第14 回東京フィルメックス―映画人が特別な思いを抱く映画祭

  • 2013年11月23日更新

11月23日より第14回東京フィルメックスがスタートする。園子温、行定勲、SABU、ロウ・イエ、アピチャートポン・ウィーラセータクン、ジャ・ジャンクー…カンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭をはじめとする国際映画祭が今後必ずや注目するであろう映画作家を、世界に先駆けて、いち早く紹介し続けてきた映画祭、東京フィルメックス。今年もコンペティション部門10本をはじめ「映画でドキドキしたい人が見るべき」作品が目白押し。「ミニシアターに行こう。」流の楽しみ方をご紹介します。(作品画像は『カラオケ・ガール』)

 

その1 将来の巨匠を青田買いしたい
東京フィルメックスの見どころは、これから絶対に来る!監督の原点が見られること。東京フィルメックスをきっかけに注目を集め、世界に飛び立つ監督は少なくない。注目したいのはアジア出身の監督がとらえた「その国の形」だ。世界に発信すべきその国の現状を世界に通じる切り口で描く、キレのある演出に注目していただきたい。もちろん日本からの出品作も世界で戦う準便はできている。

『花咲くころ』In Bloom
グルジア、ドイツ、フランス/2013/102 分
監督:ナナ・エクチミシヴィリ、ジーモン・グロス(Nana EKVTIMISHVILI, Simon GROSS)
1992 年、ソ連解体によって独立国家となったものの、辺境の民族紛争による内戦の危機にさらされていたグルジアのトビリシを舞台に、14 歳になったばかりの2 人の少女の成長を瑞々しく描いた作品。ベルリン映画祭フォーラム部門で上映され、CICAE 賞を受賞。

『祭の馬』The Horses of Fukushima
日本/2013/74 分
監督:松林要樹(MATSUBAYASHI Yoju)
配給:東風
『相馬看花 第一部 奪われた土地の記憶』が国内外で高い評価を受けたドキュメンタリー作家、松林要樹の最新作。東日本大震災を生き延びた一頭の馬がたどる数奇な運命を追う。クライマックスに展開される神事“相馬野馬追”の迫力ある映像も見どころ。
11月25日に松林要樹監督が登壇します。

 



その2 いち早く注目作を押さえておきたい
カンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭など、国際映画祭で高い評価を得た作品をいち早く紹介する特別招待作品。世界的な評価の高さも去ることながら、作品にこめられた「今、映画が世界に伝えるべき」激しい思いを劇場で感じていただきたい。作品によっては監督が登壇し、その場で監督の思いを聞くこともできる。

『THE MISSING PICTURE(英題)L’Image Manquante
カンボジア、フランス/2013/95 分
監督:リティ・パニュ(Rithy PANH)
配給:アステア
ポル・ポト政権下のカンボジアをリティ・パニュが自身の体験に基づいて描いた傑作。当時の庶民の映像がほとんど残されていない中、土人形を用いて失われた風景を再現するアイデアが秀逸。カンヌ映画祭「ある視点」部門最優秀賞受賞。
11月30日にリティ・パニュ監督が登壇します。

『閉ざされたカーテン』Closed Curtain
イラン/2013/106 分
監督:ジャファル・パナヒ、カンボジヤ・パルトヴィ(Jafar PANAHI, Kamboziya PARTOVI)
イラン政府により公式には映画製作を禁じられているジャファル・パナヒが『これは映画ではない』に続いて発表した監督作品。カスピ海沿岸の別荘を舞台に、虚実が入り混じった謎めいた物語が展開する。ベルリン映画祭で脚本賞を受賞した。



その3 世界の人に自慢しながら日本映画を紹介したい
70 回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門で『夜の片鱗』(64)が上映され、世界的にも注目を集めている中村登監督。『夜の片鱗』を始めとする3作品が英語字幕付きニュープリントで特集上映される。日本が世界に認められた名作を改めて鑑賞するチャンス。ヒューマントラスト有楽町でもこの3作品を含めた10作品を上映する。併せてチェックして。

『夜の片鱗』The Shape of Night
1964 年/106 分
出演:桑野みゆき、平幹二朗、園井啓介、岩本多代、富永美沙子、菅原文太
19 歳の芳江はヤクザの英次と恋仲になる。売春を強要されるようになり、耐えきれずに逃げ出そうとするが……。ろくでなしと知りつつ離れられないヒロインを桑野が好演。色彩設計やカメラワークが映像に深みのある美しさを生み、叙情的な世界を作り出している。
©1964 松竹



▼第14回東京フィルメックス
期 間: 2013年11月23日(土) ~ 12月1日(日)
会 場(予定): 有楽町朝日ホール(有楽町マリオン) (メイン会場:11/23(土)~12/1(日))
TOHOシネマズ 日劇 (レイトショー会場:11/23(土)~11/30(土))
主催:特定非営利活動法人東京フィルメックス実行委員会
●第14回東京フィルメックス公式サイト

文:白玉

  • 2013年11月23日更新

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