家族を描く達人たちの作品を一挙上映―「台湾巨匠傑作選」ホウ・シャオシェン/アン・リー/エドワード・ヤン/ウェイ・ダーションの世界

  • 2014年08月23日更新

世界的評価の高い台湾出身監督のホウ・シャオシェン、エドワード・ヤン、アン・リー、ウェイ・ダーションの4人の12作品を一挙上映する「台湾巨匠傑作選」。台湾巨匠の扱うテーマの多くは「家族」というもっともミニマルな人間関係。「家族」の日常を飾りたてることなく日常のまま丁寧に切り取っていくからこそ普遍的な懐かしさ、切なさが生まれる。世界中の人々が自身の家族に重ね合わせて楽しめるところが台湾巨匠の巨匠たる所以だ。8/23~9/15までの限定公開なので、スケジュールチェックをお忘れなく。今回はミニシアおすすめ4本をご紹介します。K’s cinemaほか全国順次公開
恋人たちの食卓(C)Central Motion Picture Corp

「台湾巨匠傑作選」ミニシアセレクション

<侯孝賢/ホウ・シャオシェン>作品
「童年往事 時の流れ」
1985年/ 138分/台湾/出演:ユー・アンシュン、シン・シューフェン
第22回台湾金馬奨 最優秀助演女優賞・最優秀脚本賞
第36回ベルリン国際映画祭 国際批評家連盟賞

阿孝という少年の成長の年代記を、彼と家族の日常をめぐるささやかな出来事で綴る。主人公の阿孝は、47年広東省に生まれ、一歳のときに一家で台湾に移住した。村の子供たちの間でガキ大将的存在の阿孝だったが病弱な父は、子供心に阿孝に小さな影を落としていた…。童年往事(C)Central Motion Picture Corp

<楊徳昌/エドワード・ヤン>作品
「ヤンヤン 夏の想い出」
2000年/ 173分/台湾・日本/出演:ジョナサン・チャン、ケリー・リー、イッセー尾形
第53回カンヌ国際映画祭 最優秀監督賞
第26回L.A.批評家協会賞 最優秀外国語映画賞
第67回N.Y.批評家協会賞 最優秀外国語映画賞

台北のごく普通の家庭の少女とその家族を通じ現代の家族が抱える問題をリアルに描いたドラマ。8歳のヤンヤンは、祖母と両親と姉と台北で暮している。しかし、祖母が脳卒中で倒れ昏睡状態に陥ったのを機に看病に疲れた母は家を出、昔の恋人と再会した父は過去を思い出し、姉は恋に思い煩う。そんな家族の姿をヤンヤンは冷静に見守り…。
「ヤンヤン夏の想い出(C) 1+2 Seisaku Iinkai

<李安/アン・リー>作品
「ウェディング・バンケット」
1993年/ 108分/台湾・米/出演:ラン・シャン、ウィンストン・チャオ
第43回ベルリン国際映画祭金熊賞
第30回台湾金馬奨 最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀助演男優賞・最優秀助演女優賞
第51回ゴールデングローブ賞 外国語映画賞および第66回アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート

ゲイの青年が偽装結婚したことから巻き起こる悲喜劇を、シニカルかつ感動的に描いたコメディ・ドラマ。ゲイであることを両親に隠し、恋人の男性・サイモンとマンハッタンで暮らす偉同。両親に結婚を急かされている彼はサイモンのアイデアで、グリーンカードを欲しがっている女性・威威と偽装結婚することに。しかし、息子からの手紙で結婚を知った両親が、台湾からやって来てしまい…。
ウェディング・バンケット(C)Central Motion Picture Corp

<魏徳聖/ウェイ・ダーション>作品
「セデック・バレ」
第48回金馬獎 最優秀作品賞・最優秀助演男優賞・最優秀オリジナル音楽賞・最優秀音響効果賞・観客賞・最優秀台湾映画人賞
2011年/第一部144分、第二部132分/台湾/出演:リン・チンタイ、安藤政信、ビビアン・スー

1930年、日本統治下の台湾で起きた原住民族による武装蜂起「霧社事件」を描いた、二部構成の歴史大作。アジア各地で驚異的な大ヒットを記録した話題作。
<第一部・太陽旗>セデック族は、自分たちの文化や習慣を禁じられ、過酷な労働を強いられていた。そんな中、日本人警察官とセデック族の一人が衝突したことをきっかけに、長らく押さえ込まれてきた住民たちが立ち上がり…。
<第二部・虹の橋>セデック族の襲撃を受け、多くの日本人は女子供のくべ区なく命を奪われた。日本軍は直ちに鎮圧を開始。山岳地帯の地の利を活かして戦うセデックの前に苦戦を強いられるが、圧倒的な武力を誇る日本軍により、セデックの戦士たちは次々と命を落としていく。

▼「台湾巨匠傑作選」開催情報
期間: 2014年8月23日(土)~9月15日(月・祝)
会場:K’s cinema
詳しいスケジュールは映画館サイトで確認してください。

上映作品
【ホウ・シャオシェン監督作品】
「坊やの人形」
「童年往事 時の流れ」
「憂鬱な楽園」
「フラワーズ・オブ・シャンハイ」
「珈琲時光」

【エドワード・ヤン監督作品】
「ヤンヤン 夏の想い出」

【アン・リー監督作品】
「推手」
「ウェディング・バンケット」
「恋人たちの食卓」

【ウェイ・ダーション監督作品】
「海角七号/君想う、国境の南」
「セデック・バレ」<第一部・太陽旗><第二部・虹の橋>
ドキュメンタリー映画「セデック・バレの真実」(制作:ウェイ・ダーション)

「珈琲時光」①(C)2003 松竹株式会社/朝日新聞社/住友商事/衛星劇場/IMAGICA

文:白玉

  • 2014年08月23日更新

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