『黒いスーツを着た男』ラファエル・ペルソナインタビュー-アラン・ドロンの再来と言われた美貌の俳優は真面目で母親思い。

  • 2013年09月01日更新

8月31日より公開がスタートする『黒いスーツを着た男』。順風満帆な人生を歩んでいた主人公アルは、結婚を控えたある夜、ひき逃げ事故を起こすが、現実を受け入れることが出来ずに、逃避を続ける。事故を目撃し、通報したジュリエットは病院でアルの姿を見かけ、後を追いかけていく。罪の意識にさいなまれる加害者アル、瀕死の夫を思い続ける被害者の妻ヴェラ、その二人の思いを共有しながら悩む目撃者のジュリエット。3つの世界が交錯するクライムサスペンスは単なる謎解きではなく、三者それぞれの抱える事情と心が繊細に描き出され、真のつぐないを追い求めていく。『ミニシアターに行こう。』ではアラン・ドロンの再来と謳われた主演のラファエル・ペルソナさんにインタビューをしました。質問に対し熱く語る姿は実直で真面目。歯ごたえあるフレンチイケメンのお話をお楽しみください。


事故は逆説的。悲劇でありながら、生まれ変わるためのきっかけなっています。
- 人生の崖っぷちに立つ主人公アルという役をどのように理解にされましたか?
ラファエル・ペルソナ(以下ペルソナ):主人公アルの事故の前の人生と言うのは、金銭的にも余裕があり、誇りに思える友人と家族に囲まれ、そして成功への野心も持っていました。ところが事故に遭い、全てが一転し、実際に起こったことを否定します。現実の拒絶から、事故後の彼の人生は始まっていくのです。自分のおかれている状況や、抱いている感情についてうまく説明できない、そんな混沌とした状態を解明してくれたのはジュリエットの存在です。ジュリエットのおかげで、複雑に絡んでいた出来事が整理され、アルは人生をやり直す方向に向かいます。事故は逆説的なものを含んでいて、悲劇でありながら、生まれ変わるためのきっかけにもなっています。






演技している最中に火山が噴火するように、お湯が沸きたつように出てくるものが重要。
-アラン・ドロンの再来と言われた美男子のラファエルさんですが、美しさにも色々な種類の美しさがあります。今回のラファエルさんの美は「もろさ」「弱さ」の美しさというのがあると思います。そういう役は自分に近いと思われますか?
ペルソナ:フランス文化圏では母親が息子を誇りに思えるかどうかということは重要なことなのです。アルの母親は志の高い息子を誇りに思っています。また、私にとっても母に(私自身を)誇りに思ってもらいたいという思いがあります。ですから自分に近い存在として、同一視しやすかったと思います。ただ、役作りに入る前にあれこれ分析しすぎると(身体を使った演技よりも)頭の中だけで(役を)つくりあげてしまう危険があります。演技した後で、頭の中で分析をするのであればいいのですが、先走ると良くないと思います。
演技している最中に火山が噴火するように、お湯が沸きたつように出てくるものが重要だと思っています。そういうことは脚本には必ずしも書いてあるとは限りません。例えば、アルが車の中で感情を爆発させてわめくシーンがあります。これは脚本にはありませんでした。私の考えた演技です。撮影スタッフはとても怖がっていました。言葉で説明をするのではなくて、ライオンが飛びかかるような感じで爆発をしたわけです。





監督とのいいコミュニケーションが取れるようになって、プロフェッショナルな人間として認めあうことができました
コルシニ監督は繊細な心象風景をとるのが得意な監督ですが、監督とのコミュニケーションはたくさんとられたのでしょうか。監督に対しての思いをお聞かせ下さい。
ペルソナ:実はコルシニ監督に対しては恐怖を抱いていました。厳しくて要求のきつい監督であると聞いていたからです。男の監督だったら要求が厳しくて、きつい性格というのは長所に捉えらますよね。それが女性だと問題になるというのは変だなと思いました。私が望んだのは監督との対等な関係です。コルシニ監督は他人に頭を押さえつけられるのは嫌な人ですから、最初は難しい部分がありましたが、お互いへの敬意がうまれて、うまく関係が築けるようになり、対等に話をすることができました。この作品は去年のカンヌ国際映画祭に出品された作品ですが、テーマとしては重くて厳しい内容の作品でこの作品を通して、お互い深い所まで理解し合えたと思います。彼女とのいいコミュニケーションが取れるようになって、プロフェッショナルな人間として認めあうことができましたね。この映画の中で特に感動したのは母親のまなざしですね。彼女のまなざしは愛情に満ちていました。そういう愛情表現は、言葉が前面に押し出されることはなく、身体から感じ取れる演技なのです。





アラン・ドロンの再来?皆さんが言ってくださっていることはありがたくうけとめています。
-「アラン・ドロンの再来」というご自身につけられたキャッチコピーはあっていると思いますか?
ペルソナ:あってるともあっていないとも何ともいえませんが、皆さんが言ってくださることなので、私自身光栄に思っています。ですから朝起きながら、「さあ、これからアラン・ドロンとしての第二の人生が始まるぞ」と言って起きるわけではなくて、ただ起きて普通に顔を洗って、歯磨きをするだけのことです。皆さんが言ってくださっていることはありがたくうけとめています。






恒例の靴チェック
「憂いのあるイケメンの表情をお願いします」をいう撮影スタッフに、楽しそうに応じてくれたラファエルさん。正統派フレンチイケメンの靴はこちら。カジュアルシューズでリラックスされていました。






文:白玉 鈴木友里

 

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