督、『4月の涙(仮題)』のアク・ロウヒミエス監督、『ヤコブへの手紙』のクラウス・ハロ監督の3名が、日本の観客に向けてメッセージを送りました。
『ツイステッド・ルーツ』サーラ・サーレラ監督
“(日本語で)私はサーラさんです。どうぞよろしくお願いします。”私はヘルシンキ出身の39歳の映画監督です。今日皆さんにご覧頂きます『ツイステッド・ルーツ』は私にとって初の試みとなった長編映画で、監督と脚本の1部を担当しました。この作品は家族に関する話です。家族の絆、また親から子へ遺伝したり連鎖したりするさまざまなものについて描かれています。
私は1980年代の後半に3年間家族とともに東京で生活したことがあるので、この映画を東京で上映できるということは大きな意味を持っています。3年間の東京での生活は私に大きな影響を及ぼしたと思っているのですが、今回は逆に私の作品を通して、フィンランドの一部を皆さんに紹介できることをとても嬉しく思っています。
『4月の涙(仮題)』アク・ロウヒミエス監督
私も今日この場にいられることをとても嬉しく思っています。本日19時から上映される私の映画『4月の涙(仮題)』は、リーナ・ランダーの原作に基づいた作品で、ラブストーリーになっています。今まで、世界のいろいろな国で上映され、さまざまな国の人の反応を見てきました。今回、この映画が日本の皆様にどのように受け入れられるのか、非常に楽しみにしています。
この作品は、1918年のフィンランドの内戦が舞台になっています。フィンランドの沖合にあるたくさんの島々のうちの1つで撮影を行い、撮影時期はやはり4月でした。撮影時にスタッフの間では、日本の映画に関する話題もかなり出たのですが、私は日本映画の素晴らしさをとても高く評価しています。
この映画のテーマは「愛」です。これは国籍を問わず、誰にとっても非常に大切なテーマなのではないでしょうか。ぜひ楽しんで頂ければと思います。
※当サイトでは、ロウヒミエス監督にインタビューをおこないました! 『4月の涙(仮題)』日本公開に合わせて掲載予定です。お楽しみに!
『ヤコブへの手紙』クラウス・ハロ監督
皆様に本日お会いできたこと、また今回のフィンランド映画祭の上映作品の1つに私の作品が選ばれたことをとても嬉しく思っています。今回の『ヤコブへの手紙』は私の4本目の長編映画となります。この映画が作られたこと自体、私にとっても驚きです。全く無名の人物から急に脚本が送られてきたのですが、初めは全く興味もなく、読むつもりもありませんでした。その後、いろいろな事情から読むことになり、そのテーマに非常に興味をそそられました。
この映画には、中心的な登場人物が2人います。年老いた盲目の牧師と死刑囚の女性で、さまざまな場面を通じてだんだんこの2人の間に友情が芽生えてくる、そうした人間関係についてのお話となっています。自分の幼少期の1970年代が舞台となっており、作品では当時の雰囲気を出しています。人間が大きな失敗をしてしまった、もしくは取り返しのつかないことをしてしまった時に、人間はどのように感じるのか、どのような行動をとるのか、そしてそこに救いがあるのか、そういうことを主に考えさせる内容になっています。
この映画はすでにフィンランド国内はもちろん、さまざまな国で上映されています。その後だから言えるのかもしれませんが、「仮にこれが自分の最後の作品になったとしても、自分自身のために絶対に作らなければならない」という強い気持ちでこの作品を作りました。そして映画を見て頂いたいろいろな国の方々から、「このような映画を作ってくださってありがとうございます。本当に感動しました。」という声をたくさん頂きました。それが今度は自分にとってまた大きなプレゼントになっているのです。ぜひ皆様にご覧頂き、気に入っていただければ幸せです。
※当サイトでは、ハロ監督にインタビューをおこないました! 『ヤコブへの手紙』日本公開に合わせて掲載予定です。お楽しみに!
自分の作品への愛と自信を語った3監督。できるだけ多くの日本の観客に観てもらいたいという熱い気持ちが伝わってきました。
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▼フィンランド映画祭 2010 期間 2010年10月30日(土)~11月5日(金) 会場 恵比寿ガーデンシネマ 特別後援:駐日フィンランド大使館 主催:フィンランド・フィルム・ファンデーション 協力:アルシネテラン 運営:角川メディアハウス ●フィンランド映画祭 2010 公式サイト ※詳しいスケジュール、チケット購入方法等は、公式サイトをご参照ください。 改行 ▼関連記事 ●無名の人物から届いた脚本が始まり―フィンランド映画祭2010 『ヤコブへの手紙』 クラウス・ハロ監督 ティーチ・イン ●フィンランド映画祭 2010 |
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《セレブの靴チェック!》 | ||
ロウヒミエス監督 | ハロ監督 | パヤリネン氏 |
サーレラ監督 |
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取材・編集・文:吉永くま スチール撮影:荒木理臣
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- 2010年11月03日更新
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