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『雨の方舟』7月公開決定! 新鋭・瀬浪歌央監督が描く幻想的現代劇—予告編&井浦新氏、白石和彌監督ほか応援コメント到着!
- 2022年06月06日更新
瀬浪歌央監督の初長編作品『雨の方舟』が、池袋シネマ・ロサを皮切りに 2022年7月30日(土)より全国順次公開されることが決定し、予告編および場面写真が解禁された。さらに、井浦新氏や白石和彌監督ほかそうそうたる映画人たちからの応援メッセージも寄せられた。
新鋭・瀬浪歌央監督が描く幻想的現代劇
耳の聞こえない少女と健常者の少女の交流を描いた初監督作品『パンにジャムをぬること』(短編)が国内外の映画祭で注目を浴びた新鋭・瀬浪歌央。彼女が京都造形芸術大学の卒業制作作品(2019年度)として制作し、2020年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭でも上映された本作は、「存在」と「滅びゆく文化」を描く幻想的現代劇。同じく京都造形芸術大学出身の大塚菜々穂が主人公・塔子を演じ、本作のプロデューサーも務める。
瀬浪監督の初長編作となる本作の舞台は岡山。監督の祖母の実家があるこの土地で、「訪れる度に人は減り、景色が変わり、次第に朽ちていくその場所を残したい」という想いから撮影したという。地元住民も出演しており、今まさにそこで生きている人たちの姿も映し出される。どこか懐かしさを感じる風景と不穏さを感じさせられるような時間の流れの中で、“明日”というものの存在を観客に問いかける作品となっている。
「私」という存在は、何処で生まれ何処へ還ってゆくのだろう?
【STORY】「君は、自分がいなくなった世界を想像したことがある?」 降りしきる雨の中、森で彷徨った塔子は、4人の男女が暮らす家で目を覚ます。しかし、彼らは何かが不自然だった。 野外にあるドラム缶、風呂の炊き方や、渓流での洗濯などを学ぶ中で、どこからか食物を調達し、自給自足の生活をしている彼らとの暮らしにも馴染んでいく塔子だった。しかし、そんな時、不思議なことが起こり始める……。
■瀬浪歌央(せなみ かお)[監督]
1997年生まれ、愛知県出身。京都造形芸術大学映画学科制作コース卒業。鈴木卓爾監督『嵐電』に助監督として参加。初監督作品『パンにジャムをぬること』(短編)がGYEONGGI FILM SCHOOL FESTIVAL 2019AsianStudentFilms、東京ろう国際映画祭公募部門に選出される。初長編監督作『雨の方舟』は、2020年SKIPシティ国際Dシネマ映画祭ノミネート作品。
【コメント】今の私に言えることは、人は絶対を兼ね備えた、滅びゆく文化であるということです。気づくことと気づかないこと。この映画を制作していて、ふっと、どちらが幸せなのかと考えることが多くなりました。気づかない方が幸せなのではないかと。けれど私は、気づかない人間には到底なれないのです。みなさんにも、そんな答えのないことを一度考えてみていただけたらと思います。大切なモノ。今しか見られないモノ。私たちだから映せたものを確かに感じていただける作品です。是非、観てください。
■大塚菜々穂(おおつか ななほ)[主演/プロデューサー]
1997年生まれ、京都府出身。京都造形芸術大学映画学科俳優コース卒業。卒業後、ユーステールに所属。MOOSICLAB2018 短編部門『リビングファミリー』(矢部凜監督)、『浜辺のゲーム』(夏都愛未監督)、『パンにジャムをぬること』(瀬浪歌央監督) 、『明けない夜とリバーサイド』(夏衣麻彩子監督)、『雨の方舟』(瀬浪歌央監督)等に出演。
【コメント】この映画が完成してすぐ、世界は今まで通りではなくなり、当たり前にできていたことが出来なくなりました。でも明日はやってくるし、生きていかなければいけない。じゃあ”私”はどう生きていくのかそんな事を考えさせられる作品です。いつかはなくなってしまう景色や言葉、人が映っています。
瀬浪歌央初長編監督作品『雨の方舟』をどうぞよろしくお願いいたします。
応援コメント
俳優:井浦新 氏
かつて人を乗せ走っていたバスは廃車になり、農作業をしなくなった畑や田んぼは雑草が生え野原へと、人の住まなくなった家は朽ちゆき、勢いの盛んだった人もいつかは衰え居なくなってゆく。諸行無常はこの村にだけ起きていることではなく全ての理。けれど、無かったことにしたくない! そんな祈りのような瀬浪監督の情熱こそが、作品が携えている神秘性の根源のように感じました。
ふたつの太陽から西陽が射し込む不思議な村に迷い込んだ塔子の記憶には、出逢った人々や経験し学んだこと、食卓を囲み食べたご飯の味がずっと在り続ける。いつかきっと誰かへ伝わり、そうやって人々の記憶の中に存在し続ける。あのふたつの太陽の内のひとつは、希望の光であってほしいと願わずにはいられない。
映画監督:白石和彌 氏
静かに流れる時間の中で、失われてゆく風景や人々の残像が心を掻き乱す。瀬浪監督の視線は時に残酷だが、時にとてつもなく優しい。その眼力の強さが心地よい緊張感と深い余韻を作品にもたらしている。是非、多くの人に見てもらいたい作品だ。瀬浪監督が次に何を映画として切り撮るのかも、とても気になってしまう。次も、すぐに!
映画監督:風間志織 氏
最近の世の中の表現ってやつが均質化して妙にマジメで堅苦しくなっているなと感じる。其処へ行くと瀬浪歌央監督の『雨の方舟』はイマドキかなりヘンテコな映画だ。社会から忘れ去られたような日本の山村に暮らす若者達のところに転がり込んだ家出少女。しかし彼女や彼らについての説明は一切無い。瀬浪は、今時ならば新興宗教的疑似家族ホラーになり得る物語りを敢えて拒否し、ひたすら懐かしいと惑わされるような古き良きニッポンの壊れた山村に現代の若者達をただそこに揺蕩うように存在させる。狂言回しでもある家出少女役を演じる大塚菜々穂の眼差しが、この映画のヘンテコさをより強靱にする。彼女の視線はまるで3歳児のそれのようにひたすら真っ直ぐで、猜疑心や反発、好奇心を内包し、こちらを見つめ返す。もはや言葉は虚しい。彼女の異様に真っ直ぐな眼差しはどこへ向かうのか?きっとその方向は監督と共有しているのだろう。坦々として過激。この映画の堂々としたヘンテコさは、瀬浪がこれからも映画を撮ってゆく表現者としての重要な武器となるだろう。彼女の次回作がどこへ向かうのか楽しみにしている。
映画監督:金子雅和 氏
植林された自然の中、若者たちは常に不安を抱えているように見える。それは大いなる生態系から切り離されてしまった現代人の、無意識の哀しみを表しているのかも知れない。
目に見えぬ「言霊」を描こうと、僅かな月の光を頼りに暗闇の中へ手を伸ばすような本作のリリシズムは、水面を漂う女性のイメージと重なり、ビル・エヴァンス「アンダーカレント」を想起した。
月と海、潮の満ち引き。つまりは一人の女性が、失われた内なる自然=身体性を取り戻す物語なのだ。
作品概要・前売り鑑賞券情報
▼『雨の方舟』
(2020/日本/70min/DCP/16:9/5.1ch)
監督・編集:瀬浪歌央
撮影・照明:藤野昭輝 録音:植原美月、大森円華 脚本:松本笑佳 助監督:東祐作、中田侑杏 美術:村山侑紀奈、中原怜瑠 衣装:柴田隼希、瀬戸さくら、大谷彪祐 音楽:瀬浪歌央、近藤晴香 タイトル・フライヤーデザイン:山岡奈々海
プロデューサー:大塚菜々穂
出演:大塚菜々穂、松㟢翔平、川島千京、上原優人、池田きくの、中田茉奈実
製作:2019年度京都造形芸術大学映画学科卒業制昨瀬浪組
【前売り鑑賞券】
■料金:1,300円(税込) ※当日一般券 1,500円
池袋シネマ・ロサ 劇場窓口にて販売中
※2022年7月30日(土)〜8月12日(金)池袋シネマ・ロサにて2週間レイトショーほか全国順次公開
(編集:min)
- 2022年06月06日更新
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