『凍蝶圖鑑』-「好きだからやめられない」普通じゃない人大集合!

  • 2015年01月11日更新

異性装、ドラァグクィーン、SM、緊縛、人体改造…ある特定の嗜好に傾倒している人々、またその嗜好を描きだす写真家、画家達の止められない“変態”の日々を追うドキュメンタリー。「エロティシズムとは死にまで至る生の高揚である」哲学者ジョルジュ・バタイユの言葉の通り、変態―異形そのものとそこから生まれる作品世界は今までその世界を知らなかった人々にも怪しくまとわりつくように脳を刺激していく。監督は「未来世紀ニシナリ」田中幸夫監督。



「好きだからやめられない」普通じゃない人大集合!
梅田の高層ビル群のほど近く、淀川べりの元ホームレス手作りの小屋のあるエリアで開催された「関西難民ディ」と称するバーベキューパーティにはLGBTや、マゾヒスト、ヌーディストといった各種マイノリティが集まる。顔を合わせる人々は優しく抱き合い、キスしあい、肉をほおばり、酒をくみ交わす。この会を主催したのは漫画家であり、イベンターの大黒堂ミロ。自身もゲイだ。新世界を歩くミロは居場所がなく、人恋しさから街に出て、街に育てられた少年時代を振り返る。その中にはLGBTの人々もいた。“異端”であることをテーマにしたイベントなども精力的に企画している。ミロを中心に女装家、ドラァグクィーン、SMパフォーマー、ゴムフェチなど自分のテイストを追い求める人々とその姿を表現する写真家、画家達の日々を追う。



脳を刺激するエロティシズムの世界
図鑑の名にふさわしく、様々な嗜好、テイストに強く傾倒した人々がこの作品を埋めつくす。女装、ドラァグクィーン、SM、緊縛、人体改造。その世界を突き詰めてうまれた形を写真家、谷敦志は異形でありながら最も人間的な映像に昇華させていく。「エロティシズムとは死にまで至る生の高揚である」哲学者ジョルジュ・バタイユの言葉の通り、変態―異形そのものとそこから生まれる作品世界は今までその世界を知らなかった人々にも怪しくまとわりつくように脳を刺激していく。



魂の衝動に突き動かれてしまったギリギリの凍蝶から聞こえる声
高浜虚子の凍蝶の 己が魂 追うて飛ぶ という句がタイトルの凍蝶の由来となっている。
凍蝶とは冬まで生き延びてほとんど動かない蝶のことだ。考える前に己の魂の衝動に突き動かされてギリギリの中で生きる人々の姿は凍蝶と重なる。そのぎりぎりの凍蝶から聞こえてくるのは「誰が何と言おうと、私は好き」という心の声。それが普通の生き方ととらえられなくても良い。周りの人から受けるプレッシャーが想像を超えるものであることは作品の中からも感じられる。しかしなによりもその世界で生きる高揚感、体で感じるすべての感覚がその世界を忘れられないほどに強く求めている。あなたはこの映画を観た後も普通でいられますか?



▼『凍蝶圖鑑』作品・公開情報
2014年/日本/カラ―/75分
監督/撮影/編集/製作:田中幸夫
出演者:大黒堂ミロ、東學、あずみ、谷敦志、シモ―ヌ深雪、林良文、ジョゼフ・カリファ、Diedrich、彫修羅、倉田めば、underline、ai kotoni…他
企画/製作/配給:風楽創作事務所
配給協力/宣伝:細谷隆広、大黒堂ミロ
●『凍蝶圖鑑』オフィシャルサイト

文:白玉

  • 2015年01月11日更新

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