『ストロングマン』-オジさんの“生態”を垣間見られるオジ専垂涎のギリシャ映画

  • 2017年03月21日更新

舞台はギリシャ・エーゲ海。“少しヨレた中年男たちが、競争心も露わにひたすら馬鹿げたゲームで優劣を競う”という設定だけでも、オジさん好きの人々の心をくすぐる。後からじわじわと可笑しさがこみ上げてくる作品だ。監督・脚本は『ビフォア・ミッドナイト』の共同プロデューサーで、女優としても出演をしているアティナ・ラヒル・ツァンガリ。脚本や編集などには『ロブスター』のスタッフが当たっている。


バカげたゲームに男の意地が炸裂!
エーゲ海でクルージングを楽しむ中年男性6人組。気ままに過ごしていたがそれにも飽き、船がアテネに着くまでの間、彼らの中で誰がストロングマン(最高の男)かを決め、勝者には指輪を贈ろうという話になる。一番優れた男を決める方法は、“ズボンのベルトの位置”、“コレステロール値”’、“料理の知識”など一挙一動をお互いに評価し、スコアを付けるというゲーム。最初は冗談半分で楽しんでいた彼らだったが、次第にムキになり男の意地とプライドを懸けた争いへと発展していく。


幼稚性への距離感と温かさ
ストロングマンを決める基準は、ほかにも“本の組み立て方”“寝相の良さ”“勃起後の大きさ”“救助の悲鳴に誰が一番早く来るか”など、ナンセンスなものばかり。この作品の魅力のひとつは、人生経験を積み、家族も仕事もあるいい大人が、こうした滑稽なゲームに興じ、子どものように熱くなり、ケンカさえもするというギャップ。ツァンガリ監督はそんな彼らの姿を冷静に捉えるが、そこに潜む「救いようがないけれども愛おしい」という思いは観客にも伝播する。


後に残る心地良い余韻
ともすれば“オジさん”という集合体は、世間から軽んじられがち。だが、隔絶された海の上で繰り広げられる究極のガス抜きを見れば、日ごろ我慢を強いられている彼らに対して優しい気持ちになるだろう。祭の後の寂しさも含め、味わい深い余韻が残る作品だ。





▼『ストロングマン』作品・公開情報
2015 /ギリシャ/カラー/ギリシャ語/105分
監督:アティナ・ラヒル・ツァンガリ
脚本:アティナ・ラヒル・ツァンガリ、エフティミス・フィリップ
出演:ヨルゴス・ケンドロス、パノス・コロニス、ヴァンゲリス・ムリキス、マキス・パパディミトリウ、ヨルゴス・ピルパソプロス、サキス・ルヴァース
後援:ギリシャ大使館
配給:ファインフィルムズ
3月25日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
●『ストロングマン』公式サイト
(c) 2015 Faliro House & Haos Film

  • 2017年03月21日更新

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