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『GINAGINA ぎなぎな』渋谷ユーロスペース、四日市市文化会館で来春上映決定!―俳優・高川裕也が高齢化社会の行先を問いただす意欲作
- 2022年12月29日更新
映画『ひかりのたび』『ソロモンの偽証』『ローリング』への出演やテレビ番組『カンブリア宮殿』『SASUKE』のナレーションで活躍する俳優の高川裕也が初監督と脚本を手がけ、さらに主演も務める中編作『GINAGINA ぎなぎな』が2023年1月26日(木)〜28日(土)に東京・渋谷ユーロスペースにて、2月25日(土)と26日(日)には、三重県四日市市文化会館第2ホールにて上映される。終息の見えないコロナ禍、近く目の当たりにする2030年問題……暗雲立ち込める日本の将来に、そして次の老後を迎える者たちの希望の行方を投げかける作品だ。
俳優・高川裕也が、高齢化社会の行先を問いただす意欲作!
コロナ禍に生活を脅かされた初老の俳優・木村誠は、仲間を募って映画づくりを始めるが、肝心のアクションシーンで主演俳優の恵介に大怪我を負わせてしまう。恵介のマネージャーからはやんわりと損害賠償を求められ、申請していた補助金も次々と却下される。そこに何年も疎遠になっていた実娘・アサミからも難題を持ちかけられる。
途方に暮れた木村は、ふと故郷の同窓会に出ることに。そしてそこで、かつて学年のマドンナ的存在だった雪乃に再会し、ある提案を持ちかけられ……。
高度経済成長期を過ごした者たちが、近く目の当たりにする2030年問題と、この先の高齢化社会の行先を問いただす中編作品。 娘・アサミ役にスターウォーズ三部作のレイの吹き替えや舞台で活躍する永宝千晶。雪乃役に文学座の八十川真由野。恵介役は主演と脚本を務めた映画『元気屋の戯言』(上原源太監督)がBSスカパー!鬼がシネマでグランプリを獲得した元気屋エイジ。音楽には個性的なステージでライブハウスを席巻する、「鍵盤ひとり舞台」の藤原愛が務める。
監督メッセージ
こんな騒ぎは収まるだろう、長くは続くまいと思っていたコロナ禍の自粛期間中……最初は子どもと茶の間で絵でも書いて優雅に過ごしていました。ところがぱったりとなくなった仕事が 全く元に戻らない。自粛期間が明けても毎日あてのないままでした。役者などという浮き草稼業、若い頃は全く仕事もなく“一体自分は何者だ”と眠れない夜を過ごす事がママありましたが、まさにその頃の焦燥が手に取るように戻っ てきていました。それでもこういう時期はインプットの時期と、毎日映画館へ足を運ぶ。それはもうまるでリストラされた会社員が定 時に家を出て公園で過ごすようなものです。ふと、これは身から出た錆なのではないかと言う考えが頭をよぎります。たまたまコロナの 時期と重なっただけで、これが自分の限界なのではと。役者をやっていると20代30代で見切りをつけて転職する奴も相応にいます。今や彼らは第二の人生も軌道に乗って、それなりの老後を迎えることが出来るのでしょう。翻って、一体自分はこの歳でどうなるのかと……。そんな時、ほぼ同時期に二人の人間から、「映画を撮ってみれば?」と勧められました。こんな機に一本や二本のやりたい企画 がつらつらと出てくるわけでもなし、その事実にも悄然とする始末。しかしその事こそ今自分が描くべき事なのではないか……そしてそ んな自分を含めた吾々の世代をこそ。そんな思いで筆を取ってみました。
上映スケジュール
【東京】2023年1月26日(木)〜28日(土)渋谷ユーロスペース
【三重】2023年2月25日(土)〜26日(日)四日市市文化会館第2ホール
『GINAGINA ぎなぎな』公式サイト・アカウント一覧
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予告編 & 作品情報
▼『GINAGINA ぎなぎな』
文化庁「Arts For The Future」補助対象作品
(2022年/日本/44分/シネマスコープ)
出演:高川裕也 八十川真由野 田村義晃 永宝千晶 元気屋エイジ 鷹野梨恵子 橋本拓也
海部剛史 伊藤俊 鈴木貴丈 森岡弘一郎 小林峻 南千尋 井手泉 辻成哉 入鹿尊 ほか
脚本・監督・編集:高川裕也
撮影監督・照明・編集:星野有樹 音楽:藤原愛 助監督:中嶋怜音
ヘアメイク:西村佳苗子 整音:柞山京一 編集協力:村井佐知 取材協力:渡辺美千代 撮影協力:渡辺手延製麺所 代沢亭 ロケ協力:よっかいちフィルムコミッション 協力:四日市市 ほか
製作:TheBlackScreenBrigade 高川裕也
【STORY】コロナ禍は終息の気配を見せず、世間には諦めと憤懣が漂い始めていた。俳優の木村は、一念発起して補助金や助成金を元に小さな映画を作り始める。それは、長年続けてきた俳優という生業に対するひとつのケジメでもあった。仲間やスタッフを集め、主役に後輩俳優の恵介を据えたが、アクションシーンで恵介が大怪我を負ってしまう……。3ヶ月の重症。恵介のマネージャーからは、やんわりと損害賠償を持ちかけられたが、最後の頼みの生活補助金も却下の通知が届く。木村は撮影延期を決断。それが事実上中止を意味することはスタッフも承知していた。
時を同じくして娘のアサミから久し振りに連絡がある。離婚間近と思っていた夫との間に子どもができ、産んで一人で育てるという。金策に悩む木村は、初めて中学の同窓会に出席。再会した雪乃と旧交を温めると、彼女は木村の映画に出資すると言い出した。或いは、故郷に戻って自分の会社で雇ってもいいと。しかもこれは「復讐なのだ」という……。 東京に戻った木村はスタッフを集め、恵介の回復を待って撮影の再開を約束。そして恵介にもアサミにも、一つの決意を持ちかける……。
編集:富田旻
- 2022年12月29日更新
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