【イケメン青田買い】 『都市霊伝説 幽子』 小沼雄一監督×馬場良馬さん インタビュー

  • 2011年09月26日更新

大都会の身近な場所にこそ怨霊が潜んでいる ― 映画『都市霊伝説』シリーズの第2弾は、廃校が舞台の『都市霊伝説 幽子』。2011年9月より、東京・渋谷のアップリンクXほか、全国順次公開です。

『都市霊伝説』シリーズといえば、メガフォンはもちろん、名手・小沼雄一監督。本作で主人公の野島兼役を演じたのは、馬場良馬さん。期待の若手俳優・女優が出演するのも、このシリーズの見どころのひとつです。公開を記念して、小沼監督と馬場さんにお話を伺ってまいりました。↑の写真、左が小沼監督、右が馬場さんです。ミニシア恒例、たっぷりの撮影画像とともに、お楽しみください。

《セレブの靴チェック!》
インタビューのその前に、ミニシア恒例、お靴を拝見! この日のお履き物を手に、おふたりの決め顏をいただきました。

― 小沼監督は、ホラー映画の撮影をする前には、必ずお祓いに行かれるそうですね。

「新宿の熊野神社でお祓いをします」(小沼監督)

「僕はお祓いに行けなかったんです」(馬場さん)

小沼雄一監督(以下、小沼) そうしています。『都市霊伝説』シリーズのときは、スタッフとキャスト全員で新宿の熊野神社でお祓いをします。ただ、今回、馬場くんだけは……。

馬場良馬さん(以下、馬場) 僕はお祓いに行けなかったんですよ! ホラー映画に出演するのが初めてだったので、ただでさえ緊張していたのに、「仕事のスケジュールの都合で、お祓いには行けない」とマネージャーに言われたときは、「マジか!?」と思いました。ホラー映画の撮影現場では霊に寄ってこられやすいという話をよく聞きますし、僕は心霊の話題等が苦手なほうなので、本当に恐くなりました。マネージャーは、「僕が代わりにお祓いを受けておいたから、大丈夫」と言っていましたけど。(笑) そのおかげか、撮影中、僕自身に変わった出来事はありませんでしたが、「撮影現場でラップ音が聞こえた」という話は聞きました。

― 小沼監督がかつてホラー映画を撮られた際に、パソコンが異音を発したことがあったそうですね。『都市霊伝説 心霊工場』を撮られたときは、ファックスが急に鳴りだしたり、「自宅に髪の長い女性を連れてきた」と、*奥さまに言われたりしたそうですが、今作ではなにかありましたか?
*小沼監督の奥さまは、本作の脚本を手がけた石川美香穂さん。

小沼 ロケハンのときに現場で、大きくて不思議な音が聞こえました。加えて、『心霊工場』のときと同じように、壊れていないファックスがピッピッと鳴りだしたんです。『都市霊伝説』シリーズの仕事を始めるとこのファックスが鳴りだして、作品が完成すると鳴りやむんですよ。(一同爆笑)
今、妻が『都市霊伝説』シリーズ第3弾の脚本を書いているのですが、今度は天然パーマの女性の幽霊が我が家に来たようです。(笑) 僕はその場にいなかったのですが、天パの幽霊が娘に襲いかかろうとしたので、妻は罵倒して追い返したと言っていました。

― 馬場さんはホラー映画のご出演は初めてですが、いかがでしたか?

「『都市霊伝説 幽子』には、人間ドラマの延長線上に霊的なものが生まれたという印象を感じました」(馬場さん)

馬場 僕自身は人と一緒にはしゃぐのが好きですが、今回演じた野島兼という役は、周囲と上手にコミュニケーションがとれない、閉鎖的な人物です。でも、野島は心中ではいろいろと考えていて、責任感や幽子への罪悪感を抱えています。初めて脚本を読ませていただいたときは、難しそうな役だと思いましたが、だからこそ演じてみたいと、とてもわくわくしました。
日頃、ホラー映画は観るのですが、恐がりなので、観終えたあとに落ち着かない気持ちになることもあります。ただ、『幽子』には、人間ドラマの延長線上に霊的なものが生まれたという印象をとても感じたので、恐さよりも「悲しい」という感情のほうが強かったです。人間ドラマに感情移入できたので、恐がらずに撮影に臨めました。
また、完成した本作を観たときは、感情が丁寧に描かれている作品だと感じました。ホラー映画の中には、霊やおばけが理不尽に登場する作品もありますが、幽子は犠牲者として必然的に「いる」という印象を受けました。

― 廃校が舞台になっていますが、撮影をした建物は本物の学校なのですか?

小沼 北関東の某所にある実際の廃校ですが、地域の施設として使われている建物なので、廃屋ではありません。ただ、とても大きな校舎で、普段は一部しか使われていないため、奥へ行くとひとけのない巨大な空間が広がっていて、恐い雰囲気を醸しだしていました。

― 学校が舞台のホラー映画というと、夜のイメージが強いですが、本作では日中のシーンも多くて、「昼間の学校も恐いものだな」と感じます。

「昼間の学校は暗いので、非常に寂寞とした雰囲気になります」(小沼監督)

小沼 夜で暗いと建物の大きさが伝わりにくかったり、撮影時の照明の届く範囲が限られたりするんですね。昼間の学校は灯りがついていなくて、意外と暗いものです。奥の窓からしか光がはいってこないので、非常に寂寞とした雰囲気になります。その状態で実際に撮影してみて、夜ではなく昼間でかえってよかった、と思いました。

― ホラー映画としての、本作の見どころは?

「『恐がらせることを考えないようにしよう』というアプローチをしました」(小沼監督)

小沼 前作の『心霊工場』では、「恐さを前面に出す」という、ホラーとしてはスタンダードな演出をしましたが、今作の『幽子』ではそうしませんでした。敢えて、「恐がらせることを考えないようにしよう」というアプローチをしたんです。
もちろん、「恐くなくてよい」という意味ではありません。ホラー映画は一般的に、驚かせて恐がらせるのがサービスで、それがよい部分でもあります。作り手としては、おばけ屋敷のおばけ役と同じような感覚ですね。でも、『幽子』では、幽霊なのかそうでないのかがわからない「ただ人間ではない存在」が、なにも考えずにふっと現れる感じを表現したいと意識して演出しました。非常に楽しいチャレンジでした。

― 小沼監督と馬場さんが一緒にお仕事をなさるのは、今作が初めてでしたね。

「小沼監督の『童貞放浪記』が大好きなので、一緒に作品を撮ることができて、本当に嬉しかったです」(馬場さん)

「馬場くんは、『考えて芝居をする俳優』」(小沼監督)

馬場 以前から、小沼監督の『童貞放浪記』が大好きなんです。あの作品に主演されていた山本浩司さんの演技もとても心に残っていて、「自分もこういう役者になりたい」と思っていました。今回、小沼監督とご一緒させていただいて作品を撮ることができて、本当に嬉しかったです。
撮影現場では、野島が閉鎖的な人物ということで、「感情を表に出そうとしないで、無表情でいてほしい。台詞も抑揚なく話すように」と監督に言われたので、配慮して演じました。それでも、「台詞にリズムを作っている」とご指摘を受けて修正したこともあり、演技にはこのような幅があるのだと、とても勉強になっておもしろかったです。

小沼 本作の撮影にはいる前に、馬場くんが主演した舞台『ザ・フォーリナー』を拝見しました。オーバーアクションの喜劇でしたが、コメディを演じながらも、馬場くんには翳があるんですね。それを見て、「考えて芝居をする俳優なんだな」と思ったのを憶えています。『幽子』でも、役についてとても考えてくれたので、僕としてもやりやすかったです。

― 馬場さんはいつも、役を演じる前に下調べや勉強を熱心になさる、真面目な俳優さんという印象があります。

馬場 いざ撮影や舞台の現場に立つと、演じるのに必死になります。ですから、現場に立つ前に、劇中の人物としてそこに存在するための下準備をしておきたいと心がけています。もっともっと準備をしなくてはいけない、と常に思っています。

― ファンのみなさまに、「野島のこういう点を見てほしい」と思う見どころは?

「野島が心に抱えている大きな闇と後悔を大切に表現したい、と心がけました」(馬場さん)

馬場 野島のように、大きな闇と後悔を心に抱えている人物を演じたのは初めてなので、そういう感情を大切に表現したいと心がけました。特に、ラストに近い後半のシーンに注目して観ていただきたいです。もちろん、ホラー映画なので、恐怖を覚える部分はありますが、観終えたあとに「悲しい物語だったな」と感じていただけたら嬉しいです。

― 野島役を演じていて、心情的な面とは別に、肉体的・物理的にご苦労なさった点は?

馬場 野島は眼鏡をかけている役なのですが、眼鏡をかけ忘れてカメラの前に立ってしまったことがありまして……。

小沼 現場ではこちらも必死なので、(撮影中は)僕も気づきませんでした。(笑)

馬場 シーンを撮り終わってから、「申し訳ありません。今のところ、眼鏡をかけるのを忘れてしまいました」と監督にお伝えしたら、「ちゃんとつなげるから大丈夫」と言ってくださって。そのために追加していただいたシーンもありました。
これまでにも眼鏡をかける役を演じることは多かったので、眼鏡をかけていてもはずしていても、普段、あまり違和感がないんです。「野島は眼鏡をかけなくては」と意識をするのが、大変といえば大変でした。

― 実際の馬場さんはとても明るくて快活なかたですが、お仕事ではクールな役柄を演じられることが多いですね。

「『ださかったり不器用だったりするがゆえに格好よい』という格好よさも身に着けたい」(馬場さん)

馬場 そうなんですよね。僕は格好つけたがって芝居をしてしまう傾向があるので、(クールな役をいただくことが多いのは)そういう理由もあるのかもしれません。ただ、ださかったり不器用だったりするがゆえに格好よいという役柄や演技もたくさんあるので、今後はそういった格好よさも身に着けられるようにしたいと思っています。

― もし、「馬場さんを主演に、自由に映画を撮ってよい」ということになったら、小沼監督はどのような役を馬場さんに演じていただきたいですか?

小沼 敢えて「陽」のイメージを強くするのではなく、これまでよりも更に翳のある暗い役を演じてもらいたい、と考えると思います。

― 『幽子』のお話から離れますが、2011年の今年、監督作の『結び目』がカイロ国際映画祭の長編デジタル部門コンペティションに出品されて、小沼監督もエジプトのカイロへ赴かれましたが、とんだ珍道中だったようですね。

「エジプトはアラビア語なので、言葉がまったく通じなくて。いろいろ大変でしたが、おもしろかったです」(小沼監督)

小沼 そうなんですよ。スタッフとキャストは誰も同行せず、僕ひとりでカイロへ行ったんですが、いざカイロの空港に着いたら、映画関係者らしき人が誰もいなかったんです。やっとそれらしき人を見つけたのですが、(映画祭の関係者ではなかったようで)「金を払え」と言われてもめました。(笑) もちろん、余計な支払いはしないで、なんとかホテルまで向かいました。
カイロ国際映画祭は世界12大映画祭のひとつで、とても権威があるのですが、通訳はいなくて、自分の作品の上映スケジュールさえよくわからないという状況でした。僕は英語があまり話せませんが、そもそもエジプトは英語ではなくアラビア語なので、言葉がまったく通じなくて。(笑) いろいろ大変でしたけれど、それもまたおもしろかったです。

― 近頃、小沼監督が気になっていらっしゃる映画監督はどなたですか?

「ジュールズ・ダッシン監督が気になっています」(小沼監督)

小沼 既に有名で故人ですが、アメリカのジュールズ・ダッシン監督です。昨年、初めて作品を観たのですが、とても巧い監督だと思いました。「これは勉強しなくては」と思って、今、積極的に作品を観ています。

― 最近、馬場さんがプライベートで楽しんでいらっしゃることで、ファンのみなさまにお薦めしたいものはありますか?

「ヤン・シュヴァンクマイエル監督の作品にはまっています」(馬場さん)

馬場 ちょうど今、日本でも『サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-』が公開中の、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の作品にはまっています。チェコのアニメーション作家で映像作家でもあるかたで、作品にはグロテスクな描写も多いのですが、僕の好きな世界観です。僕のファンのかたがたにも、この世界観に触れていただけたら嬉しいです。

― 最後に、『都市霊伝説 幽子』をご覧になるみなさまへ、メッセージをお願い致します。

「出演者の努力を観ていただきたいです」(小沼監督)

「『悲しい人間ドラマ』として、心に残る作品です」(馬場さん)

小沼 難しい映画ではないので、恐がって楽しんでいただければ嬉しく思います。馬場くんをはじめ、出演者たちが頑張ってくれたので、その努力を観ていただきたいですね。

馬場 ホラー映画ですから、恐くて驚く部分もありますが、それ以上に「悲しい人間ドラマ」として、観終えたあとに心に残る作品になっていると思います。スタッフとキャスト一同、その点を丁寧にお伝えしたいと思って撮影しました。「ホラー映画は苦手だ」というかたもいらっしゃるかと思いますが、人間ドラマをご覧になるお気持ちで、たくさんのかたに観ていただけたら嬉しいです。

▼小沼雄一監督 プロフィール
1965年12月3日生まれ。茨城県出身。大学卒業後、今村昌平監督が創設した日本映画学校に入学。1995年、同校の卒業制作として監督した『チャンス・コール』が今村昌平賞を受賞。日本映画学校を卒業後、助監督として経験を積んだのち、『自殺マニュアル2 中級編』(2003)で商業映画監督デビュー。主な監督作品は、『AKIBA』(2006)、『夏の思い出』(2006)、『童貞放浪記』(2009)、『結び目』(2009)、『都市霊伝説 心霊工場』(2010)、『nude』(2010)等、多数。パソコンのプログラミングが得意で、オンラインソフトの製作者という顔も持つ。
●小沼雄一監督 オフィシャルサイト:O’s Page
▼馬場良馬さん プロフィール
1984年12月15日生まれ。千葉県出身。2008年、テレビドラマ『東京ゴーストトリップ』で俳優として本格的にデビュー。映画、舞台、モデル等、幅広く活躍。ミュージカル『テニスの王子様』の手塚国光役で人気を博した。主な出演映画は、『タクミくんシリーズ Pure ~ピュア~』(2010)、『クレイジズム』(2011)、『タクミくんシリーズ あの、晴れた青空』等。2011年10月に、主演映画『アサシン』の公開を控えている。
●馬場良馬さん オフィシャルブログ:良馬がゆく

▼『都市霊伝説 幽子』作品・公開情報
日本/2011年/70分
監督:小沼雄一
脚本:石川美香穂
出演:馬場良馬 中村静香 疋田紗也 加藤力弥 能登谷圭 杉浦匠 水崎瑠衣 遊馬まみ 王崎まりな 宝栄恵美 ALICE 徳永礼音 村上直樹 大野ひとみ 小磯勝弥
製作:ムービープラネット
『都市霊伝説 幽子』公式サイト
※2011年9月17日より渋谷アップリンクX、10月1日より大阪シネ・ヌーヴォXにて公開。

取材・編集・文:香ん乃 スチール撮影:荒木理臣

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