『疾風スプリンター』〜自転車ロードレース、ド迫力のスピード、戦略、そしてクラッシュ! そして男たちの友情と青春〜

  • 2017年01月07日更新

自転車プロ・ロードレースを舞台に、男たちの友情と青春を描く本格スポーツ映画。台湾、中国、韓国を代表するアジアの人気俳優たちが、スタントなしで演じる激しい競技シーンはとにかく見もの。アスリートとしての苦悩、友情、恋愛模様という青春ドラマの面も楽しめるエンタメ作品。監督・脚本は、アクション映画監督ダンテ・ラム。第28回東京国際映画祭では『破風』のタイトルで上映され、高い評価を得ている。2017年1月7日(土)より新宿武蔵野館ほか全国公開 © 2015  Emperor Film Production Company Limited  All Rights Reserved

 


アスリートたちの熱い友情、そして栄光と挫折の分かれ道
【あらすじ】自転車ロードレースの「チーム・レディエント」は、チョン・ジウォン(チェ・シウォン)をエースとする強豪チーム。そんな「チーム・レディエント」に全くタイプの違う2人の新人選手、チウ・ミン(エディ・ポン)とティエン(ショーン・ドウ)が、アシストとして所属することに。2人は「いつかエースの座つかむ」ことを目標に、互いに切磋琢磨しながら、アシストとして力を発揮。選手として成長しながら友情も深めていく。そしてジウォン、ミン、ティエンの3人は、「チーム・レディエント」の主力選手として力を合わせ、ライバルチーム「ファントム」の妨害にも屈せず、台湾各地で連戦、快進撃を繰り広げる。しかし「チーム・レディエント」は、資金難で運営が立ち行かなくなり、ジウォン、ミン、ティエンの3人は、それぞれ別のチームに移籍。別チームのエースとして、3人でトップを競い合うことになるのだが……。

 

美しい大自然を駆け抜ける! 迫力のカメラワークとスピード感
実際に、俳優のケガも絶えない過酷なロケだったという本作。迫力のレースシーンは、自転車競技を知らない観客をも魅了するだろう。観ていると自らが疾走しているような感覚を覚える、スピード感あふれるカメラアングル。その「体験型」映像はスリルいっぱいで、ドキドキワクワクさせられる。また自転車ロードレースの醍醐味ともいえる「チーム戦略」も見どころ。選手たちは肉体や技を磨くだけでなく、チーム一丸となって心理戦を闘い、状況に応じて策をめぐらせる必要がある。現地のコースやライバルチームの特徴を吟味し、チームメンバーの特性を活かしてコーチと作戦を練る……しかし、当日の風の流れや選手のコンディションで、戦略通りに進められるかもわからないのだ。本作を観ると「自転車レースは頭脳戦」という面も味わうことに。演じるイケメン俳優たちも、本物のアスリートさながらに肉体を鍛え抜き、危険なシーンに限界までチャレンジしている。臨場感あふれるレースシーンを通し、アスリートの苦しみや葛藤、そして喜びがグイグイと胸に迫ってくる。また、ロードレースの舞台となる大自然の風景も美しく、爽快だ。

 

ハードなスポーツだけじゃない。友情、恋、青春も!
本作はスポーツ映画というだけでなく、友情や恋、苦悩や挫折を描いた青春映画、成長物語でもある。真逆の性格である2人の新人選手の野心、友情と反発のドラマに胸を熱くさせられ、スター選手を含めた男子選手3人の、生命力にあふれたアスリート人生に気分は高揚させられる。また、ボーイッシュなヒロインを演じるワン・ルオダンも、自転車競技に挑んでいる。可憐なルックスながら、男子選手に影響を与えるタフな女子選手として競技シーンを演じつつ、彼女を絡めた恋模様も描かれる。メインキャストはみなアジアが誇る人気俳優であり、体を張って本格的なロードレースシーンも、濃厚な人間ドラマも演じきり、余すところなくその魅力を発揮している。なんとも贅沢な作品である。

 


▼『疾風スプリンター』作品・公開情報
(2015年/香港・中国/カラー/北京語・広東語・英語・韓国語/125分/スコープサイズ/DCP)
原題『破風』 英題『To the Fore』
監督・脚本:ダンテ・ラム
出演:エディ・ポン、チェ・シウォン、ショーン・ドウ、ワン・ルオダン ほか
配給・宣伝:エスパース・サロウ
提供:ギャガ、新日本映画社
●『疾風スプリンター』公式HP
2017年1月7日(土)より新宿武蔵野館ほか全国公開

© 2015  Emperor Film Production Company Limited  All Rights Reserved

 

文:市川はるひ

  • 2017年01月07日更新

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