『わたしの可愛い人―シェリ』

  • 2010年10月26日更新

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「若いツバメを飼いたい」 ― ある程度の年齢を重ねた女性なら、それなりに共感していただける欲求ではなかろうか。……ある程度の年齢を重ねていない女性の中には、「若いツバメ」という言葉すら、ご存じないかたもいらっしゃるかもしれないが。「年上の女の愛人となっている男」が、「若いツバメ」である。念のため。

舞台は、20世紀初頭の、フランスはパリ。高級娼婦たちは、美貌と教養、富を兼ね備えた、社会的地位の高い存在として見なされていた。そんな娼婦のひとりであるレア(ミシェル・ファイファー)は、40代後半を迎えて「仕事」を引退し、悠々自適に暮らしている。あるとき、同業者のマダム・プルー(キャシー・ベイツ)が、レアに相談を持ちかけた。「息子のフレッド(ルパート・フレンド)が、19歳にもなって落ち着かないから、注意してほしい」というのだ。フレッドが幼い頃から、「シェリ」と愛称で呼んでかわいがってきたレアは、彼を教育しようと試みる。しかし、不覚にも、恋に落ちてしまい……。

わたしの可愛い人―シェリサブ1

「シェリ」とは、「いとしい人」という意味。そんな愛称で慈しんできた男の子が、←こんなに麗しく成長したら、いとしさの意味が変わってしまうのも、さもありなん、である。

おまけに、シェリはレアをとても慕っている。仔犬が尻尾を振るようにすり寄ってくるかと思えば、構ってほしくてわざと拗ねた顔をする。つまり、「なついている」のだ。数多の男を手なずけてきたレアだからこそ、シェリが単純でわかりやすい態度をとればとるほど、かわいくてたまらなくなるのは当然である。

しかし、「なついて、なつかれる」という在りかたでは、対等な関係としての愛は成熟しない。そこが、この物語の要であり、ロマンティックのひと言でかたづけられない部分でもある。

「40代後半の女と、息子ほども年の離れた男の恋」が、シビアな結末を迎えるのか、はたまた、真実の愛として熟すのか ― ゴージャスな衣装とセットで目を愉しませつつ、見届けることとしよう。

わたしの可愛い人―シェリサブ2

▼『わたしの可愛い人―シェリ』
作品・公開情報

イギリス・フランス・ドイツ/2009年/90分
原題:”CHERI”
監督:スティーヴン・フリアーズ
脚本:クリストファー・ハンプトン
原作:コレット『シェリ』(岩波文庫刊)
出演:ミシェル・ファイファー
ルパート・フレンド キャシー・ベイツ 他
配給:セテラ・インターナショナル
コピーライト:(c) Tiggy Films Limited and UK Film Council 2009 All Rights Reserved
『わたしの可愛い人―シェリ』公式サイト
※2010年10月16日よりBunkamura ル・シネマ他全国ロードショー。

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アレクサンドル・デプラ/オリジナル・サウンドトラック『わたしの可愛い人―シェリ』
シェリ (岩波文庫)

改行
文:香ん乃
改行

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