「150%満足のキャスティング」と小沼雄一監督 ― 『結び目』初日舞台挨拶、開催!

  • 2010年07月05日更新

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小沼雄一監督作品『結び目』の公開初日舞台挨拶が、2010年6月26日(土)におこなわれ、小沼監督とメイン・キャストのみなさまが、シアター・イメージフォーラム(東京)に駆けつけました!

←の写真、左から、小沼監督、広澤草さん、赤澤ムックさん、川本淳市さん、三浦誠己さんです。

主人公の絢子を演じた赤澤さんは、劇中のミディアム・ヘアとはまったく印象の違うショート・ヘアでご登場! 「髪を切りすぎました」と挨拶をした赤澤さんの言葉を受けて、川本さんは「今朝まで長髪でしたが、役を思い出して、ばっさり切りました」、広澤さんは「私は、さほど髪型に変化がありませんが(笑)」、三浦さんは「軽くワックスを塗ってきました」、小沼監督は「今日に備えて床屋へ行こうと思っていたのに、忘れてしまいました」と、各々ジョークを交えて挨拶。

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台詞の少ない静謐な映像の中で交錯する、男女の苛烈な恋情 ― そんな生々しくも濃密な情愛が綴られる一方で、夫婦の在りかた、専業主婦の苦悩、老人介護の実情といった、これ以上にないほど現実的な問題の数々が描かれている『結び目』。

美しく抒情的な恋物語でありながら、「結婚」を経験した人間の多くが直面するであろう事実をまざまざと映しだしたこの作品は、ラヴ・ストーリーとしても、人間ドラマとしても、瞠目に値する傑作です。

この稀有な映画の担い手となった小沼監督とキャストのみなさまは、どのようなお気持ちで公開初日を迎えられたのでしょうか。

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まずは、当サイト恒例《セレブの靴チェック!》で、舞台挨拶へのお気持ちを鼓舞してくださいね。
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赤澤ムックさん 川本淳市さん 広澤草さん 三浦誠己さん 小沼雄一監督
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さあ、登壇者のみなさまのお話に、じっくりと耳を傾けてみましょう。

― 劇団「黒色綺譚カナリア派」の主宰として、普段は演劇の世界でご活躍の赤澤さん。『結び目』は映画初主演作です。演じる上で、どのような点に舞台との違いを感じましたか?

「映画は『目の前で固唾を呑んでいるスタッフを遮断する作業なのだ』と思いました」(赤澤さん)

赤澤ムックさん(以下、赤澤) 舞台は目の前のお客さまを相手にする作業ですが、映画は「目の前で固唾を呑んでいるスタッフを遮断する作業なのだ」と思いました。
また、川辺や森の中でロケをして、最初は「役者として贅沢だな」と思っていたのですけど、それ以上に、「絢子という肉体をリアルにしなければならない」と感じさせられました。

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― 映画の現場ということで、具体的に苦労した点や、気をつけたことはありますか?

赤澤 欲を出さないことですね。フィルムは残酷なので、演じる側が目の前の監督やカメラに対して欲を出すと、役者のエゴしか映らないものだ、と感じました。(そういう意味で)とても恐い現場でした(苦笑)。でも、その分、やり甲斐はありました。

― 川本さんは、「かわいい妻がいながら、かつての教え子に再び心を惹かれてしまう男・啓介」を繊細に演じました。演じる上で、最も気を遣った点は?

川本淳市さん(以下、川本) 太らないことです(笑)。「あまり体格のよい人にならないでください」と、小沼監督に最初に言われましたので。
あとは、啓介という役を嫌いにならないよう、努力しました。(啓介という人間は)周囲のかたがたに対して、ものすごく失礼な部分のあるキャラクターなので、「せめて自分だけは、この役を愛してやろう」と、とても気をつけました。

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― 「啓介を一途に想い続ける妻・茜」を演じた広澤さんは、ご自身の役に対して、どのように感じていますか?

広澤草さん(以下、広澤) 川本さんが演じた啓介もひどい役なんですけど(一同笑)、私が演じた茜も、「なんだ、この女」と、見ているかたにいらっとされる部分が、とてもある人物じゃないかな、と思います。自分ではない女優さんが茜を演じていたとして、私が客観的に『結び目』を観たら、私も茜に対して、いらっと感じると思います。
ただ、自分が演じさせていただいたから、というのもあって、(川本さんが啓介に対して思うのと)同じように、私も「茜をすごく愛してあげたい」と思いました。演じたおかげで、とてもいとおしい役になりました。
(ご覧になるみなさまは、茜の言動に)いらっとさせられる部分が多々あるかとは思いますが、温かい目で見てあげていただけたら嬉しいです。

― 多数の映画に出演している三浦さんは、「絢子の夫・雁太郎」を演じて、いかがでしたか?

三浦誠己さん(以下、三浦) 脚本がとても繊細で、大好きです。小沼監督は心地よく演じさせてくださったので、雁太郎は思い出に残る役になりました。

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― 個性的ではまり役のメイン・キャスト4名を、小沼監督はどのように選んだのですか?

「この映画のキャスティングには、150%満足しています」(小沼監督)

小沼雄一監督(以下、小沼) 一般的な商業映画とは違って、「主演からメイン・キャストすべてに対して、必ず複数の候補を挙げて、本作の登場人物にあった役者を選ぼう」とプロデューサーと話をして、純粋に決めさせていただきました。これは、今の日本の映画界では、非常に珍しいことです。そういう意味で、本作のキャスティングには、150%満足しています。

― 本作は全編、ニコンD90というデジタル一眼レフカメラの動画機能で撮影されましたが、難しかった点や特徴を教えてください。

小沼 光を電気信号に変換する撮像素子という電子部品が、ニコンD90は普通のビデオカメラよりも非常に大きいんです。そのため、光が明るく、色彩も豊かになる印象があるので、本作の撮影にこのカメラを使いました。
ただ、あくまでも一眼レフカメラなので、ビデオ撮影にあたっては、いろいろと不都合もありました。たとえば、カメラが熱を持ってオーバーヒートの状態になると、撮影ができなくなってしまうんです。なので、カメラを冷やすために撮影を中断したことも、何度かありました。
ただ、そういう不都合な面があったにせよ、仕上がりには非常に満足しています。普通のビデオカメラでは得られない色と光を撮ることができました。

― 本作の見どころについて、聴かせてください。

「スタッフにもキャストにも精鋭が集まりました。凝縮された濃密な時間と空間を得られた映画です」(小沼監督)

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赤澤 この映画は、「中学生と教師の恋」や「不倫」といった、過激な煽り文句で話題になっているような気がしますが、見ていただきたいのは、そういう部分ではありません。
自分の今までを振り返るというのは、誰にとってもつらい作業です。でも、それに向かい合わなければ先に進めない場合もあるのだ、ということを、この映画を作りながら、強く感じました。
観てくださるみなさまにとっても、本作がそういう力になればよいな、と思っています。

川本 今、赤澤さんがおっしゃった言葉がすべてです。「本作をご覧になっていただければ、わかる」と思います。
台詞の少ない、非常に静かな映画です。なので、「読んで」いただくような形で、観ていただければ、と思います。

広澤 川本さんがおっしゃった「読むような映画」という表現は、とてもしっくりくると思います。すごく綺麗な、本を読むかのような作品です。派手さはあまりない映画ですが、しんみりと重みを感じていただければ、と思います。

三浦 (赤澤さん、川本さん、広澤さんの言葉に)以下同文でございますけども(笑)。本作をご覧になったみなさまが、なにかを感じてくださって、また映画館に足を運んでくだされば嬉しいです。

小沼 予算が少なくて大変な現場の中、少ない人数ではありますが、スタッフにもキャストにも精鋭が集まりました。これまでに自分が撮った映画の中でも、凝縮された濃密な時間と空間を得られた作品です。
特に、(この日、舞台挨拶に登壇したメイン・キャストの)4名が、「映画の中でどのように生きているか」ということを、スクリーンで確認していただければ嬉しい、と思っています。

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▼『結び目』作品・公開情報
2009年/日本/91分
監督:小沼雄一
出演:赤澤ムック 川本淳市
広澤 草 三浦誠己
辰巳啄郎(友情出演)
上田耕一 他
プロデューサー:小田泰之
脚本:港 岳彦
撮影:早坂 伸(J.S.C)
音楽:宇波 拓
製作・配給:アムモ
コピーライト:(C)2009 アムモ
『結び目』公式サイト
※2010年6月26日(土)より、シアター・イメージフォーラム(東京)にてモーニング&イブニング・ショー。

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取材・スチール撮影:南野こずえ 編集・文:香ん乃
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