「映画は世界を変える力があるもの」東京フィルメックス最優秀作品賞はイスラエル、アミール・マノール監督に

  • 2012年12月08日更新

12月1日(土)、第13回 東京フィルメックスが盛況のうちに閉.幕。各賞が発表された。コンペティション作品9本の中からテルアビブを舞台に老夫婦の1日を描く作品、アミール・マノール監督の『エピローグ』が最優秀作品賞に輝いた。授賞式の喜びの声をリポートします。







最優秀作品賞
アミール・マノール監督受賞コメント-「映画は世界を変える力があるもの」
映画は世界を変える力があるものであり、過去、現在を通して未来に橋渡しする役割を担っています。映画は我々の人生、社会について反芻するための道具となりうる力を持っています。新しい言語を作り上げ、新しい世界を探し出し、自由、平等、平和をもたらす重要なものです。映画は、国境を越え、対話を可能にし、世界に希望を取り返します。審査員の皆さん、プロデューサー、配給会社、この映画祭のディレクター、プログラムディレクター、ホスピタリティのスタッフの皆さんにも感謝を申し上げます。この映画は私の祖父母に捧げたいと思います。彼らは社会の中で忘れ去られている存在をつきつけることによって、忘れてはいけないということを教えてくれます。人生、生きることの意味を考えさせてくれたと思います。ありがとうございました。

 

『エピローグ』
イスラエル / 2012 / 96分
監督:アミール・マノール
テルアビブを舞台に老夫婦の1日を描く作品。かつては労働運動のリーダーだったベレルとその妻ハユタはみすぼらしいアパートで暮らしている。二人は決して恵まれた老後を送っているとは言えない。ハユタは糖尿病を患っているが、その薬代を払うことすら彼らにとっては容易ではない。映画は、理想をもってイスラエル建国に携わった世代が感じているであろう無力感と絶望を描き出す。

 

審査員特別賞
ソン・ファン監督受賞コメント-「映画を観た後、観客の皆さまから意見を言っていただいて感謝」
参加をさせていただいた東京フィルメックスに、そしてこの作品を審査員特別賞に選んでくださった、審査員の皆さまに感謝します。観客の皆さま、私の映画を観た後で、私と会話を交わし、意見を言ってくださったことに心からありがとうと言いたいです。そして、映画に出演した私の家族、少人数でありながら一生懸命やってくれたスタッフ、特には録音技師の山下彩さん、そして色々な方面でサポートしてくださったエグゼクティブプロデューサーのジャ・ジャンクー監督に感謝します。たくさんありがとう、ありがとうと言ってしまいましたが、最後まで聞いていただいてありがとうございました。

 

『記憶が私を見る』
中国 / 2012 / 87分
監督:ソン・ファン
監督自らが演じるヒロイン、ファン。しばらくの間を両親のもとで過ごすことになったファンのもとへ長いこと会っていなかった親戚たちが訪ねてくる。兄嫁はまだ独身でいるファンに見合いをすすめたりもする。両親の周囲の人々の多くは健康や老いの問題に直面している。人々との会話の中、ファンの脳裏に過去の記憶が呼び起こされる…近年、若手監督のプロデュースを積極的に手がけるジャ・ジャンクーがプロデューサーを担当。本作はロカルノ映画祭でワールド・プレミア上映され、最優秀新人監督賞を受賞した。


観客賞
キングレコード株式会社山口さんのコメント-「二年連続の喜びを早速伝えたいと思います」

『ピエタ』はご存じの通り、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した作品で、非常に尖った内容の作品です。日本の観客に受け入れられるか昨日まで心配でしたが、昨日も満員の上映で、今日は観客賞というありがたい賞をいただき、日本でもいけるという確信を得ました。キム・ギドク監督は二年連続で観客賞を受賞されたという事で、二年連続の喜びを早速伝えたいと思います。

 

『ピエタ(原題)』
韓国 / 2012 / 104分
監督:キム・ギドク
債務者に保険をかけ、重傷を負わせてその保険金で支払わせるという異常な方法で借金を取り立てる男がこの映画の主人公。親兄弟もなく孤独に生きる男の前に、一人の中年女性が現れ、つきまとい始める。女は、その男を幼い頃に捨てた母親だと名乗る。最初は疑念をもっていた男は、次第にその女を母親として受け入れるようになる。やがて男は今の仕事を辞めようと決意するが、その時、その女が何者かに誘拐される。ヴェネチア映画祭で韓国映画史上初めて金獅子賞を受賞したキム・ギドクの新作は、シンプルながら見る者の感情を強烈に揺さぶる傑作。

 

学生審査員賞
高橋泉監督受賞コメント-「うれしいというより”やってやったな”」
学生審査員賞ということで、今、映画の世界に入っていこうとしている人達(学生の皆さん)はギラギラした目で観ていたのではないかと思っています。そういう人達に選んでもらえたことは、うれしいというより「やってやったな」という感じです。僕もこれから超低予算映画を作っていくつもりなので勝負しましょう









『あたしは世界なんかじゃないから』
日本 / 2012 / 112分
監督:高橋泉
保険セールスマンの黒川は、恋人のシノからビデオ撮影のアルバイトを持ちかけられ、その依頼人である由六と会うことになる。由六は過去にイジメを受けていて、その復讐を撮影するのが今回の仕事だという。仕事に追われ、人と真剣に向き合うことを忘れてしまった黒川は、戸惑いながらも仕事を引き受ける。『むすんでひらいて』(07)が東京フィルメックスで上映された高橋泉の待望の新作は、一つの復讐のために思いがけず知り合うことになった複数の男女の複雑な心理を描く群像劇。

 


総評
SABU監督コメント-「作家性の強い映画に観客が来ることに作り手として安心し感動」
作家性の強い映画にお客さんが来るというのは、作り手として安心し、感動しました。審査会は和気あいあいとして、審査員からはオバマ(大統領)に似ているといじられ、楽しくやらせていただきました...総評、オバマに似ているということしか残らない総評になってしまいましたが、東京フィルメックスは私にとっても大事な映画祭なのでこれからも応援してください。ありがとうございました。

 

文・編集:白玉 撮影:鈴木友里

 

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