『イスラーム映画祭2015』-恋愛、結婚、家族、あなたが共感するイスラームの人々の感情に出会えるかもしれない映画祭

  • 2015年12月12日更新

2015年をふり返ると”イスラーム”ということばが頻繁にニュースにとりあげられた。イスラームとは世界の2割を超える、16億万人が信仰している宗教だ。巨大な宗教であるにもかかわらず、日本にいるとイスラームの情報はあまりに断片的だ。知らず知らずのうちにイスラームという言葉といわれのない暴力、テロをリンクさせてしまってはいないだろうか。知らず知らずのうちに自分とはわかりあうことのできない人々と思ってはいないだろうか。ユーロスペースでは12日より7日間、イスラームをテーマに映画祭が開催される。コメディから社会派ドラマまで、イスラームを信仰する人々の暮らし、悩み、喜び、楽しみ、苦しみがつまった、よりすぐりの9作品が一挙に上映される。映画祭期間中は上映後にトークセッションもあるのでより深くイスラームの世界の今を知ることチャンスだ。今回は映画祭おすすめの3作品をご紹介。映画の中で、あなたが共感するイスラームの人々の感情に出会えるかもしれない。(c) 2014 Les Films du Worso (c) Dune Vision


『神に誓って』(パキスタン)
共にミュージシャンの兄弟。しかし、内向的な弟が過激派の思想に染まり、兄は弟を気遣いながらもアメリカへ留学する。ロンドンに住む従妹メリーは英国人の恋人と結婚する予定だったが、それを快く思わない父親に…。パキスタン国内における原理主義とリベラルなムスリムの軋轢や、異教徒間での結婚など、様々なテーマをダイナミックに捉えた重量級の社会派ドラマ。本国では歴代興行記録を塗り替え、一大社会現象にまで発展しました。
12月13日 15時の回上映終了後にトークセッションあり


『長い旅』(パリ⇔サウジアラビア)
フランス生まれのモロッコ人2世レダは、敬虔なムスリムである父親に頼まれ、メッカまでの運転手をするハメに。学校の試験も受けられず、恋人とも離れ離れになってしまったレダはことあるごとに父親と喧嘩するが…。“少しずつ互いを理解してゆく父子の物語と、フランスからサウジアラビアまで7ヵ国をまたぐ旅が心をゆさぶるロード・ムービー。





『ガザを飛ぶブタ』(パレスチナ)
パレスチナ人の漁師ジャファールは、ある日豚を引き揚げてしまい驚く。当局に知られる前にこの不浄な動物を処分しなければと焦るが、金に困っていた彼は、知人の助言からユダヤ人女性エレーナに商売を持ちかける…。イスラームとユダヤの双方にとって禁忌とされる豚をめぐる騒動を通じ、いまだ和平への道のりが遠いパレスチナを風刺した痛快コメディです。イスラエル人俳優がパレスチナ人を、アラブ系女優がイスラエル人を演じています。
12月14日 13時の回上映終了後にトークセッションあり




▼イスラーム映画祭2015開催概要
会期: 2015年12月12日(土)~18日(金)
会場: 渋谷ユーロスペース
主催: イスラーム映画祭実行委員会
特別協力: TRANSIT編集部
運営:シネヴィル(シーハウス)
イスラーム映画祭公式サイト

文:白玉

  • 2015年12月12日更新

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