8月公開映画 短評 ―New Movies in Theaters―

  • 2018年08月01日更新

8月公開映画の中から、ミニシアライターが気になった作品をまとめてピックアップ! あなたが気になるのは、どの映画!?

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8/4(土)公開 祈り 三部作〜『祈り』『希望の樹』『懺悔(ざんげ)』〜
8/10(金)公開『追想』
8/18(土)公開『ちょっとの雨ならがまん』 『ファー・イースト・ベイビーズ』
『ポップ・アイ』
8/25(土)公開『クリミナル・タウン』
8/31(金)公開 『判決、ふたつの希望』


祈り 三部作〜『祈り』『希望の樹』『懺悔(ざんげ)』〜

ジョージアの巨匠が手掛けた映画史に残るトリロジー

映画『祈り』メイン画像

ジョージア(グルジア)の巨匠、テンギズ・アブラゼ監督が20年近くの歳月をかけて完成させた三部作。『祈り』では宗教の対立、『希望の樹』では因習、『懺悔』では独裁者によって困難を強いられる市井の人々を描いた。『祈り』は日本初公開。
◇『祈り』… 国民的作家V.プシャヴェラの叙事詩をもとに、北東部の山岳地帯に暮らすキリスト教徒とイスラム教徒の対立をモノクロームで描く。敵であっても相手の尊厳を大切にする男と、“異なる者”に不寛容な周囲の人々との落差が招く悲劇。後者の愚行に憤りを覚えつつ、似たようなことはどの時代、どの国にも起こり得ると気づかされる。厳かな雰囲気が漂う重厚な映像が印象的。(吉永くま)

2018年8月4日(土)より3作品同時全国順次公開 公式サイト
監督:テンギズ・アブラゼ ▼『祈り』(1967年/ジョージア/78分)原題:Vedreba 出演:スパルタク・バガシュヴィリ © “Georgia Film” Studio, 1968 © RUSCICO, 2000 ▼『希望の樹』(1976 年/ジョージア/107分)原題:Natvris Khe 出演:リカ・カヴジャラゼ ▼『懺悔(ざんげ)』(1984 年/ジョージア/153分)原題:Monaniaba 出演:アフタンディル・マハラゼ 配給:ザジフィルムズ


『追想』

若さゆえの繊細な感情がもたらした、切ない“歯車の狂い”

映画『追想』メイン画像互いに一目で恋に落ち、強い愛情で結ばれた男女が、ささいなすれ違いからたった1日で結婚生活を終わらせてしまう、苦く美しいラブストーリー。イギリスの作家イアン・マキューアンの人気小説「初夜」を、著者本人による脚本で映画化。メガホンを執ったのはBBCドラマ『嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~』で監督デビューし、今作が初の長編映画となるドミニク・クック。純粋で繊細な若さゆえの自尊心を体現したフローレンス役のシアーシャ・ローナンは、若手女優の代表と呼ばれるにふさわしい演技力を見せつける。エドワード役の英国美青年俳優、ビリー・ハウルが見せる焦燥と失望の表情も見どころ。静かな感動の余韻が残る作品だ。(min)

2018年8月10日(金)より全国順次公開 公式サイト
(2018年/イギリス/110分) 原題:On Chesil Beach 監督:ドミニク・クック 原作・脚本:イアン・マキューアン 出演:シアーシャ・ローナン、ビリー・ハウル、エミリー・ワトソン、アンヌ=マリー・ダフ、サミュエル・ウェスト ほか 配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES  © British Broadcasting Corporation/ Number 9 Films (Chesil) Limited 2017


『ちょっとの雨ならがまん』

幻の80年代ジャパニーズ・ハードコアパンク・ドキュメンタリー

映画『ちょっとの雨ならがまん』メイン画像公開から34年を経て、幻といわれた80`Sジャパニーズ・ハードコア・パンクシーンのドキュメンタリー映画がスクリーンに蘇る! G.I.S.M.、GAUZE、THE COMES、THE EXECUTEら“ハードコア四天王”ほか、町田町蔵(現・町田康)や石井聰亙(現・石井岳龍)など、現在も世界に影響を与え続けるアーティストたちとその表現を、当時21歳の安田潤司監督が時代の空気やエネルギーとともに8ミリフィルムに収めた記念碑的な作品。シーンの中心人物たちのインタビューと伝説的なライブシーンなど、貴重な映像の連続から目が離せない。当時を知る人も知らない人も、渦巻くような時代の熱を感じるだろう。(min)

2018年8月18日(土)より全国順次公開 公式サイト
(1983年/日本/スタンダード/DCP) 監督:安田潤司 出演:GAUZE、G.I.S.M.、THE EXECUTE 、THE COMES、THE TRASH、CLAY、GASTUNK、町田町蔵、石井聰亙、サヨコ(ZELDA)、佐藤幸雄(すきすきスウィッチ)、マサミ ほか 宣伝美術:佐々木暁 配給:P.P.P.project + silver gelatin © 2018 P.P.P.project

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『ファー・イースト・ベイビーズ』

90年代を生きる若者たちのエネルギーと現代アートの共鳴

映画『ファー・イースト・ベイビーズ』メイン画像安田潤司監督が、演劇界の奇才・飴屋法水をはじめとするアンダーグラウンドシーンのアーティストたちとの出会いから着想を得て撮ったという94年公開の長編劇映画。ウクレレバンドのガソリン兄弟を主人公に、彼らの友人ワクタが大切にする木彫りの「おばあちゃん」が盗まれたことから、ひと夏の平穏な空気が一変する様を描いていく。全編モノクロの映像のなか、若者たちのエネルギーと現代アートが共鳴し合う挑戦的な作品であり、飴屋のほか、東京グランギニョル、M.M.M.、テクノクラートのメンバーや、G.I.S.M.のSAKEVI、頭脳警察のパンタと石塚俊明といったアーティストたちが本人役で登場するのも見どころだ。(min)

2018年8月18日(土)より全国順次公開 公式サイト
(1993年/日本/ビスタ/DCP) 監督:安田潤司 出演:石川成俊、棚橋ナッツ、上野仁、佐野秀介、和久田理人、柴崎賀宜、飴屋法水、SAKEVI(G.I.S.M.)、PANTA(頭脳警察)、石塚俊明(頭脳警察)ほか 宣伝美術:佐々木暁 配給:P.P.P.project + silver gelatin © 2018 P.P.P.project

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