8月公開映画 短評 ―New Movies in Theaters―(2ページ目)

  • 2018年08月01日更新

『ポップ・アイ』

タイ発、象と行くしょぼくれオジサンの旅

映画『ポップ・アイ』メイン画像妻にも職場にも見放され、今やしょぼくれたオジサンとなってしまった元・一流建築家タナーが、幼少期の思い出の地まで、象と共に500キロの旅に出るロードムービー。象のポパイが犬猫のように、親しげに振る舞う姿が実に可愛い。思い通りにならないポパイを連れ、難航する旅の途中で出会うのは、悟りを開いた世捨て人・心優しい女装ゲイ・昔の恋人を思うピュアな女性ら、悲しみも喜びも知る人々。寓話的な出来事に満ちた、トボけた旅を見守るうちに「生」や「死」について考えられて、じんわり沁みる作品。主人公タナー役の俳優は、元々ミュージシャン。本作がデビューと思えぬほど、飄々とした味わいあるキャラで好演している。(市川はるひ)

2018年8月18日(土)より全国順次公開 公式サイト
(2017年/シンガポール・タイ/102分) 原題:POP AYE 監督:カーステン・タン 出演:タネート・ワラークンヌクロ、ペンパック・シリクン、チャイワット・カムディ ほか 配給:トレノバ、ディレクターズ・ユニブ


『クリミナル・タウン』

アンセル&クロエが主演!サスペンス&青春

映画『クリミナル・タウン』メイン画像アンセル・エルゴート(『ベイビー・ドライバー』)、クロエ・G・モレッツと、最旬キャストがそろった青春ストーリー。優等生だった黒人の親友が死亡、なぜかギャングとの関係を疑われ、真相は藪の中。憤った主人公は、孤軍奮闘、真相に迫ろうとするが……。過去出演作から”スーパーティーンエイジャー”の印象が強いアンセル&クロエが、どちらも特殊能力ナシ、というのは、若干ムズがゆい。しかし2人がピュアな高校生役をどう演じるのかは、ファンなら気になるところ。憧れのデビッド・ボウイ、初めての性体験など、思春期の甘酸っぱいカケラがあちこちに散らばり、真相にたどり着いた瞬間には、青春の切なさが溢れてくる。(市川はるひ)

2018年8月25日(土)より全国順次公開 公式サイト
(2017年/アメリカ/86分) 原題:November Criminals 監督:サーシャ・ガバシ 出演:アンセル・エルゴート、クロエ・グレース・モレッツ、デビッド・ストラザーン ほか 配給:ギャガ・プラス © 2016 NOVEMBER CRIMINALS HOLDINGS, LLC


『判決、ふたつの希望』

一言は憎悪の渦へ…止まらぬ負のスパイラル

映画『判決、ふたつの希望』メイン画像タランティーノ監督のアシスタントカメラマンだったレバノン出身の監督が、自己体験を題材に撮った、社会派エンターテイメント。レバノン人男性の理不尽な仕打ちに、口を突いて出たパレスチナ人労働者の悪態。ささいなきっかけから事態は二転三転、ヘイト問題に発展し、やがて国民を巻き込む大問題へとなだれ込む。この負のスパイラルに、どきどきハラハラしっぱなし。些細な衝突が、信条違いの弁護士たちを歯車に、国を巻き込む憎しみの渦に発展するまでの流れは、あまりにスムーズで、悪魔的なマジックのよう。もつれた糸を解きほぐすカギはどこにあるのか? 観客を引き付けて離さない手腕と、包容力ある視点に、心を掴まれる。(市川はるひ)

2018年8月31日(金)より全国順次公開 公式サイト
(2017年/レバノン・フランス/113分) 原題:L’insulte/英題:The Insult 監督・脚本:ジアド・ドゥエイリ 出演:アデル・カラム、カメル・エル・バシャ、リタ・ハーエク ほか 配給:ロングライド © 2017 TESSALIT PRODUCTIONS – ROUGE INTERNATIONAL – EZEKIEL FILMS –  SCOPE PICTURES – DOURI FILMS PHOTO © TESSALIT PRODUCTIONS – ROUGE INTERNATIONAL

 

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