『馬の骨』〜「イカ天」から30年……元ヴォーカリストの中年男と地下アイドルが、志を共に奮起する!〜

  • 2018年06月01日更新

映画『馬の骨』メイン画像30年前に一世を風靡し、多くのバンドをデビューさせた伝説のテレビ番組・通称「イカ天」。この番組に実際に出場したバンド「馬の骨」のヴォーカリストで、現在は俳優に転身している桐生コウジが、自ら企画・主演した、オフビート音楽コメディー。悩める地下アイドルであるヒロインに、朝ドラ等で活躍してきた若手女優・小島藤子を迎え、中年男の再起とミュージシャン志望の若い女性が成長する姿を同時に描く。平成が終わりを告げようとしている今だからこそ作られた、不器用なアマチュアミュージシャンたちの、世代を超えた熱いハートの物語。
2018年6月2日(土)テアトル新宿ほか全国順次公開

鬱屈した日々の中、流れ着いた格安シェアハウスでも、さらなるピンチ……

映画『馬の骨』画像2【あらすじ】30年前「イカ天」に出場したバンド「馬の骨」のヴォーカリスト・熊田美津夫(桐生コウジ)。今ではすっかり音楽活動から離れ、鬱屈した日々を過ごしており、仕事先の工事現場ではトラブルを起こして、解雇されてしまう始末。生活にも行き詰まった熊田は、家賃の安さに惹かれ、都会から外れた、山近くの一軒家である、格安シェアハウスに転がり込むことに。そこに先住していたのは、地下アイドル・桜本町ユカ(小島藤子)、ヲタク大学生・垣内(深澤大河)、キノコ狩りが趣味の宝部(ベンガル)、のんきな大家(しのへけい子)の面々。入居早々「職業は?」と問われた熊田は、つい「音楽関係」と口走ってしまう。それを聞いて、本来シンガーソングライター志望のユカは、熊田に音楽的指南を求めようとする。しかし、ユカのファンでもあるヲタク大学生・垣内が、熊田の正体に気がついて……。

実際に「イカ天」に出場、栄光をつかみとった過去をもつ「馬の骨」のリアル

映画『馬の骨』画像3平成元年に放映された伝説のテレビ番組「平成名物TV 三宅裕司のいかすバンド天国」は、当時のバンドブームの火付け役ともなり、数々の人気バンドを輩出した。しかし30年後の現在、プロミュージシャンとして活躍するのは、その中のごく一部。本作は、そんな「ごく一部」から漏れていった1人の中年男にスポットを当てた物語だ。実際に、桐生コウジがヴォーカル担当だったバンド「馬の骨」は、当時「イカ天」で審査員特別賞を受賞している。その桐生本人が脚本にも参加しており、虚実交えた様々な設定が盛り込まれた。さらに「イカ天」審査委員長だった音楽評論家・萩原健太と「イカ天」出身の現役ミュージシャン・石川浩司も特別出演。「イカ天」ファンはもちろん、若き日に、現在とは違う夢を追っていた中年世代には、胸に刺さるエピソードも多く、主人公が再起をかけ奮起する姿には、気持ちを動かされずにいられないだろう。

現役アイドル×老舗ライブハウス

映画『馬の骨』画像4ヒロイン・ユカが所属しているという設定の、4人組アイドルグループ「ツキノワ★ベアーズ」には、現役アイドルも参加。「夢みるアドレセンス」の志田友美 、「i☆Ris」の茜屋日海夏、さらに元アイドルで現在女優の、河上英里子。若干、腹グロなキャラクターを演じている点は、現実とは違うだろうが、ライブシーンはアイドルらしい華があり、現実のファンも必見だ。ライブの撮影は、2017年末に、惜しまれつつ閉館した老舗のライブハウス「新宿JAM」で行われたという(ちなみに、新宿JAMはクラウドファンディングを経て、新生ライブハウス「西永福JAM」として再起している模様)。老舗ライブハウスでのステージは、地下アイドル感を醸し出し、味わい深い場面となっている。

ソロでギター弾き語りにチャレンジした小島藤子

映画『馬の骨』画像5NHK連続テレビ小説『ひよっこ』『カーネーション』などに出演してきた、本作ヒロインの、女優・小島藤子。今回、アイドルグループのステージパフォーマンスだけでなく、ソロの弾き語りにも挑戦している。趣味でギターには馴染んできたそうだが、半年ほど集中して取り組み、ステージでひとり弾き語るシーンを演じた。こなれ過ぎていない演奏と透明感ある歌唱は、好感度が高く、新たなスタートを踏み出そうとするヒロインのみずみずしさを、よりリアルに見せてくれる。また、バンド「馬の骨」として演奏する俳優陣も、半年前からスタジオで練習を重ねたという。本人たちによる演奏シーンは、本作最大の見どころ。平成終了のカウントダウンが始まった今、アラフィフ&20代、2つの世代がシンクロする本作を、ぜひ劇場でご堪能ください。

>>『馬の骨』予告編映像<<

▼『馬の骨』作品・公開情報
映画『馬の骨』画像6(2018年/DCP/アメリカンビスタ/5.1ch/91分)
監督:桐生コウジ
出演:小島藤子、深澤大河、ベンガル、桐生コウジ、しのへけい子、信太昌之、黒田大輔、大浦龍宇一、髙橋洋、粟田麗、大和田健介、草野康太、吉田優華、志田友美、茜屋日海夏、河上英里子、萩原健太、石川浩司 ほか
脚本:桐生コウジ・坂ノ下博樹・杉原憲明
製作・配給:株式会社オフィス桐生
Ⓒ 2018オフィス桐生

『馬の骨』公式サイト

※2018年6月2日(土)テアトル新宿ほか全国順次公開

文:市川はるひ

  • 2018年06月01日更新

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