年月の記事

『パリ、ただよう花』-5年間の映画製作禁止の中でロウ・イエ監督が描きたかったものはセックス?

パリにやってきた中国人、花(ホア)。北京で出会った恋人に捨てられ、パリの街をさまよう。解体工のマチューに出会ったホアは強引に体を奪われるが、セックスの後もお互い、離れることが出来ない。お互いの体を求め、激しく愛し合う二人。ある日、ホアはマチューの仕事仲間、ジョバンニに誘われた別荘でレイプをされる。ホアの愛を確かめるためマチューが仕掛けたことだった。お互いの価値観の違いに気づきながらもなお、離れがたい二人。激しく体を重ねていく二人はどこに行きつくのか。中国電影局から5年間の映画製作、上映禁止処分を受けたロウ・イエ監督が処分期間中に制作した作品の一つ。セックスをテーマにぶつかりあう人間を描く。

『フォンターナ広場 イタリアの陰謀』-イタリア最大の未解決事件の真相は?

史実に基づいた作品である。当時この爆破の現場を目撃したマルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督は、イタリアの若い世代がこの事件を正しく理解していないことに衝撃を受け、映画化を決めたという。今もなお、犯人が分からないという未解決事件。この事件後、イタリアでは無差別テロが相次ぐ“鉛の時代”に突入していく。12/21(土)、シネマート新宿ほか全国で順次公開。

『祭の馬』 ―3.11以降、タブーの存在となった馬たちの生を追ったドキュメンタリー

東日本大震災で津波に飲み込まれながら、奇跡的に生き延びた南相馬市の馬たちの姿を追ったドキュメンタリー『祭の馬』。本作は、松林要樹監督が震災後の福島県南相馬市江井地区を取材し2012年に発表した『相馬看花 第一部 奪われた土地の記憶』の第二部に位置づけられる作品である。本作に登場するのは、震災後、世間に居場所を公表することを禁止された馬たち。タブー視された馬たちの運命を、松林監督はユーモアあふれる視点で切りとる。震災が過去のこととして語られようとしている現在、本作がドバイ国際映画祭アジア・アフリカ・ドキュメンタリー部門でグランプリを受賞したのは、非常に喜ばしいことだ。2013年12月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムにてロードショー、ほか全国順次公開 © 2013記録映画『祭の馬』製作委員会

『少女は自転車に乗って』―自転車で走る少女の姿にこめられた、サウジ女性の勇気と希望―

これは世界に一石を投じたと言ってもいい! 映画館の設置すら禁じられているサウジアラビアで、初の女性監督とともに奇跡の傑作が誕生した。本作は10歳のオテンバ娘が自転車を手に入れようと奮闘するシンプルなストーリー。少女の勝気な笑顔と活躍ぶりが印象的だ。しかしその芯には、重い因習を打破しようと果敢に戦うサウジ女性の苦悩と反骨精神が詰まっている。世界の国々で公開され、多数の映画賞を受賞し評判を呼んでいる、宝石のような輝きを放つ作品だ。12/14(土)岩波ホールほか全国順次ロードショー。© 2012, Razor Film Produktion GmbH, High Look Group, Rotana Studios All Rights Reserved.

「愛情を見て欲しい」と紹介しています。-「ゆるせない、逢いたい」柳楽優弥さん、吉倉あおいさんインタビュー

上映中の「ゆるせない、逢いたい」は知り合い同士の間で起きるレイプ‐デートレイプをテーマにした作品。デートレイプという激しいテーマを取扱いながら、初恋ゆえの不器用な二人のやり取りと、事件後の二人を取り巻く人々の姿を繊細に温かく描いている。今回は隆太郎役の柳楽優弥さんと、はつ実役の吉倉あおいさんにデートレイプというテーマの重さとこの物語を取り巻く人々についてお話を伺ってきました。

『SAVE THE CLUB NOON』― 大阪のクラブ「NOON」摘発をめぐる、奇跡のライブドキュメンタリー

2012年4月、大阪中崎町の老舗クラブ「NOON」が風営法違反により摘発された。メジャー、インディーズを問わず、さまざまな音楽とカルチャーの発信源として、関西のクラブシーンを牽引してきた「NOON」。この場所に特別な思いを抱く人々の声は瞬く間に広がった。そして同年7月、「NOON」への感謝と救済を訴えるミュージシャン約100組が集結し、4日間にわたるイベント『SAVE THE NOON』が開催される。本作は、そのライブの模様と出演ミュージシャンたちの、貴重なインタビューを収めたドキュメンタリー作品だ。
(c)「SAVE THE CLUB NOON」製作委員会

第14回東京フィルメックスクロージングセレモニー-最優秀作品賞はグルジア映画『花咲くころ』に決定

11月30日(土)、第14回 東京フィルメックスのクロージングセレモニーがおこなわれ、各賞が発表された。コンペティション作品10本の中から最優秀作品に輝いたのはグルジアの10代の少女たちを描いたナナ・エクチミシヴィリ監督、ジーモン・グロス監督の「花咲くころ」。各賞の喜びの声をリポートします。