『こっぴどい猫』 — “21世紀型ダメ恋愛の旗手” 今泉力哉が、還暦のモト冬樹を主演に描く究極のダメ恋愛群像劇

  • 2012年07月28日更新


歌手、タレント、俳優などとしてマルチな才能を発揮し続ける国民的タレント・モト冬樹。その生誕60周年を記念して制作された映画、『こっぴどい猫』が2012年7月28日(土)より新宿K’s cinemaにてレイトショー公開される。監督・脚本を務めたのは「ぐだぐだのダメ恋愛」をリアルかつユルい空気感で描き続ける今泉力哉。自主制作をした短編・中編作品が国内の映画祭で数々の賞に輝き、商業映画デビュー作である『たまの映画』がスマッシュヒットを記録、若手作家が音楽×映画をテーマに競う映画祭『MOOSICLAB2012』では出品作『nico』が審査員グランプリと監督賞をW受賞するなど、今後の活躍から目が離せない若手監督のひとりである。

亡くなった妻を愛する寡黙な作家の前に現れた、ミステリアスだけどイタい美女!?

『その無垢な猫』という代表作を持つ作家・高田則文(モト冬樹)は、妻を亡くしてから一切作品が書けないでいる。自分を慕う後輩作家の安藤(内村遥)はテレビに出るほどの売れっ子になってしまった。それでも、娘の夏子(小石川祐子)は嫁ぎ、息子の崇(平井正吾)も近々結婚が決まり、行きつけのスナックのママからは60歳の誕生記念パーティーを提案されるなど、おだやかな日常を過ごしていた。そんなある日、「奥さんがいる人とばかりつきあってしまう」「求められると断れない」というイタい恋愛ばかりしてきた美女・小夜(小宮一葉)と出会う。親子ほど年の離れた彼女は、恋愛相談に乗ってほしいと高田を自宅の部屋に招き入れる……。

個性溢れるキャストが織りなす究極のダメ恋愛群像劇

久々に出会った恋に戸惑う初老の作家と、隙だらけの言動で男性を勘違いさせるド天然(多分)な小悪魔・小夜。そんなふたりを中心に、15人の男女と7つの三角関係が交差する究極のダメ恋愛群像劇は、年齢も立場も常識もかなぐり捨てて恋に振り回される男女の姿がリアルながら滑稽に描かれる。小夜を演じる小宮一葉をはじめ、インディーズ映画や舞台で活躍する役者陣から演技自体がほぼ初挑戦の大学生まで、キャストたちの個性溢れるキャラクターと演技に注目だ。

恋に戸惑う初老の作家をセクシーでチャーミングに演じる、俳優・モト冬樹の新境地

しかしこの映画、なんといってもモト冬樹である。自身の60歳を祝う作品というだけあり、テレビとはひと味もふた味も違う魅力をみせてくれる。妻に先立たれた繊細で不器用な男が、淡い恋心を滲ませる姿は実にチャーミングで色っぽく、思わずキュンとさせられてしまったが、紳士的だった高田が感情を爆発させるラストシーンでは笑いがこみ上げる。恋愛の本質をユーモラスに鋭く描いたヒューマンコメディは、モト冬樹にとっても今泉監督にとっても新境地となったようだ。またいつかこの組み合わせで作品を……と願わずにいられない。

 

▼『こっぴどい猫』作品・上映情報
(2012年/日本/130分)
監督・脚本・編集:今泉力哉
製作:手島昭一
エグゼクティブプロデューサー:小西亮一
出演:モト冬樹、小宮一葉、内村遥、三浦英、小石川祐子、平井正吾、後藤ユウミ、今泉力哉ほか
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©2012 DUDES
『こっぴどい猫』公式ホームページ 

※2012年7月28日(土)より新宿K’s cinemaにてレイトショー

文:min

  • 2012年07月28日更新

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