『都市霊伝説 心霊工場』 小沼雄一監督×大塚麻恵さん インタビュー

  • 2010年03月07日更新

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「死ぬより怖い」ジャパニーズ・ホラー・ムービー『都市霊伝説 心霊工場』が、2010年3月6日よりアップリンクX(東京)にてイブニング&レイトショー!

本作の公開を記念して、小沼雄一監督と、主人公の内田真紀役を演じた大塚麻恵さんに、たっぷりとお話を伺ってまいりました! 撮影秘話あり、怖~い裏話あり……。また、《本編を観た人限定!? 反転しないと読めないネタバレ・コーナー》もありますよ!

更に、抽選で1名さまに当たる「大塚麻恵さんの直筆サイン&メッセージ入りチェキ」プレゼント企画も実施致しました(このプレゼント企画は終了致しました)。

― 『都市霊伝説 心霊工場』を撮ったきっかけと、廃工場を舞台にした理由を聴かせてください。

小沼雄一監督(以下、小沼) 「『都市霊伝説』というシリーズでホラー映画を作る」という話がプロデューサーからあって、作品ごとに、舞台となる場所に特徴を出そう、ということになりました。廃工場は雰囲気的にホラーにもってこいで、怖い作品にしあがるだろう、と考えたので、『都市霊伝説』シリーズ第1弾は廃工場に決定しました。
劇中では1棟に見える廃工場ですが、実際には、3ヶ所の建物で撮影をしました。それらを編集して、「1棟の架空の廃工場」を映像の上で作りました。

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― 主人公の編集者・真紀役に大塚さんを起用した理由は?

「大塚さんは、『なにかを秘めている』という雰囲気がある女優さんです」(小沼監督)

小沼 大塚さんに限らず、キャスティングは先に決定していました。僕は大塚さんと仕事をするのが初めてだったので、まずは彼女の写真を見てイメージをふくらませて、脚本の内容を合わせていったんです。大塚さんの写真を見て、「とても『なにかを秘めている印象のある人』だな」と思いました。真紀は複雑な部分を持ちあわせている役柄ですが、大塚さん(のような、内になにかを秘めた感じの女優)なら、このようなイメージだろう、と想像して、脚本を作っていったんです。

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― 真紀役を演じるにあたって、役作り等で意識した点は?

大塚麻恵さん(以下、大塚) これまで経験してきた舞台や映像でのお仕事では、「明るくて前向きな女の子役」を演じることが多かったので、今回の真紀のような、「性格的に、不運な部分を抱えている役」を演じるのは初めてのようなものでした。ただ、自分自身の中には、そういった(ネガティヴな)部分はあります。でも、日常生活では、そのような面をあまり表に出さないで、人と話すことが多いんです。
もしも自分が10代や二十歳前後だったら、真紀の気持ちをよく理解できないまま、この役を演じていたかもしれません。でも、真紀役に出会ったときの私は20代後半で、自分と他人を比べて嫉妬したり、自己嫌悪に陥ったり、恋愛がうまくいっている人を妬んだりする気持ちを知っています。そういった感情を、今回の真紀役で生かすことができた、というと語弊がありますが、「表現をする」という意味において、真紀の気持ちを理解できる部分はあったんです。

「真紀役を演じたことで、女優として幅を広げる一歩になったと思っています」(大塚さん)

大塚 そういった意味も含めて、真紀役に出会えたことに、とても不思議な縁を感じているんです。20代後半の私が、これまでプライヴェートでも仕事でも抱え続けてきたものを表現する場を、このお仕事と小沼監督に与えていただけたのだなぁ、と感謝しました。
本作と、私の演じた真紀が、どのように評価されるかは、観てくださったお客さまがどう受けとめてくださるかによりますが、自分が女優という仕事を続けるにあたって、(真紀役を演じたことで)幅を広げていくことのできる一歩になると思っています。その場を作ってくださったのが、小沼監督なんです。
今回の真紀役では、ミステリアスで神秘的な印象に撮っていただけたので、20代の貴重な時間を、こんなに綺麗にフィルムに残していただけたので、小沼監督には「ありがとうございます」という気持ちでいっぱいです。

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― 真紀役を演じるにあたって、参考にしたキャラクター等はありますか?

「実は、『新世紀エヴァンゲリオン』の、綾波レイを……」(大塚さん)

大塚 私、実は、アニメーションの『新世紀エヴァンゲリオン』が大好きなんです。あの作品に登場する綾波レイという女性キャラクターについて、(『新世紀エヴァンゲリオン』の)庵野秀明監督が、「レイは感情表現の仕方がわからないだけで、感情がないわけではない」とおっしゃっていたのが、とても頭に残っていたんです。
本作で私が演じた真紀も、感情を持っていないわけでも、操り人形でもなくて、感情をどのように表に出せばよいのかが、わからないだけなんです。こういう感覚は、現代では、あてはまる人が多いと思うのですが、毒がどんどん(自分の中に)たまっていきます。おそらく、吐きだすことのできる場所や相手があれば、解毒になるんですよね。でも、それができないから、毒が自分の中でふくれあがっていってしまうんです。
こういったことを頭の中に思い描いて、真紀が人と話すシーンでも、ただ機械のように話すのではなくて、「感情の表出のしかたがわからない人の日常生活」を意識して演じるように心がけたのですが、その際に、レイというキャラクターを自分の中で咀嚼して、アレンジした部分はありました。

小沼 (綾波レイを参考にしたという)この話は初耳です(笑)。

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― 真紀が孤独なキャラクターということで、大塚さんは撮影現場でも、ほかの共演者と距離を置いていた、ということですが?

大塚 どのお仕事においても、共演者のかたがたとは絆を作りたいので、よい関係を築けるように心がけています。ただ、自分の気持ちを器用に切り替えるのは難しいので、真紀役を演じるにあたっては、撮影現場でも孤独感が漂うように集中していました。「まずは仕事をきちんと終えよう。撮影が終わってからでも、共演者のかたがたとお話はできるのだから」と考えて、そのようにしたんです。ひとりでの出演シーンが多かったせいもあるんですけどね。
こうして映画が完成した今は、共演者のみなさんと、とても仲がよいですよ。私自身の撮影は早く終わったので、それ以降は、みなさんの撮影を、現場で明るく元気に見ていたんです(笑)。

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― 「心霊現象?」と思われる出来事が起こったり、霊感の強い出演者が撮影現場で心霊写真を撮ったりしたとか……?

「電源の入っていないエレベーターが、突然あいたんですよ」(小沼監督)

小沼 この映画は2009年の10月に1週間ほどかけて撮影をしたのですが、当時は残暑が厳しくて、まだ半袖でも大丈夫なくらいの気候でした。廃工場のシーンは3箇所で撮影したと話しましたが、その現場のひとつが横浜だったんですけど、僕が現場に着いたら、急に気温が下がって、とても寒くなったんです。

大塚 私たち出演者が現場に入るときは、共演者やスタッフさんなど、常に誰かしら周りにいるのですが、小沼監督は撮影も担当しているので、お独りで危険なゾーンに入ることが多かったんですよね。

小沼 横浜の現場に独りで入って、「寒いなぁ」と思いながら撮影の準備をしていたら、電源が入っていないはずのエレベーターが、いきなり「がががっ!」と音をたててあいたんです。そこは実際に廃工場で、そのエレベーターはもう使われていないから、ベニヤでふさがれているんですよ。だから、エレベーターがひらいてもベニヤで中が見えないので、余計に怖かったです。「この中に、なにがいるんだ!?」と思いましたよ(苦笑)。

大塚 横浜のこの現場に行ったとき、夜景がとても綺麗だったので、窓をあけたんです。そうしたら、霊感の強い共演者に、「窓をあけてはいけない!」と言われて(苦笑)。話を聴くところによると、その窓から落ちた人がいる、ということでした。結局、その窓はガムテープでふさいだのですが、夜が更けるにつれて、だんだん怖くなってきましたね。

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「『髪の長い女性を連れてきた』と、妻に言われました」(小沼監督)

小沼 僕自身は霊感が強いほうではないし、信心深いわけでもないんですけど、この横浜の現場には、こうやって(拝むポーズをとって)、「お邪魔します」という気持ちで入りました。
過去に別のホラー作品を編集しているときに、パソコンが突然、「がーっ」と鳴りだしたことがありました。僕はパソコンに詳しいので、異音をとめる方法は知っているはずなのに、どうやっても、とまらなかったんです。
『都市霊伝説 心霊工場』の編集を始めたときも、自宅のファックスが、1日に何回にも「ピッ、ピッ」と鳴りだしたんです。でも、編集が終わった時点で、その音がぴたりとやみました。そういった現象を見ていた僕の妻は、「間違いなく、髪の長い女性を連れてきた」と言うんですよね(苦笑)。

大塚 本作の編集部のシーンで使っていたパソコンが、いきなりダウンしたこともあったそうです。私はその場にいなかったんですけど、そのために撮影を中断せざるをえなくなって、とても困ったと聴きました。

小沼 それまではなんの問題もなく動いていたパソコンが、撮影が始まった途端に、画がなにも映らなくなって、電源を入れてもすぐに落ちるようになってしまいました。(説明のつかない)こういったことが、いろいろと起こるので、お祓いは必ずするようにしています。

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― 『都市霊伝説 心霊工場』をご覧になる皆様へ、メッセージをお願いします。

大塚 「身近にある恐怖」を描いた作品だと思います。近所に廃工場はないかもしれませんが(笑)、職場の同僚や仲間、友達とのつきあいなど、「身近な人間関係こそ、実は怖いものなのかもしれない」という感覚と、廃工場の不気味な映像を、じわじわと感じていただけたら嬉しいです。
出演者が演技に集中できる環境を、小沼監督とスタッフのみなさまが作ってくださったので、今までに出せなかったものを出演者たちが出せている作品になっています。ファンのかたがたには、今までと違う私たちの一面を見ていただけたら嬉しいですし、ホラーが好きなかたがたには、「ジャパニーズ・ホラーも、なかなか怖い」と言っていただけると思うので、楽しみにご覧になっていただきたいです。

小沼 脅かし系のホラーというよりは、「恐怖がじわじわとやってくる」というタイプの作品なので、静かな場所で、多くの人とご覧になってほしいです。音に耳を澄ませて観ていただきながら、「今、一緒にこの映画を観ている隣の人は、本当はここにいないのではないか」といったような感覚を味わっていただけると嬉しいですね。
音にはとてもこだわったので、DVDが発売されたときには、ヘッドフォンをしてご覧になっていただきたいです。この映画の音を、夜中にヘッドフォンで独りで聴くと、もう最高ですよ(笑)。

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― 今後のご活動の予定や、チャレンジしたいことは?

小沼 監督作の『結び目』が、2010年6月に東京のシアター・イメージフォーラムで上映されます。原作のないオリジナル脚本で、2組の夫婦を描いた、おとなのラヴ・ストーリーです。過去の出来事をひきずった男女が再会して、互いに伴侶を持ちながらも、足を踏みいれてしまう……、という。『都市霊伝説 心霊工場』とは、まったくジャンルの違う作品ですが(笑)、ご覧になっていただけたら嬉しいです。
将来的には、パニック・アクション大作のような、派手な作品を撮ってみたいですね。少年時代はSFにはまっていたので、スケールの大きな物語は、昔から大好きなんです。

「『見るたびに違う顔をするね』と言われるような女優になりたいです」(大塚さん)

大塚 2010年の夏に、大きな舞台に出演することが決まっています。私が女優になりたいと思ったきっかけは、小学校の頃に体育館で観た演劇だったので、舞台のお仕事はずっと続けていきたいですが、「自分の演技がフィルムに残る」という映像のお仕事も、とても素晴らしいと思っています。
たとえば、自分の出演作がDVDになって、のちのちまでずっと観ていただけるということが、すごく素敵だな、と感じます。「映画でもっと通用する女優になりたい」という気持ちが強くあるので、風変わりな役や汚れ役にも、臆さないで飛びこんでいくということが、私にとって一番のポテンシャルだと思っています。「この女優は、見るたびに違う顔をするね」と言っていただけるような女優になりたいですね。
なので、映画のお仕事では、わざとらしくない程度に、「こういう(個性的な)人は、本当にいそうだな」と思っていただけるぎりぎりの範囲で、いろいろな顔を見せていきたいです。

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― ミニシアターで映画をご覧になることはありますか?

大塚 昨年から、アップリンクのカードを持ち始めたので、よくかよっています。映画を観るときは(女優として、というよりは)一映画ファンとして観るので、とても素敵な役者さんを知ることができたり、周囲の人々がまだ観ていない作品を発掘したりというような、そういう楽しみがすごくあります。

小沼 僕にとっては職場でもあるので、東京で行ったことのないミニシアターはないくらい、あらゆる館にかよいつめています。お客として映画を観に行くことも、もちろんあって、特に日本映画は、ミニシアターで観る機会が多いです。(名画座の)目黒シネマで、2本立ての上映を観ることもありますよ。
こういうご時勢で景気がよくないせいもありますが、「単館系の元気がない」という言葉も聴くので、映画を作る側としては、頑張って作品を作り続けて、いろいろなミニシアターで公開したい、と思っています。

★本編を観た人限定!? 反転しないと読めないネタバレ・コーナー★

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『都市霊伝説 心霊工場』を既にご覧になったかたは、「ある小道具」が印象的に使われていたことをご存知ですね。あの小道具に関する秘話も、小沼監督と大塚さんは語ってくださいました。以下、ネタバレになりますので、ほぼ白に近い色で書いています。「ネタバレでもOK!」というかたは、ドラッグ等で反転させてお読みください。

↓ネタバレ、ココカラ……、↓

小沼 劇中に出てくるあの手紙の原稿は、僕の妻があらゆるテキストを調べて書いたものなのですが、実際の手紙は、大塚さんに肉筆で書いていただきました。役作りも兼ねて、便箋に15枚くらい、びっしりと。

大塚 とても長い手紙なので、書いていると腕がだんだん麻痺してきて、筆圧が強くなっていくんです。書いても書いても終わらないような気分になってきて、最終的には、体が無になった感じがしました。書き終わったあとは、魂が抜けたように疲れてしまいましたが、今にして思えば、あの手紙を書いていたときに、自分が真紀という役に「すっ」と入ったんでしょうね。あの手紙を自分の字で書かせてもらって、本当によかった、と終わった今では思います。

小沼 パソコンのキーボードで打つのではなく、「一字一字、肉筆で書かれた手紙」という点に、とても迫力があるんです。

大塚 現実の生活で、「もしも自分が実際にあの手紙をもらったら」と考えると、ぞっとします。まるで、呪いの手紙が届いたかのような気分になると思います。日常の職場の、隣のデスクで働いている人が、メールもある現代に、わざわざ手紙という手段で、肉筆の鉛筆で書くのですから。そこにとても怨念を感じました。

※ 『都市霊伝説 心霊工場』の上映期間中、あの手紙はアップリンクXのロビーに展示されていますので、ぜひ現物をご覧になって、大塚さんのご苦労と、真紀の怨念を、リアルに味わってみてください!

↑ネタバレ、ココマデ。↑
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skiop ▼小沼雄一(おぬま ゆういち)監督 プロフィール
1965年12月3日生まれ。茨城県出身。大学卒業後、今村昌平監督が創設した日本映画学校に入学。1995年、同校の卒業制作として監督した『チャンス・コール』が今村昌平賞を受賞。日本映画学校卒業後、助監督として経験を積んだのち、『自殺マニュアル2 中級編』(2003年)で商業映画監督デビュー。主な監督作品は、『AKIBA』(2006年)、『夏の思い出』(2006年)、『童貞放浪記』(2009年)、『都市霊伝説 心霊工場』(2010年)等。新作『結び目』の公開が2010年6月に控えている。パソコンのプログラミングが得意で、フリー・ソフトの製作者という顔も持つ。
●公式サイト:O’s Page

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skimp ▼大塚麻恵(おおつか まえ)さん プロフィール
1980年9月3日生まれ。東京都出身。モデル・声優等を経て、現在は映画・舞台を中心に女優として活躍している。主な映画出演作は、『都市霊伝説 心霊工場』(小沼雄一監督作品/2010年)、『おやすみアンモナイト 貧乏人抹殺篇/貧乏人逆襲篇』(増田俊樹監督作品/2009年)、『完全なる飼育 メイド、for you』(深作健太監督作品/2009年)等。新作『沈黙の隣人』(増田俊樹監督作品)が、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2010のフォーラムシアター部門に正式招待された。
●公式ブログ:まえを向いて歩こう!~涙がこぼれてもいいんじゃない♪~
所属事務所 公式プロフィール

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skimain2 ▼『都市霊伝説 心霊工場』作品・公開情報
日本/2010年/77分
監督・脚本・撮影・編集:小沼雄一
出演:大塚麻恵 石原あつ美 平田裕一郎 ファンキー中村 他
配給:ムービープラネット
『都市霊伝説 心霊工場』公式サイト
※2010年3月6日より3月26日まで、アップリンクX(東京)にてイブニング&レイトショー(3月20日以降はレイトショーのみ)。上映期間中は連日、関連イベントがおこなわれます。イベントの詳細につきましては、公式サイトをご参照ください。

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★プレゼント★

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取材:おすず・香ん乃 編集・文:香ん乃 スチール撮影:細見里香
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小沼雄一監督作品
童貞放浪記 [DVD] 夏の思い出 ~沖縄伝説~ [DVD] AKIBA アキバ [DVD] ロザリオの雫 [DVD]
ニューハーフダンク [DVD] 自殺マニュアル2 中級編 [DVD] キル・鬼ごっこ [DVD]

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