『最後のマイ・ウェイ』― だれもが知ってるアノ名曲の誕生秘話。輝いていた、あの日のクロクロがスクリーンに蘇る!

  • 2013年07月30日更新

だれもが知ってるアノ曲の、日本人はあんまり知らない生みの親――フランスの国民的スター、クロード・フランソワの波乱の人生を映画化。
クロード・フランソワ、愛称クロクロ―― 1960~70年代にかけて、フランスの国民的大スターとして活躍した伝説のミュージシャンである。 日本での知名度はけっして高くないが、彼が作曲をした『マイ・ウェイ』は、きっと多くの人がご存知だろう。自らの人生を振り返る叙情的な歌詞と、それを盛り上げる壮大なメロディーが実に感動的なこの曲。’69年にフランク・シナトラが歌ったことで大ヒットし、その後はエルヴィス・プレスリーやシド・ヴィシャス、日本の布施明をはじめ、ニーナ・シモン、元ザ・ポーグスのシェイン・マガウアン、ジプシー・キングス、ノーザン・キングス……などなどジャンルを越えたさまざまなアーティストによって、現在この世でもっともカバーされている超有名曲である。


しかし、クロクロが作詞した原曲『Comme d’habitude(コム・ダビチュード=いつものように)』の内容はというと……恋人との関係が冷えていく様子を綴った歌であり、当時アイドルとして人気を集めていたフランス・ギャルとの破局をきっかけに書かれたもの。センチメンタルな歌詞からは、大スターであるクロクロの少々卑屈な内面が垣間見え、世界的な名曲『マイ・ウェイ』の持つ格調高さとはかなり趣が異なる……。現在公開中の『最後のマイ・ウェイ』は、そんなクロード・フランソワの波乱に満ちた人生と、名曲の数々に込められた秘話を描いた作品だ。先述したシナトラやフランス・ギャル、ジョニー・アリディなど実在したアーティストも登場し ‘60~’70年代の仏ショービジネス界が醸成されていく様子がキラキラと描き出されている。華麗なステージングや時代を映し出すファッションにも大注目だ!


ジェレミー・レニエの完璧な役づくり&イメチェンした(?)ブノワ・マジメルに注目!
1939年、クロード・フランソワはエジプトで生まれる。スエズ運河の通行管理をする父エメ(マルク・バルベ)は裕福な実業家。母ショウファ(モニカ・スカティーニ)はギャンブル好きだがおおらかなイタリア人。幸せだった家族も、クロードが17歳の時に第二次世界大戦の影響で父が失職し、モナコへと移住する。家族を支えるため、打楽器奏者として楽団のオーディションを受けたクロードは音楽未経験ながら 、見事に一発合格(これが才能ってもの!?)。 やがて、ヴォーカルとして人気を博すようになる。そこから、紆余曲折ありつつもクロードは国民的アイドル・クロクロへとのぼり詰めていくのだが、そんな息子を父は生涯認めようとはしなかった……。父との確執、妻や恋人への激しい独占欲、コンプレックスだらけの容姿。華やかな活躍の裏では、ささいなことに思い悩む大スターの人間臭すぎる側面が描かれる。憧れのフランク・シナトラを前に臆してしまい、自分が『マイ・ウェイ』の作曲家だと言い出せずにいる姿などは、涙モノである。そんな複雑な内面を持つクロードを演じたのは、実力派俳優のジェレミー・レニエ。この時代のポップスターといえば、名声を得るとともに酒やドラッグに溺れるというパターンが多いなか、不摂生とは一切無縁でストイックに身体を鍛え上げたクロードを完璧に演じるため、楽器演奏、歌、ダンス、そして肉体鍛錬と徹底的に役づくりをしたそうだ。そのかいあって、まさに役が憑依したようなジェレミーの演技は圧巻のひと言。そして、個人的に注目したのは、敏腕マネージャーのポール・ルデルマンを演じたブノワ・マジメル。ミニシアター系作品を好まれる当サイトの読者なら、’01年にミヒャエル・ハネケ監督の『ピアニスト』でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞した美男俳優といえばピンとくるだろうか。そのイケメンが、本作ではかなりぷよっとした体型になり関西風おばちゃんパーマが若干伸びてしまったような姿で登場する。その目力や存在感はさすが!…… なのだが、その姿は役づくりのためだと、し、信じたい……(※あくまで、個人的な意見です) 。


今もなお、すごい! クロード・フランソワの歴史的功績を再確認。
フランス映画史上最高の2000万ユーロ(約24億円)という製作費をかけ、2012年フランス最大規模の905館で公開して大ヒットとなった本作。この事実からも、クロクロが本国フランスではいかに人気の高いアーティストなのかがうかがい知れる。200作を超える作詞、作曲をし、カバー曲も含め生涯に6700万枚のレコードを売り上げたその記録は、驚くことに現在も更新中だ。また、時代を先取りしたマーケティングの才能も格別のものがあった。出版社を立ち上げて写真家としても活躍、世界で一番最初にファンクラブを創設し、フランスのテレビに初めて白人と黒人混合の女性ダンスユニットを出演させ、ディスコサウンドをいち早く楽曲に取り入れるなど、今なお、フランスの音楽界にこれほど多彩な人物はいないと一目置かれている。そんなクロクロの才能が放っておかれるはずもなく、いよいよ世界進出……という矢先、思いもよらぬ事故が起こる。本作は、フローラン=エミリオ・シリ監督と共にクロクロの遺した2人の息子が共同製作に加わり、見果てぬ夢となった父の世界進出を映画という形で叶えた悲願の作品でもあるのだ。



▼『 最後のマイ・ウェイ』作品・公開情報
2012年/フランス/149分
監督:フローラン=エミリオ・シリ
原題:Cloclo
出演:ジェレミー・レニエ、ブノワ・マジメル、モニカ・スカティーニ、サブリナ・セイヴク、アナ・ジラルド、マルク・バルベ
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
コピーライト: © Tibo & Anouchka

『 最後のマイ・ウェイ』公式ホームページ

※2013年7月20日よりBunkamraル・シネマ他、全国順次ロードショー!

文:min

  • 2013年07月30日更新

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