『ミスターダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』〜 音楽を愛するすべての人へ…JBドキュメントの決定版!〜

  • 2016年06月18日更新

これぞJB! ファンクの帝王、ジェームス・ブラウンのドキュメンタリー映画、決定版。ミック・ジャガーが愛とリスペクトを込めてプロデュース。JBの知られざる素顔や全盛期のライブシーンなど、貴重な未公開映像満載。さらに関係者によるステージウラ話などのインタビューもあって、たっぷり楽しめる。
2016年6月18日より、角川シネマ新宿、渋谷アップリンク、吉祥寺オデヲンほか全国順次ロードショー
©2014 Mr. Dynamite L.L.C.




ファンク・ミュージックを発明した偉大なアーティスト、JBの軌跡と素顔に迫る!
本作は、ファンクの起源を作ってアメリカの音楽シーンを根底から変え、さらにバンドリーダー、プロデューサーの顔ももって「ショービジネス界で最も働き者」として音楽界に君臨した、ご存知ジェームス・ブラウンのドキュメントだ。親に捨てられ、靴磨きやポン引きとして生きたJB。苦悩を味わった少年時代をバネに、自力で道を切り開き、荒削りながら洗練されたパワフルなパフォーマンスで「20 世紀でもっとも影響力のあるアーティスト」となっていった。さらにその影響力により、当時の公民権運動と音楽シーンを結びつけるという社会的偉業までやってのけた。 ビッグバンドからヒップホップ時代までを走り抜け、ファンクを発明し、音楽文化そのものを変えてゆく最盛期までに焦点を絞り、その偉大なる足跡をたどる。本作は、ブラウン・エステート(ジェームス・ブラウンの権利を管理する会社)の異例の協力を得ることに成功。貴重な映像、未公開映像が多数集まっている。さらに当時の関係者やバンドメンバー、影響を受けたミュージシャンなど、魅力的な人物たちへの新たなインタビュー映像とあわせ、見ごたえたっぷりに構成されている。


JBの歴史的なステージ&インタビューシーン。そして 仲間たちの新たな声も!
この作品では、ジェームス・ブラウンの名場面のステージなど、歴史的で貴重な映像や写真が次々と繰り出される。その勢いに圧倒され、多くの人が引き込まれるだろう。1956 年の初のヒット曲『プリーズ、プリーズ、プリーズ』からアポロ劇場での公演、人気歌手やバンドを一堂に会した公開番組『タミー・ショウ』を撮影した映画『ビート・パレード』、フランスの老舗ミュージックホール、オランピアでの公演、そしてキング牧師が暗殺された直後のボストン公演。息もつかせぬ迫力の歌とステップ&スピン、激しいシャウト、心にしみるトーク。多くのオーディエンス、ミュージシャンの心を鷲掴みにしてきたJBのパフォーマンスを、贅沢に存分に味わえる。また、インタビュー映像は、過去にJB自身がこたえているものだけでない。今回新たに、元バンドメンバーやJBに影響を受けたミュージシャンたちのインタビューが、多数行われている。まずは本作のプロデューサーであり、アポロ劇場で初めてJBの公演を見たというミック・ジャガー。そしてJBを父のように慕い、ツアーマネージャーを経て人権活動家となったアル・シャープトン。またJBのバンドに参加したメンバーも多数登場する。メイシオ・パーカー(サックス)、メルビン・パーカー(ドラム)、クライド・スタブルフィールド(ドラム)、 アルフレッド “ピーウィー”エリス(サックス)、マーサ・ハイ(バックシンガー)、 ブーツィー・コリンズ(ベース)、フレッド・ウェズリー(トロンボーン)、そしてMCをつとめ、マントパフォーマンスをしていたダニー・レイ。さらに『Hot On the One』のリズム継承者であるドラマーのクエストラブ、「パブリック・エネミー」のチャックDなど、JBを敬愛するミュージシャンも登場。誰もがJBについて、親しげに楽しげにその熱い思いを語っている。スクリーン越しに聞いていると、つい前のめりになり、一緒に笑ったり、ほろりとしてしまう。そうしているうちに、彼らの感動を分かち合うように、味わうことができる。


JBの美徳をギュッと凝縮、ゴキゲンなステージ映像で盛り上がろう!
本作の監督アレック・ギブニーは、ジェームス・ブラウンについて、大量の資料を映像を吟味、さらに関係者や親族に熱心なインタビューを行ったうえで、本作を、彼の音楽シーン全盛期に集約・構成することを決めた。すでに伝説として広く知られているJBの「利己的で癇癪持ち」な面は、あえて控えめに。ゆえに本作では、タフな努力家でひたすらかっこいい、茶目っ気や愛嬌たっぷりのJBをとことん堪能できる。「あのときの、JBはこんなことを言っていて、その意気込みは…」などというウラ話のインタビューを流しながら、実際のステージ映像を見せたりと、うねりを作って、観ているものの気分をアゲていく。おかげで観客は、笑い転げ、驚異のパフォーマンスに興奮したりと、大忙しになる。つまり本作は、JBの美徳ばかりがぎっしり詰めこまれているので、ひたすら陽気に楽しむことができる作品として作られているのだ。一方、2015年に公開された劇映画『ジェームス・ブラウン〜最高の魂を持つ男〜(プロデュース:ミック・ジャガー、監督:テイト・テイラー)』は、見事なステージシーンの再現とともに、JBの周囲との軋轢、そして凋落してゆく孤独な姿を中心に描いている。この2作品はおそらく対になっている、兄弟のような作品だ。2作品とも観ることができれば、JBという人物像をより身近に、より愛しく感じられるだろう。


▼『ミスターダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』作品・公開情報
(2014 年/アメリカ/115 分/カラー/16:9/DCP)
原題・英題 『MR. DYNAMITE: THE RISE OF JAMES BROWN』
脚本・監督︓アレックス・ギブニー
プロデューサー:ミック・ジャガー
出演:ジェームス・ブラウン、ミック・ジャガー、アル・シャープトン、メイシオ・パーカー、メルビン・パーカー、クライド・スタブルフィールド、アルフレッド“ピーウィー”エリス、マーサ・ハイ、ダニー・レイ、ブーツィー・コリンズ、フレッド・ウェズリー、チャックD、アーミア“ クエストラブ” トンプソン
●ミスターダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン公式サイト
配給:アップリンク
2016年6月18日より、角川シネマ新宿、渋谷アップリンク、吉祥寺オデヲンほか全国順次ロードショー
©2014 Mr. Dynamite L.L.C.

文:市川はるひ

  • 2016年06月18日更新

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