5月公開映画 短評 ―New Movies in Theaters―

  • 2019年05月03日更新

5月公開映画の中から、ミニシアライターが気になった作品をまとめてピックアップ! あなたが気になるのは、どの映画!?

LINE UP
5/3(金)公開『キュクロプス
5/10(金)公開 『スケート・キッチン』『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー
5/24(金)公開 『バイオレンス・ボイジャー』『パリ、嘘つきな恋


『キュクロプス

復讐の狂気と暴力に飲み込まれた男の哀しき運命

映画『キュプロクス』メイン画像妻とその愛人を殺した濡れ衣を着せられ、14年間服役した男の復讐ノワール劇。『シン・ゴジラ』などの監督助手を務めてきた大庭功睦監督が、オディロン・ルドンの絵画作品「キュクロプス」に着想を得て撮り上げた渾身の自主製作映画であり、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018ではシネガーアワードと北海道知事賞の2冠に輝いた。監督自身が感じていた「溢れかえる情報が自身の中で飽和し、信じるべきものが分からなくなったときの不安感や焦燥感」を落とし込んだというシナリオを、主演の池内万作がストイックな演技で体現する。脇を固めるキャストも斉藤悠、佐藤貢三、杉山ひこひこ、あこらと個性派揃いだ。復讐の狂気と暴力衝動に飲み込まれ、やがてその目的を見失っていく男の哀しみに、胸がヒリつく。(編集部)

2019年5月3日(金)より全国順次公開 公式サイト
(2018年/日本/108分)製作・脚本・監督:大庭功睦 出演:池内万作、斉藤悠、佐藤貢三、あこ、杉山ひこひこ、島津健太郎、山中良弘 ほか 配給・宣伝:アルミード © 2018 Norichika OBA


『スケート・キッチン』

NYガールズスケーターたちのリアルでみずみずしい青春

映画『スケート・キッチン』メイン画像NYのガールズスケーターたちの友情を描き、2018年サンダンス映画祭ほか各国映画祭で話題を呼んだ青春映画。郊外に住む17歳のカミーユはスケートボードに夢中。しかし、ケガをして母親からスケートを禁止されてしまう。そんなある日、彼女は“スケート・キッチン”という女子のスケートクルーに出会い、ますますスケートにのめり込んでいく……。実在のチーム“スケート・キッチン”のメンバーが、多様なバックグラウンドを持つ少女たちを等身大で演じ、リアルな“いま”の中に普遍的な成長物語を描く。スケートボードの疾走感、木々を揺らす風、きらめく日射し、夕日に浮かび上がる街など、かけがえのない瞬間をさりげなく切り取った映像のモチーフがステキだ。(min)

2019年5月10日(金)より全国順次公開 公式サイト
(2018年/アメリカ/106分/R-15+)原題:Skate Kitchen 監督・脚本:クリスタル・モーゼル 出演:スケート・キッチン(カブリーナ・アダムズ、ニーナ・モラン、ジュールス・ロレンゾ、アーディーリア・ラブレス、レイチェル・ヴィンベルク、アジャニ・ラッセル、ブレン・ロレンゾ)、ジェイデン・スミス、エリザベス・ロドリゲス 配給:パルコ © 2017 Skate Girl Film LLC.


『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』

20世紀の芸術史を変えたヌレエフの決断とは?

映画『ホワイト・クロウ』メイン画像カリスマ的なバレエダンサー、ルドルフ・ヌレエフの前半生を描く。監督は名優レイフ・ファインズ。1961年、ルドルフはソ連のバレエ団の一員としてパリ公演に参加。だが、その傲慢と評される性格や西側の人間との交流がKGBの監視対象になり、突然の帰国命令を受ける。ダンサー生命が断たれるという不安と恐怖に苛まれる中、彼が下した決断とは……。歴史的瞬間ともいえる空港シーンの漲る緊張感に思わず息が止まる。冷戦という異様な状況が彼の人生を変え、結果的に世界の芸術史を変えたという運命の不思議。個性的な美貌を持つ主役のイヴェンコはタタール劇場のプリンシパル。演技初経験だというが、その際立つ存在感に惹きつけられる。(吉永くま)

2019年5月10日(金)より全国順次公開 公式サイト
2018年/イギリス・ロシア・フランス/127分 原題:THE WHITE CROW 監督:レイフ・ファインズ 出演:オレグ・イヴェンコ、アデル・エグザルホプロス、セルゲイ・ポルーニン、レイフ・ファインズほか 配給:キノフィルムズ/木下グループ ©2019 BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND MAGNOLIA MAE FILMS


『バイオレンス・ボイジャー』

鬼才・宇治茶ワールドが炸裂する仰天ゲキメーション!

映画『バイオレンス・ボイジャー』メイン画像メイン画像人間と仏像の融合生命体が乱舞する怪奇アニメ『燃える仏像人間』(2013)で注目を浴びた、京都在住のクリエイター「宇治茶」が、監督、脚本、編集、キャラクター造型、作画、撮影の6役を1人でこなし、劇画とアニメーションを融合させた“ゲキメーション”で描く長編映画。主人公は好奇心いっぱいの8歳のアメリカ人少年、ボビー。夏休みのある日、親友のあっくんと飼い猫のデレクを連れて森に行ったボビーは、怪しげな娯楽施設「バイオレンス・ボイジャー」を発見する。興味津々で入場したものの、そこにはトンデモない秘密が隠されていて……。クセのあるキャラクターと奇想天外なストーリー、そして唯一無二の映像世界で織りなす宇治茶ワールドは、ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭で審査員特別賞を受賞するなど、世界各国の映画祭でも注目の的。悠木碧、田中直樹、高橋茂雄、田口トモロヲ、松本人志といった豪華なボイスキャストにも注目だ。(min)

2019年5月24日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2018年/日本/83分/PG-12) 監督・脚本・作画・撮影・編集:宇治茶 出演:悠木碧、田中直樹(ココリコ)、藤田咲、高橋茂雄(サバンナ)、 小野大輔、田口トモロヲ、松本人志(特別出演) 配給:よしもとクリエイティブ・エージェンシー ©吉本興業


『パリ、嘘つきな恋』

とびきり幸せな余韻に浸れる大人の恋愛コメディ

映画『パリ、嘘つきな恋』メイン画像

リッチで軽薄なモテ男ジョスランは、亡くなった母の隣人ジュリーの気を引くために車椅子生活をしていると嘘をつく。そんな彼に、ジュリーはやはり車椅子に乗る姉のフロランスを紹介。ヴァイオリニストでテニスでも活躍する快活なフロランスに、彼は本気で恋をしてしまう。やがて真実を話すべき時が。だが彼は、奇想天外な計画で嘘を切り抜けようとするのだった。笑顔が魅力的で前向きな彼女に対し、墓穴を掘り続けるジョスランの愚かさが滑稽だ。必見は彼の部屋でのディナーシーン。こんなロマンティックなサプライズ、恋に落ちないわけがない! 繊細なテーマを温かいユーモアでくるんだ本作は、極上のハッピーを届けてくれるだろう。(吉永くま))

2019年5月24日(金)より全国公開 公式サイト 予告編動画
2018年/フランス/108分 英題:Rolling to You 原題:Tout le Monde Debout 監督・脚本:フランク・デュボスク 出演:フランク・デュボスク、アレクサンドラ・ラミー、エルザ・ジルベルスタインほか 配給:松竹株式会社 © 2018 Gaumont / La Boétie Films / TF1 Films Production / Pour Toi Public

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