第24回東京学生映画祭授賞式— グランプリは多摩美術大学映画研究会『故郷の詩』に

  • 2012年06月02日更新

中村義洋監督、青山真治監督など多くの映画人を輩出してきた、学生映画の登竜門、第24回東京学生映画祭が2012年5月27~29日 に開催された。今回はゲスト審査員に瀬々敬久監督、井土紀州監督、石井裕也監督を迎え、39団体146作品の内から厳正なる審査、観客投票を経て、各賞を決定。受賞者の喜びの声をレポートします。


<東京学生映画祭授賞式レポート>

各賞は以下の通り。

グランプリ&観客賞:『故郷の詩』多摩美術大学映画研究会 嶺豪一監督
準グランプリ:『甘噛み、む、め』東京造形大学映画研究会 古地良子監督
審査員特別賞:『あの娘が海辺で踊ってる』上智大学映画研究会 山戸結希監督
役者賞:『水難』中村梨那さん

 

グランプリ&観客賞:嶺豪一監督

とてもうれしい気持ちです。一つもらっていてもうだめかなと思っていたのですが良かったです。またどこかで次またもらえたらなと思います。スタッフの皆さん、役者の皆さんありがとうございました。

講評(瀬々敬久監督):
技術的には素晴らしい作品が多かったのですが、その中でも最後に残った三本は人間をみる目というか、人間に対する愛情とか人生に対する愛情とかそういうものが、深く、僕達観る者に伝わったと思います。技術以前に主題と言うか物語というか、生き方とか、テーマと言うか、そういうものが映画を支えているんだと今回僕も確信をしました。今生きにくい状況だと思いますが、ぜひ皆さん、希望を捨てずにがんばっていただけたらと思います。


準グランプリ:古地良子監督

この作品に関わっていただいた、役者さん、スタッフさん、時間を割いてくれた全ての人に感謝の気持ちでいっぱいです。ただひとつ思うのは、私は去年このコンペでグランプリを取っていて、今年、準グランプリというのはちょっと悔しいので、もう一回気持ち良い思いをしたがために映画に向かっていこうと改めて思いました。

審査員特別賞:山戸結希監督

映画研究会の皆のおかげです。

講評(石井裕也監督):

グランプリと準グランプリしかなかったのですが、この作品は選ばないわけにはいかないということで、賞を作っていただきました。得体のしれない力強い魅力を、我々三人はこの作品には感じました。おめでとうございます。

 


役者賞:中村梨那さん
言葉にならないですが、ここで賞をいただいていることは、『水難』で今野(監督)さんもそうですし、たくさんのキャスト、スタッフの方に恵まれて、いい作品を作ったことでここに立たせていただいていると思うので、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 

 

 

 

 

嶺豪一監督インタビュー
映画製作で大切にしているのは面白い映画であること」
-制作するうえで大切にしていることをお聞かせ下さい。

嶺監督:面白い映画が撮りたいと思っています。自分自身が観客として映画を観ていた時の感動を覚えています。最初に影響を受けたのは『キッズリターン』。この作品で自分の人生が変わったので映画というのはすごいなと思いました。

-次回作についてお聞かせ下さい。

嶺監督:脚本が出来ました。今まで、「なにかになりたい」という夢を追う青年を描いてきたのですが、次回は夢がないところからはじまって、どんな夢を見つけていくのかというところを描いていこうと思っています

古地監督インタビュー
「共有してもらって自分が救われたかった作品」

-今の気持ちをお聞かせ下さい。

古地監督:負けました。生意気ですけれど、うれしくないんです。何も賞が取れないというのであれば、就職もしていますし、そちらに専念していくというのもありかなと思ったのですが、いただけて、うれしい半面、踏ん切りがつけるような状態でもないのでもやもやしています。

-この映画を作ったきっかけをお聞かせ下さい。

古地監督:大学に入って、自分の軸になるような友達が二人いました。その人に認めてもらいたいという気持ちがあって、それがえんちゃんっていうキャラクターになっています。(友達に)卒業制作で観て、共有してもらって自分が救われたかったのかなというのがあります。

 

山戸結希監督インタビュー
「セリフはあて書きです(笑)」

-この映画をとるきっかけをおきかせください。

山戸監督:私は上智大学で昨年映画研究会を立ち上げました。最初は短編から撮ると思うのですが、それをアドバイスしてくれる先輩もいなかったので、長編から作ることになりました。その時に身近にいた女の子が物語を喚起してくれました。

-セリフが非常にニークでした。

山戸監督:主演の方がそういう人だとは思っていませんが(笑)あて書きです。彼女に言わせたいなと考えて書いていました。

-次回作についてお聞かせ下さい

山戸監督:次回も長編で女の子二人の話になると思います。来年も東京学生映画祭に出品したいと思います。

(取材・編集・文:白玉 撮影:やなせゆうこ)

  • 2012年06月02日更新

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