『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』-タイの天才女子高生が手がける世界を股にかけたカンニング・プロジェクト!

  • 2018年09月21日更新

映画『バッド・ジーニアス』メイン画像受験戦争が過熱するタイを舞台に、天才少女をリーダーとした高校生の犯罪グループが、その頭脳と度胸と行動力で大がかりなカンニング計画に挑む。世界16の国と地域で大ヒットを記録し、そのうち中国や台湾、ベトナム、マレーシアなどではタイ映画史上歴代興行収入第1位となった。巧妙な計画やスリリングな展開は高校生版「オーシャンズ11」と評されたこともあるという。28分間にわたるクライマックスのカンニングシーンに、思わず手に汗握る。


カンニング・ビジネスで大儲け

タイ・バンコク。小学生のころから成績はずっとオールAで、中学でも首席だった天才女子高生リン。父子家庭で生活に余裕はないが、特待奨学生として国内有数の進学校に転入した。リンは、天真爛漫だが勉強はできないグレースと友達になり、古典的な方法で彼女の試験を手助けする。

そこでリンが思いついたビジネスは、より高度なカンニング方法を使って、答えと引き換えにお金をもらうというもの。学生たちはリンのもとに殺到する。だが、同じく奨学生で大学進学を目指すもう一人の天才、生真面目なバンクはそれを快く思っていなかった……。

そして、アメリカの大学に留学するための大学統一入試「STIC」を舞台に、リンとグレース、グレースの彼氏で資産家の息子パットは、最後で最大のトリックを仕掛けようと画策。彼女たちは何とかバンクを仲間に引き入れようとする。

物語から透けて見えるタイの社会問題

リンたちの若さとエネルギーに満ちた姿は、とても眩しい。だが、同時に純粋さ、愚かさ、残酷さ、傷つきやすさも持ち合わせており、不安を抱きながら、今を生きようとしている。

作品の背後に見えるのは、経済発展目覚ましいタイの“学歴偏重”や“経済格差”いう社会問題だ。決して裕福とはいえないリンやバンクにとって、留学や良い大学に行くことは、その境遇から脱し、這い上がってお金持ちになるための手段。一方、グレースやパットにとっての留学は、親からの期待に応えるためのものであり、箔を付けるためのものなのだ。

置かれた環境も考えも異なる彼らの利害が一致したとき、国を跨ぐ一大カンニング・プロジェクトが始動する。荒唐無稽に思えるこの計画だが、実際に中国で起こった集団不正入試事件をモチーフにしているという。

「高学歴者が皆幸せなわけではない」ということを知っている者の目には、はじめ彼らの一連の行動は浅はかに映る。だが、その一瞬にすべてをかける一途さを目にするうちに、この計画が失敗しないように、うまくいくようにと、はらはらしながら祈るような気持ちになってくるだろう。

見応えのある犯罪×青春映画

とてつもなく狡猾で無鉄砲だが、どこか危ういこのチーム。だが、その緻密に計画された、現代ならではのカンニング方法には感心するばかり。とりあえず「カンニングは犯罪」「行く末が心配」という分別のついた大人としての意見は置いておこう。青さと逞しさとほろ苦さを内包した優れた犯罪映画、青春映画として思う存分楽しみたい。

 

 

>>『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』予告編映像<<

 

▼『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』作品・公開情報
映画『バッド・ジーニアス』ポスター原題:Chalard Games Goeng
(2017年/タイ/タイ語/130分)
監督:ナタウット・プーンピリヤ
脚本:ナタウット・プーンピリヤ、タニーダ・ハンタウィーワッタナー、ワスドーン・ピヤロンナ
出演:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン、チャーノン・サンティナトーンクン、イッサヤー・ホースワン、ティーラドン・スパパンピンヨー、タネート・ワラークンヌクロ
配給:ザジフィルムズ/マクザム
後援:タイ王国大使館、タイ国政府観光庁
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『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』公式サイト

※2018年9月22日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開

文:吉永くま

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