『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』-トリックか、悪夢か、現実か? 心霊検証に挑んだ学者に襲いかかる恐怖とは?

  • 2018年07月20日更新

映画『ゴースト・ストーリーズ』メイン画像世界で100万人以上を動員した“歴史上もっとも恐ろしい”といわれる舞台を映画化。“絶対にトリックを暴けない怪奇現象”の解明に挑んだ心理学者が、想像を絶する恐怖を体験する。この脚本に惚れ込んだ「SHERLOCK」のマーティン・フリーマンが、重要人物の一人として出演。雲が広がりすっきりしない英国の空が息苦しさに拍車をかける。

 

オカルト否定派の学者を待ち受ける怪奇現象

映画『ゴースト・ストーリーズ』サブ画像1心理学者のフィリップ・グッドマン教授は、イギリス各地で霊能力者の化けの皮を暴いてきた。ある日彼は、長らく行方不明になっていた憧れのキャメロン博士から、「どうしてもトリックが見破れない」という3つの超常現象の調査の依頼を受ける。調査の対象は、初老の夜間警備員、家族関係に問題を抱える青年、出産前の妻を持つ地方の名士。彼らに話を聞くためグッドマンは旅に出る。しかし、そこで彼を待ち受けていたのは、人知を超えた不可解な現象だった。

存在しないはずのものが存在するという恐ろしさ

心霊現象などのウソを糾弾してきたキャメロン博士に影響を受け、同じ道に進んだグッドマン。だが、博士は彼の仕事を「クソだ」と切り捨て、「超自然現象や見えない力はすべて真実」だと言う。その言葉を聞いて戸惑い、茫然と海辺に佇むグッドマンが捉える光景は、その後の不吉な予兆にほかならない。見えないはずのものが見えるとき、人は恐怖に包まれる。

ホラー映画は“恐怖の喜びを呼び覚ます!?

映画『ゴースト・ストーリーズ』サブ画像2ホラー映画では、視覚的、聴覚的なインパクトに加え、当然ながら観客に恐れや不安を抱かせるストーリーが重要となる。“かつて精神病院だった倉庫”“闇が支配する森”“雪に閉ざされた邸宅”を超常現象の舞台に設定し、驚くべき展開が用意された本作は、それらを十分兼ね備えているといってよい。また、これらの3つのエピソードに共通するある“感情”が、物語に隠されている謎を解く鍵となる。

監督・脚本を手掛けるアンディ・ナイマン(兼主演)とジェレミー・ダイソンが目指すのは、「テーマパークの乗り物のように、子どものころ夢中になった強烈な恐怖の喜び」を再現することだという。「恐怖の喜び」とは何とも矛盾した表現だが、恐怖による刺激が不快感だけでなく、高揚感や中毒性もたらすことを意味しているのだろう。それを熟知した2人が生み出した作品は、見事にホラー映画ファンのツボを突いてくる。

陰鬱な雰囲気が全編に漂う心霊エンターテインメント。人間の恐れの源はどこにあるのか、その答えは予測のつかないストーリーの中に隠されている。

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▼『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』作品・公開情報

映画『ゴースト・ストーリーズ』ポスター(2017年/イギリス/英語/98分/PG-12)
原題:GHOST STORIES
監督・脚本:アンディ・ナイマン&ジェレミー・ダイソン
原作:「ゴースト・ストーリーズ」アンディ・ナイマン&ジェレミー・ダイソン
出演:アンディ・ナイマン、アレックス・ローサー、ポール・ホワイトハウス、マーティン・フリーマン
日本語字幕:ブレインウッズ
配給:トランスフォーマー

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『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』公式サイト

※2018年7月21日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、ユナイテッド・シネマ豊洲ほかにて全国順次公開

文:吉永くま

  • 2018年07月20日更新

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