『都市霊伝説 心霊工場』
- 2010年03月05日更新
いきなりばばーんと現れる血みどろの死体よりも、唐突に鼓膜を襲う轟音よりも、「人の心の奥底で化膿した『恨み』」こそが、最も恐ろしい ― 『都市霊伝説 心霊工場』を観ると、口の中を恐怖で干あがらせつつ、そう実感する。
本作を観ていると、誰かの恨みや妬みを買わないように、「人づきあいには、もっと慎重にならなければ」と、身がすくむ。とはいえ、自分がいくら心がけているつもりでも、他人に与えるマイナスの影響は制御できない場合も多い。「自分と接することで、相手が感じてしまう闇」にまで、責任は持てないのが現状だ。
『都市霊伝説 心霊工場』では、ある廃工場に、吸い寄せられるかのように、導かれるかのように、人々が集まっていく。興味本位で訪れたホラー・サークルのメンバーたち、取材で単身乗りこんだ映画監督のトヨカワ、仲間たちの身を案じて駆けつけるホラー・サークルの副会長・三原俊郎、そして、「ある事実」を自ら確かめるために赴かなければならなかった、編集者の内田真紀。
廃工場に集った面々に、容赦なく襲いかかる霊の「意思表示」。ここでいったい、どんな惨劇があったのか。その惨劇を引き起こした「ある人物の感情」は、どれだけの怨恨に侵されていたのか。
監督は小沼雄一。サスペンス・ホラーの『自殺マニュアル2 中級編』で映画監督デビュー後、ファンタジー・ドラマ『夏の思い出』、切ないコメディ『童貞放浪記』など、幅広いジャンルでメガフォンを執っている。パソコンのフリー・ソフト製作者という顔も持つ。
主人公の内田真紀を演じたのは、『おやすみアンモナイト 貧乏人抹殺篇/貧乏人逆襲篇』(増田俊樹監督作品)での「1ヶ月も入浴をしない女の子・矢井田芳子役」が記憶に新しい大塚麻恵。『都市霊伝説 心霊工場』では、黒い秘密を胸に抱えた神秘的な真紀役で、新たな境地を見せている。
脇を固めるキャストに、石原あつ美、平田裕一郎、市川真治など、フレッシュな顔ぶれが揃った。小沼監督のメガフォンのもと、今をときめく若手女優と俳優が体現した「恐怖」の目撃者に、ここを読んでいるあなたにも、ぜひなっていただきたい。
▼『都市霊伝説 心霊工場』作品・公開情報
日本/2010年/77分
監督・脚本・撮影・編集:小沼雄一
出演:大塚麻恵 石原あつ美 平田裕一郎 ファンキー中村 他
配給:ムービープラネット
●『都市霊伝説 心霊工場』公式サイト
※2010年3月6日より3月26日まで、アップリンクX(東京)にてイブニング&レイトショー(3月20日以降はレイトショーのみ)。上映期間中は連日、関連イベントがおこなわれます。イベントの詳細につきましては、公式サイトをご参照ください。
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文:香ん乃
小沼雄一監督作品 | |||
改行
- 2010年03月05日更新
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