『1987、ある闘いの真実』― 人々の勇気と信念の連鎖が国家を変えた真実のドラマ

  • 2018年09月07日更新

映画『1987、ある闘いの真実』メイン画像全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領による徹底した軍事政権下の韓国で、民主化闘争に関わった人々の実話を描く衝撃の社会派ドラマ。一人の大学生の不審死をきっかけに、やがて国中へと広がった国民たちの闘いを、さまざまな人々の視点から濃密かつサスペンスフルに描いていく。メガホンを執ったのは、『ファイ 悪魔に育てられた少年』(2013)のチャン・ジュナン監督。『チェイサー』(2008)、『哀しき獣』(2010)での共演も印象深かったキム・ユンソク、ハ・ジョンウほか、カン・ドンウォン、ソル・ギョング、ユ・ヘジン、キム・テリなど、豪華極まりない俳優たちの渾身の演技も深く胸を打つ。

一人の大学生の不審な死から、やがて韓国全土を巻き込む民主化闘争へ

映画『1987、ある闘いの真実』サブ41980年の「光州事件」を鎮圧した全斗煥が大統領に就任し、警察による民主化運動の取り締まりが激しさを極めていた、1987年1月のある日。パク所長(キム・ユンソク)が指揮する南営洞警察では、過酷な取り調べを受けていたソウル大学の学生が死亡する。警察はその事実を隠ぺいするため、親にも遺体を見せずに火葬しようとするが、その行動に疑問を抱いたチェ検事(ハ・ジョンウ)は、断固として検死解剖を命じる。

映画『1987、ある闘いの真実』サブ2解剖の結果、学生が拷問致死であったことが明るみになると、政府は取り調べを担当した複数の刑事のうち2人だけに罪を着せ、逮捕することで事件の収拾を図ろうとする。しかし、今度はこれに気付いた新聞記者や刑務所の看守らが、事実を白日のもとにさらそうと密かに行動を起こす。警察による妨害が日に日にエスカレートしていくなか、拷問で仲間を失った大学生たち(カン・ドンウォン)もまた団結して立ち上がり、やがて韓国全土を巻き込む民主化闘争へと発展していく……。

人々の勇気と信念の連鎖が国家を変えた、真実のドラマ

映画『1987、ある闘いの真実』サブ3

31年前、すぐ隣の国で起こっていた知られざる真実に衝撃を受けた。日本がバブル経済に沸き立っていたあの時代、韓国の人々は真の民主化とはほど遠い日常の中で生きていたのだ。厳しい報道規制により政治的な真実を知ることもできず、街のいたるところでは一般市民が厳しい検問を受けていた。そして、ひとたび怪しいところが見つかれば、北のスパイだという濡れ衣を着せられて、過酷な取り調べや拷問を受けることになる。学生運動に参加しただけでも容赦はない。未来ある若者の前途や命の重さなど、当時の軍事独裁政権下では情けの対象にはならなかったのだ。

映画『1987、ある闘いの真実』サブサブ1そんななか、巨大な権力に屈せず、自らの真実と信念を貫こうと奔走した人々がいた。本作は、彼ら一人ひとりの勇気ある行動の連鎖が、やがて韓国全土をも巻き込み「大統領直接選挙制」を獲得するまでを描いた作品だ。民主化闘争に関わった人々がどのようにして闘い、どのように正義を貫いたのかを、検事、記者、看守、大学生などさまざまな登場人物の目線から映し出していく。事実を忠実に描きながらも、人々が抱える背景やドラマも濃密に織り込み、劇映画としての魅力も溢れている。もちろん、実力派の超豪華キャストが顔を揃えているのも本作の見どころだ。エンターテインメント性の高い作品ではあるが、やはり当時の韓国の政治的背景などを頭に入れて観に行くほうが、より映画の内容が理解しやすいだろう。

 

>>>『1987、ある闘いの真実』本予告映像<<<


『1987、ある闘いの真実』作品・公開情報

映画『1987、ある闘いの真実』ポスタービジュアル(2017年/韓国/129分)
原題:1987: When the Day
監督:チャン・ジュナン
出演:キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ユ・ヘジン、キム・テリ、ソル・ギョング、カン・ドンウォン、パク・ヒスン、イ・ヒジュン、ヨ・ジング
提供:ツイン、Hulu
配給:ツイン
© 2017 CJ E&M CORPORATION, WOOJEUNG FILM ALL RIGHTS RESERVED

『1987、ある闘いの真実』公式サイト

※2018年9月8日(土)シネマート新宿ほか全国順次公開

文:min

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