『鳥を見て!』―画像で楽しむ初日舞台挨拶+佐々木友紀監督×広澤草さん×片山享さんトークショー

  • 2012年05月12日更新

『鳥を見て!』DVD、2012年5月2日(水)にリリース

2012年4月14日(土)から、1週間限定でポレポレ東中野にて上映された、青春Hシリーズ第22弾『鳥を見て!』。

「劇場で観逃した!」というかたに朗報。5月2日(水)に『鳥を見て!』のDVDがリリースされました。詳細は公式の予告編にて

もちろん、既に劇場でご覧になったかたも、ぜひDVDで繰り返しご堪能ください。観れば観るほど、観るたびに、印象や感想が異なったり深まったりする、リピートし甲斐のある作品です。

左のお写真は、主人公のかおりを演じた七咲楓花さん。初日舞台挨拶での一枚です。


佐々木友紀監督、広澤草さん、片山享さんが、トークショーにご登壇

この記事では、初日舞台挨拶のお写真を交えつつ、4月16日(月)にポレポレ東中野にておこなわれた、佐々木監督、広澤さん(咲子役)、片山さん(弦太役)のトークショーの模様をお届け致します。DVDにて『鳥を見て!』をご覧になる際の予習・復習にご活用ください。

※左の画像は、4月16日のトークショー時のもの。左から、佐々木監督、広澤さん、片山さん(画像提供:アートポート)

『制限は否定なり』。安定=停滞、だと考えています(佐々木監督)

佐々木友紀監督
写真は4月14日に行われた
初日舞台挨拶時のもの(以下同)

佐々木友紀監督(以下、佐々木):『鳥を見て!』をご覧になって、いかがでしたか?

片山享さん(以下、片山) 佐々木監督とは、映画でお仕事をさせていただくのは2作目で、普段からのおつきあいもあるので、監督が考えていらっしゃることは、なんとなく判ります。本作を劇場で観たのは、(4月16日の)今日が初めてですが、(佐々木監督がおっしゃる)「制限は否定なり」という言葉のままだな、と思いました。「否定することはすごく簡単だが、耐久レースだ。おもしろいな」と思いながら拝見しました。

佐々木 「制限は否定なり」は、すごくよい言葉です。僕が考えたんですけど(会場笑)。
多くの劇場で上映している映画というものには、盛りあがったりさがったりする「物語」がちゃんとありますが、それで映画が進んでいくと、ものによってはすごく「安定」してしまいます。僕は「安定=停滞」だと考えているので、自分で制限をかけないことによって、より恒常的な映画を作りたいと思っています。そういう意味での制限はしています。

広澤草さん(以下、広澤) 「制限は否定なり」、本当に素晴らしいことだと思うんですよ。(映画では)なにをやってもよいと思うし、そうできることも少なくなっていると思うので。
(『鳥を見て!』の)撮影現場も、本当に制限がない感じでした。「佐々木監督の現場以外では、今のところ、こういう現場はないんじゃないかな」というくらいに。とても楽しい現場だったんですけど、佐々木監督ご自身が、終始、制限がない人なのかな、と思いました。(佐々木監督を見て)普段からそうですか?

佐々木 僕自身は、まだまだ制限だらけだと思っていますよ(笑)。

アドリブが多いように見えると思うが、実際にはすべてアドリブではない(片山さん)

片山 (本作をご覧になったかたには)役者のアドリブがすごく多いように見えると思うんですけど、実際にはすべてアドリブではないんです。動きに関するアドリブは多いですが、台詞に関しては9割8分くらいは監督からの(指示による)台詞でやっています。そういう意味では、監督はすごく制限しているんですよね。ですので、それを我々出演者がどのようにアレンジするか、という問題になってくるのですが、わからないことが非常に多いんです。監督と仕事をしていて、常々、悔しいと思うことです。(わからないことを)自分で考えるべきかどうか、その答えは見あたりませんが、僕はわからないのがすごく悔しいので、(だからこそ)監督とお仕事をさせていただくのは、とてもおもしろいんです。
監督ご自身は、つきつめていけば絶対に答えをちゃんとお持ちなので、そこを映画という媒体で表現できるのは素晴らしいことだと思っています。佐々木監督は、僕自身の映画というカテゴリーをだいぶ崩してくださる人です。

佐々木 映画を作っていると、撮影前も撮影中も、トラブル等いろいろなことが起こります。本作は、マイナス要因になる出来事が結構あった作品でした。でも、そのマイナス要因をプラスにしていかないとよい作品はできないので、(なにかが起こる)その都度、「じゃあ、どうしたらいいかなぁ」とすごく考えました。この『鳥を見て!』という作品に関しては、マイナス要因をすべてプラスにできて、当初考えていた脚本以上によい映画ができたと思っています。ですので、全体的に計算はして作っているんですよ。
(1本の)映画というものはスムーズにつながっていることが多いのですが、僕はあまりスムーズにつなげていないんです。自分の中でリアルと反リアルの戦いをちょっとずつしています。映画はバランスがすごく大事だと思っているのですが、この話は長くなるので、(声をかけてくだされば)個別に話します(会場笑)。
(広澤さんと片山さんを見て)最後に、いい感じの台詞を言ってください。

観ると確実になにかが残る作品(広澤さん)

広澤 本当、監督はこういう話のふりかたばかりするんですよ(会場笑)。
本作は、観ると確実になにかが残る作品になっていると思います。よい、悪い、おもしろい、つまらない、謎……、いろいろなことを含めて、残ると思っています。
本作が少しでも心に引っかかって、「佐々木監督は、次にどんな作品を撮るのだろう。どういうことをやるんだろう」というお気持ちにつながってくれたらな、と思います。佐々木監督は、ほかではできないことをやらせてくれるかたなので、私もまた監督とお仕事をさせていただきたいと思っています。

片山 今日、監督が着ているデヴィッド・リンチのTシャツとチェックのシャツは、僕がプレゼントしました(笑)。

<取材メモ>
広澤さんが演じた咲子は、佐々木監督の「当て書き」

「当て書き」とは、脚本家があらかじめ、「この役は○○さんが演じる」と想定して、その役者の個性や雰囲気に合わせて脚本を書くこと。『鳥を見て!』で広澤草さんが演じた咲子は、本作で佐々木監督がただひとり当て書きをなさったキャラクターだったそうです。「だから、広澤さんが出演をOKしてくださって、よかったです」と監督はおっしゃっていました。

《PLAY BACK! 初日舞台挨拶フォトセッション》


4月14日、ポレポレ東中野での初日舞台挨拶に駆けつけた、佐々木友紀監督と出演者のみなさま。左から、佐々木監督、七咲さん、広澤草さん、片山享さん、永峰絵里加さん、清瀬やえこさん。
キャストのかたがたに遠慮なさったのか、フォトセッションのはじめ、佐々木監督はみなさまから少し離れた位置に立たれていました。

 

▼『鳥を見て!』作品・公開情報
(2012年/日本/カラー/100分)
ビスタサイズ/ステレオ/HDV(一部劇場を除く)
監督・脚本:佐々木友紀
出演:七咲楓花 広澤 草 片山 享
永峰絵里加 清瀬やえこ 永井 努 黒田耕平
吹上タツヒロ 広江美奈 塚原大助
製作:松下順一
企画:高﨑正年
プロデューサー:小貫英樹 奥野邦洋
アシスタントプロデューサー:松下達郎 廣田将人
音楽:まついえつこ 原案:岩佐陽一
撮影:佐々木友紀 録音:荒井るり子 助監督:河村匡哉
制作プロダクション:東京レイダース
製作:アートポート 配給・宣伝:アートポート
(C)2012アートポート
青春H『鳥を見て!』公式サイト

※2012年4月14日(土)よりポレポレ東中野にてロードショー。5月2日(水)、DVDリリース。

取材・編集・文:香ん乃 スチール撮影:hal(初日舞台挨拶)

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