年月の記事

『ル・コルビュジエの家』 脚本家アンドレス・ドゥプラットさん トークショー ― この映画を味わい尽くすヒントと知識のすべてがここにある。

8月3日(金)、『ル・コルビュジエの家』の脚本家アンドレス・ドゥプラットさんが来日して、東京都内某所でトークショーをおこなった。9月15日(土)より新宿K’s Cinemaほかにて全国順次公開の本作の舞台は、ブエノスアイレスに実在する「クルチェット邸」という家。20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエが設計した家である。この家も主人公といえる本作を味わい尽くすために、建築家でもあるアンドレスさんのお話にじっくりと耳を傾けよう。トークショーの模様を、ほぼノーカットでお届けする。

『第9回ラテンビート映画祭』-ラテンの魅惑的で挑発的な映画をいち早く

今年で9回目を迎える日本で唯一のスペイン、中南米の映画祭が開幕。ラテン各国からコメディ、ヒューマンドラマ、ドキュメンタリーなどバラエティーに富んだ17作品が上映される。市民運動を始めとする“ムーブメント”をラテンらしいユニークな視点から捉えた見ごたえある作品が集結。今回もミニシアお勧めの作品をご紹介します。

『エレベーター』 - 密閉空間に閉じ込められる恐怖の中、人間の本性が剥き出しになる。

当然ながら、閉所が苦手な人におすすめできる映画ではない。狭く密閉された空間はほぼ満員状態。登場人物の一人は極度の閉所恐怖症で、その神経の昂りや緊張感にこちらまで息苦しくなる。そのうえ、あと少しで爆発する時限爆弾もエレベーターの中にあるという……。日常頻繁に使用するエレベーターで起こる恐怖は、他人事ではない。9月29日(土)から10月19日(金)までシネクイントにて公開。© Quite Nice Pictures 2011 All Rights Reserved.

『ル・コルビュジエの家』 ― ある日、突然、隣家から自分の家が丸見えになってしまったら……?

ル・コルビュジエは20世紀を代表する建築家。この映画の主人公は、コルビュジエが設計した家に住んでいる。しかし、コルビュジエに関する知識は、本作を観る上で必ずしも必要ではない。「ある日、突然、隣人が不穏なことをやらかし始めた」 ― 誰もがどきっとして不安を禁じえないこの点に興味と共感をいだければ、必ずや存分に愉しめる作品だ。非社交的な主人公と、やたらとフレンドリーでずうずうしい隣人が繰り広げる、おかしくも不気味さが漂う、巧妙な皮肉にあふれた物語である。ラストには、唖然とすること必至。その驚愕を体験するために、ぜひ映画館へ駆けつけていただきたい。9月15日(土)より、新宿K’s Cinemaほか全国順次公開。

第5回したまちコメディ映画祭in台東-この週末はひと笑いしに下町に

日本の喜劇発祥の地「浅草」と、日本有数の芸術・文化施設の集積地域「上野」を舞台に地元の人々が作り上げる映画祭『したまちコメディ映画祭in台東』。喜劇映画にこだわった映画祭の面白さはなんといっても総合プロデューサーで“笑いの目利き”でもある、いとうせいこうさんが世界中のコメディ作品から、「今一番観るべき喜劇映画」をセレクトして上映するという事。もちろんいとうせいこうプロデュースは作品セレクションにとどまらず、劇場空間でなければ味わえない、しかけやパフォーマンスも楽しみの一つ。今回はミニシア流笑いのツボとともにお勧め上映作品をご紹介。この週末はひと笑いしに下町に出かけてみてはどうだろう。(c) 2012 みうらじゅん/「したまちコメディ映画祭in台東」実行委員会

『スリープレス・ナイト』 ― 混沌と緊張の渦へと引き込まれる! 世界が熱狂したフランス発ノンストップ・ノワールアクション。

マフィアからドラッグを強奪した刑事と、刑事の息子を誘拐したマフィア。パリの巨大ナイトクラブを舞台に、閉ざされた空間での熾烈な攻防戦を描く『スリープレス・ナイト』。追う者と追われる者、それぞれの思惑が複雑に絡み合いながら、物語は予期せぬ方向に進んでいく……。2011年トロント国際映画祭で喝采を浴び、各国映画会社の争奪戦の末にワーナー・ブラザーズによるハリウッドリメイクも決定したフランス発の傑作ノワール・アクション。9月15日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。© Chic Films – PTD – Saga Film

「第21回 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」 ― あなたがしびれるのはどの作品? コンペティションのグランプリは「観客投票」で決定!

「アジア最大規模」を誇るLGBT映画の祭典「第21回 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」が今年も開幕! 9月14日(金)~17日(月・祝)、東京・青山のスパイラルホールにて開催だ。見逃せないプログラムとラインアップが揃う中、ミニシアが注目するのは「レインボー・リール・コンペティション」 ― 日本の気鋭の監督たちが手がけた短編映画のコンペティションで、そのグランプリは「観客投票」によって決定するのだ。あなたの琴線に触れまくるのは、どの作品だろうか? さあ、ノミネートされた全4作品を観て、「この作品が、わたしの『一番』!!」に投票をしよう(画像は、宮崎光代監督作品『TSUYAKO』 (c) TSUYAKO 2011)。

『スケッチ・オブ・ミャーク』 ― 第64回ロカルノ国際映画祭で熱い拍手を受けた、宮古島の神事と音楽の素描。

文字に残すでもなく、口承でのみ伝えられてきた唄。沖縄県宮古島では、「神歌(かみうた)」と「古謡(アーグ)」という2つの唄が、古くから歌い継がれてきた。これらの唄には、神への信仰や厳しい労働生活など、静謐な願いや痛切な想いが織り込まれている。本作は、宮古島で密かに守られてきた神事と音楽を追うことで、原初の風景と時代の介入を併せもつこの島の姿を切り取ったドキュメンタリーだ。近年、継承が危ぶまれる島の文化を、ひっそりと衰弱させるのではなく、記録することで継いでいこうとするひとびとの想いを感じてほしい。9月15日(土)より東京都写真美術館ホールにてロードショー。全国順次公開。(c) Koichi Onishi 2011