【スクリーンの女神たち】『四月の永い夢』主演・朝倉あきさんインタビュー

  • 2018年05月08日更新

【スクリーンの女神たち】朝倉あきスクリーンで女神のごとく輝く女優にスポットを当て、出演作品とその素顔の魅力に迫る本コラム。今回は、2018年5月12日(土)より全国順次公開となる映画『四月の永い夢』で主人公の滝本初海を演じる、朝倉あきさんにご登場いただきました!

『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(2016)で国内外から高い評価を受けた新鋭・中川龍太郎監督のオリジナル脚本によるこの作品は、恋人の自死によって深い喪失感を抱えた女性の心の光と影を優しいまなざしで描き、2017 年開催のモスクワ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞とロシア映画批評家連盟特別表彰のW受賞も果たした注目作。透明感あるたたずまいで初海役をみずみずしく演じた朝倉さんに、本作出演への思いと、少し意外とも思える最近の趣味などについて語っていただきました。


大きな感情表現を伴わないからこそ感じる、演技の難しさ

【スクリーンの女神たち】朝倉あき― 最初に脚本を読まれたときの印象をお聞かせください。

朝倉あきさん(以下、朝倉):出演オファーと同時に脚本をいただいたのですが、主人公・初海の気持ちがとてもていねいに描かれていて、素晴らしい作品だと思いました。この役を演じたいという思いが強くわき上がりました。

― 中川監督は本作のキャスティングにおいて“声”を重要視されたそうですが、朝倉さんの柔らかく憂いを帯び、それでいて凜とした美しい声が、初海という役に魂を吹き込んだ。そんな印象を強く受けました

朝倉:ありがとうございます。でも、普段はもっと高いトーンでわーっと話すタイプなんです。特に家族や親しい方と話すときは早口になってしまって。中川監督からも初海を演じるにあたって「少し声のトーンを落として話してほしい」と言われました。

― 早口のイメージはなかったので、意外ですね。ほかに初海を演じるなかで気を付けたことや、難しいと感じた部分はありますか?

朝倉:脚本を読んでいるときは、初海の感情の流れも理解できましたし、共感もしやすかったのですが、大きな感情表現を伴わない分、演じるとなると難しいだろうとは思っていました。初海がどう感じて何を求めているのか、自分の判断と監督のイメージするものが果たしてどこまで合っているのか、やはり現場では戸惑うことも多々ありました。

― 繊細な感情表現だけに、その“さじ加減”が難しかったと。

朝倉:はい。本当に何気ない、ふとした反応や仕草に迷うんです。例えば、志熊さん(三浦貴大)と2人で歩くシーンでは、どのくらい彼の方を見て話すのだろうとか。脚本を読んだときには全く見ないイメージを持っていたけれど、いざ演じてみると「やっぱり見るな」と思ったり。それぞれのシーンで監督と相談しつつも自分の感覚で演じましたけど、常に初海の感情の機微を模索していました。

「中川監督はすごく明るい方。脚本とのギャップにたまに戸惑います(笑)」

【スクリーンの女神たち】朝倉あき― 高橋恵子さん演じる元恋人の母親に胸の内を告白するシーンも、繊細でありながらとてもエモーショナルでした。どのように作り上げたのですか?

朝倉:撮影に入る前に一度だけ、高橋さんと中川監督をまじえてセリフの読み合わせをする機会はありましたが、実はリハーサルらしきものはそれくらいで。ただ、中川監督はそこで「3人でビジョンを共有できた」という実感を得られたようでしたし、そのようなことをおっしゃったと記憶しています。わたしも何となくイメージを固めましたが、それでも不安はありました。この時点では良かったとしても、撮影期間中にまた受け止め方が変わって、現場ではどうなるかわからないと思いましたし……。

― 実際の撮影ではいかがでしたか?

【スクリーンの女神たち】朝倉あき朝倉:現場での微調整はありましたが、監督の明確な指示と高橋さんの素晴らしい演技に引っ張っていただいて、最初にもったイメージは一貫してぶれることなく撮影に臨めました。

― 中川監督の実感は間違っていなかったのですね。それにしても、監督は本当に20代なのでしょうか(笑)!? こんなに円熟味のある作品を撮られたことにも驚きますし、ただならぬ才能を感じています。朝倉さんからご覧になった中川龍太郎監督はどんな方ですか?

朝倉:何ごとに対してもご自分の意見や見識をしっかりと持っていて、それを明確に述べられる方です。“熟考する”ことが身に付いていらっしゃるんだと思います。でも、実はおしゃべり好きで、すごく明るいんですよ。脚本とのギャップにたまに戸惑ってしまうくらい(笑)。現場では、中川監督が一人で明るく盛り上げてくださることもあったのですが、はじめは笑っていいものか迷いました(笑)。

―  あははは。ますます興味深い方ですね(笑)。

意外すぎる趣味!? 朝倉あきが語る「航空無線」の魅力!

【スクリーンの女神たち】朝倉あき

― 朝倉さんの素顔についても伺わせてください。ご趣味は何ですか?

朝倉:わたしの最近の趣味は……「航空無線」を聞くことです。

― んっ!? 航空無線!? なんか、思いっきり意外な方向からボールが飛んできたぞ(笑)。

朝倉:そういう反応になりますよね……(笑)。趣味といっても、詳しいわけではないですし、まだ周囲の人にもあまり言っていないんですけど。

― いやいや、これは貴重なスクープですよ! きっかけは何だったのですか?

朝倉:小中高とずっと図書館通いをしていたくらい本が好きで、これまで趣味は読書だと公言していたんです。でも、もっといろいろなことに目を向けてみようと思ったときに、たまたま航空無線を聞ける携帯アプリがあると知って。それで聞いてみたらハマってしまって……(笑)。

― パイロットや管制官を描いたドラマなどで、 航空無線と思しきものは聞いたことがありますが、具体的にはどんなものなのですか? どんなところに魅力を感じるのですか?

朝倉:航空機を安全かつ正確に運行するために、主にパイロットさんと地上の管制官さんのあいだで行われる通信のことなのですが、独特の航空管制用語を使って抑揚なく事務的にやり取りされる感じが、はじめは少し怖かったんです。でも、用語の意味などが少しずつわかるにつれ、淡々としたやりとりのなかにも個性を感じたり、シンプルに相手に伝えることだけを目的に職務を遂行する様子が、カッコ良いと思えたりするようになったんです。

― これは間違いなく、別の方面からも取材やお仕事のオファーがきますね(笑)。

朝倉:いえいえ(笑)。本当にただの初心者ですので。でも、おもしろいのは、人に何かを伝えるという部分では役者も同じなのに、アプローチの仕方は真逆ともいえるほど違っていて。こういう表現もあるんだと勉強にもなりましたし、わたしも自分のやるべきことをシンプルに淡々とやっていればいいんだって、ちょっと勇気をもらえたりもしているんです。

―  「航空無線の魅力」というテーマで、あと1時間ほどインタビューさせていただけないでしょうか(笑)。

朝倉:あははは(笑)。そうですね……なんて。お話が変な方向にいってしまいましたね。すみません!

― とんでもない! 朝倉さんの意外な素顔を見ることができて、ますますファンになっちゃいました。本日は、貴重なお話をありがとうございました!

【スクリーンの女神たち】朝倉あき
<朝倉あき プロフィール>
1991年、神奈川県出身。2008年に『歓喜の歌』で映画デビュー。2010年には「とめはねっ! 鈴里高校書道部」でテレビドラマに初主演し、NHK連続テレビ小説「てっぱん」「純と愛」や「下町ロケット」「おんな城主 直虎」などの話題作にも出演。主な映画出演作は『神様のカルテ』(2011)、『横道世之介』(2013)、故・高畑勲監督によるスタジオジブリ映画『かぐや姫の物語』(2013)ではヒロイン・かぐや姫の声を演じた。この秋は映画『BLOOD-CLUB DOLLS』が公開予定。今後も幅広いジャンルでの活躍が期待される、今もっとも注目すべき女優

 

【スクリーンの女神たち】朝倉あき_靴チェック

:*:..:* ミニシア名物! 女神の靴チェック :*:..:*:
「普段はあまりヒールを履かないので、安定感のあるウェッジソールが好きなんです」と朝倉さん。やわらかなピンクベージュのサンダルが、透明感のある美しさを一層引き立てています。すらりとしたスタイルに、陶器のような白い肌。鈴を転がすような声でよく笑い、そこに立っているだけで周りの空気を変えてしまう……スクリーンの女神は、その素顔もとびきり魅力的でした!

 

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▼『四月の永い夢』作品・公開情報

映画『四月の永い夢』ポスタービジュアル(2017年/日本/93 分/HD 16:9/5.1ch デジタル)
監督・脚本:中川龍太郎
出演:朝倉あき、三浦貴大、川崎ゆり子、高橋由美子、青柳文子、森次晃嗣/志賀廣太郎、高橋惠子
挿入歌:赤い靴「書を持ち僕は旅に出る」
製作:WIT STUDIO
制作:Tokyo New Cinema
配給:ギャガ・プラス

©WIT STUDIO / Tokyo New Cinema

『四月の永い夢』公式サイト

※2018年5月12日(土) 新宿武蔵野館ほか全国順次公開

 

取材・編集・文:min スチール撮影:ハルプードル

  • 2018年05月08日更新

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