【実践映画塾 シネマ☆インパクト】鈴木卓爾監督インタビュー

  • 2012年02月09日更新

「この街の記憶が染み込む映画になると思うんです」

「既にどうやって映画を作るかっていうことに向いはじめている」

 2012年1月30日、シネマ☆インパクト第一期の大森立嗣監督コースの授業一日目を見学にいらした鈴木卓爾監督にインタビュー。鈴木監督は席を移動していろいろな角度から生徒たちをじっと見ていました。

― 授業をご覧になっていかがでしたか?

鈴木卓爾監督(以下、鈴木) いろいろな人がいますね。俳優コースだけでなく、制作コースの生徒も混じっていることで、既にどうやって映画を作るかっていうことに向いはじめている意志が見えました(編注:大森監督はいきなり生徒に「何やりたい?」と聞き「記録」と答えた女子生徒に「じゃあ記録やって」となんともライブな進行。しかも、彼女はその日、記録ビデオを撮ることに。記録ってそういうことなの? と教室が笑いに包まれました)
 最初の挨拶で、山本政志監督が「学校なんかにしたくない」と仰ったけど、映画作りたいわけですよね、2週間という時間の中で(編注:山本監督も授業中カメラを回し出していました)。大森監督もあらかじめ決められたレシピ(授業の進行のさせ方)を気にしないでやっているような気がして面白そうです。じゃあ自分もどうするかが試されるなあと思って見ていました。大森監督の次の瀬々敬久監督もまた違うやり方をされるようだし、僕はどうしようかなと今、考えています。

「撮影日は3月11日です」

― 今、考えていらっしゃることは?

鈴木 大森監督が、生徒たちにインタビューしているのを聞きながら、自分は映画に対してどれだけ素直になれるか? と考えていたんです。各クラス共通で早稲田から雑司ヶ谷エリアを撮影しますが、みんながどんなふうに映ったらいいだろうかと。

― ロケ地が決まっているんですね。

鈴木 日本ジャーナリスト専門学校を中心に半径500メートル内にあるロケ地を歩いて移動しつつ撮っていく形式になるんです。まるでオリエンテーリングみたいな撮影ですよね。必ず撮らなきゃいけない道が用意されていて、それ以外は自由なんですよ。
 この界隈って下町っぽいですね。神田川があって、坂道があって、雑司ヶ谷の鬼子母神もありますし。『東京兄妹』とか市川準監督作品によく使われている坂道もロケ地候補にあがっているんですよ。富士見坂 ― ここで撮影できるのは感慨深いものがありますよね。たまたまこのあたりをロケ地にしたのは、廃校になった日本ジャーナリスト専門学校が教室になったからなんですけど。この街の記憶が染み込む映画になると思うんです。こういう染み込みに一緒に染み込んでほしい。
 あと、僕のコースの撮影日は3月11日です。ちょうど去年の3月11日、僕は江戸川橋にいて神田川沿いを避難したんですよ。また今年の同じ日に同じ場所を撮ることになろうとは……。江戸川橋を一辺にして僕が勝手に「デルタ311」と呼んでいる場所がありまして、そこも映画の風景に入ってくるんじゃないかな。
 授業を受けようかまだ迷っている方に、3月11日、この日、一緒に映画作りませんか? と。

★鈴木監督の授業は2月27日〜3月11日です。

シネマ☆インパクトの事務室に、
ロケハンの地図が貼ってあります。
冒険の地図みたいです。
この地点にきっと宝が埋まっているのですね☆

※このワークショップの詳細・受講申し込み方法等は、「シネマ☆インパクト」公式サイトをご参照ください。

取材・編集・文:木俣冬


  • 2012年02月09日更新

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