『星空』― 子どもと大人の世界の真ん中で、少女と少年は“星空”を探す旅に出る

  • 2017年10月31日更新

映画『星空』心に傷を抱えた少女と少年が出会い、少女の記憶のなかに輝く星空を見るために二人で旅に出る――。台湾の人気絵本作家ジミー・リャオの同名ベストセラー絵本を、『九月に降る風』『百日告別』のトム・リン監督が映像化した台湾・中国の合作映画『星空』が、待望の日本公開を迎える。2012年に「大阪アジアン映画祭」の特別招待作品として上映され大好評を博すも、日本での版権の所在が不明であることから一般公開には至らず、“幻の名作”と呼ばれた珠玉のファンタジードラマが、5年の時を経てついに沈黙を破る。

心に傷を負った二人は出会い、近づいていく

映画『星空』13歳の少女シンメイは美しい美術品に囲まれ暮らしていた。しかし、美術商を営む両親の仲は冷えきっていて、シンメイの孤独に気付きもしない。心の拠りどころだった優しい彫刻家のおじいちゃんも亡くなり、シンメイはたった一人で寂しさを募らせる。
そんな時、スケッチブックを抱えて街をさまよう不思議な少年ユージエが転校生してくる。子どもと大人の世界の真ん中で、心に傷を負った二人は出会い、互いの孤独に引き寄せられるように近づいていく。
二人で過ごす世界の輝きと、他者と寄り添うことの心強さを知ったシンメイとユージエ。ある日、二人は旅に出る。かつてシンメイがおじいちゃんと見た、あの寂しくて眩しい星空を見るために……。

鮮やかな色彩と幻想的な世界観のなかに描き出す“思春期特有の情感

映画『星空』子どもから大人へと成長する過程で誰もが味わったことのある感傷や淡いときめきを、鮮やかな色彩と幻想的な世界観のなかに描き出す本作。主人公のシンメイを演じるのは、2008年公開の『ミラクル7号』でチャウ・シンチーの息子役を演じたシュウ・チャオ。ミステリアスな少年ユージエ役にはオーディションで1万人のなかから選ばれ、本作で映画デビューを飾ったリン・フイミン。二人の初々しい表情と無垢な存在感は、ほろ苦くも甘酸っぱい思春期特有の情感を胸によみがえらせる。

透明感あふれる映像と情緒的な音楽へのこだわり

映画『星空』感情の機微を丁寧に描く脚本と、透明感あふれる映像。そして、情緒的な音楽へのこだわりもトム・リン監督作品の大きな魅力だ。本作では、日本人アーティストの“world’s end girlfriend”が全編の音楽を手掛けており、アジアで高い人気を誇るロックバンド“Mayday”が提供した同名主題歌が本国でヒットしたことも映画の成功に大きく貢献したという。
さらに、後に『百日告別』で主演を務めるMaydayのギタリスト・石頭(ストーン)ことシー・チンハンが教師役で登場し、シンメイの両親役にはシンガーソングライターで女優のレネ・リウと台湾歌謡界の重鎮で司会者としても人気のハーレム・ユーが顔を揃える。キャスティングの真意は定かではないが、なんともトム・リン監督らしい配役と言えるのではないだろうか。

パズルのピースが導く物語の結末は……?

映画『星空』喜びの儚さと触れ合うことの温かさを知り、少女と少年は現実と幻想の交差する世界で“成長”を遂げる。本作は、自分の人生を力強く生きられるようになった大人にこそ観てほしい作品だ。きっと、多くの人が“いつかの自分”を二人の姿に重ね、みずみずしい感情を思い出すだろう。
消えてしまったシグソーパズルの星をシンメイは見つけられただろうか。スクリーンの先に広がる未来に思いを馳せながら、心温まる映画の結末をぜひ見届けてほしい。

 

映画『星空』メインビジュアル▼『星空』作品・公開情報
(2011年/台湾・中国/99分)
監督・脚本:トム・リン
原題:星空(英題: Starry Starry Night)
原作:ジミー・リャオ「星空」(トゥーヴァージンズ刊)
出演:シュー・チャオ、リン・フイミン、レネ・リウ、ハーレム・ユー、ケネス・ツァン、ジャネル・ツァイ、シー・チンハン、グイ・ルンメイ(特別出演)
配給:太秦

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『星空』公式サイト

※2017年10月28日(土)より新宿K’S cinameほか全国順次公開

文:min

  • 2017年10月31日更新

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