『とびだす絵本3D』

  • 2010年10月25日更新

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親子2代、36年にわたり読み継がれてきた、名作絵本『ねずみくんのチョッキ』が、ついに3D映画化。お母さんが編んでくれた赤くてかわいいねずみくんのチョッキ。とりくんに貸してあげたら、次にさるくんがやってきて……?

ベストセラー絵本5作品が合わせて上映される『とびだす絵本3D』、合言葉は「みんなでぴょ~ん!」。優しいタッチで描かれた動物達が目の前で“ぴょ~ん”と動き出す、新しい形の「とびだす絵本」だ。

3D映画というと、鮮やかなグラフィックやめまぐるしい動き、迫力あるビジュアルなどが思い浮かぶが、この『とびだす絵本3D』は一味違う。原作そのままの優しいタッチで描かれたキャラクター達が、まるで子供に読み聞かせるように、ゆったりとしたリズムで話を展開させる。子供の頃、本作を親に読んでもらったことがある人は、その記憶が懐かしく蘇るだろう。

この「ねずみくん」シリーズの良いところは、主人公が「ねずみ」というとても小さい動物であること。話が進むにつれて徐々に現れる動物達は、小さなねずみくんとの対比で、その大きさがより強調される。子供の頃、動物園で初めて目にするぞうやキリンの大きさに、誰しもが驚いたことだろう。つまり、ねずみくんの目線は子供の目線と同じ。絵本から3D映画へとその舞台を変えることで、遠近感と適度な迫力が加わり、「大きいなあ」「高いなあ」「すごいなあ」などの言葉にされないねずみくんの感覚を、よりリアルに受け取ることができる。きっと子供にもその感覚が伝わり、新鮮な気持ちで楽しんでくれると思う。

また、本作では、『ねずみくん』シリーズの他に、同じくロングセラーの絵本である『ぴょーん』と『しりとり』も上映される。次々と出てくる物や動物の絵を追っていくという、言わば「絵本の原点」とも言えるシンプルな作品だが、まつおたかひで氏の絵の美しさは、大人の目も愉しませる。特に『ぴょーん』は3D映画でしか味わえない、ここだけのアトラクションだ。大人も子供も、動物達と一緒になって、参加するように楽しみたい作品である。

▼『とびだす絵本3D』作品・公開情報
日本/2010年/30分
総合監督:たかたまさひろ
歌と声:堀江美都子
「ねずみくん」シリーズ原作:なかえよしを 上野紀子
「ぴょーん」「しりとり」:まつおかたつひで
配給:ローソンエンターメディア
コピーライト:(C)「ぴょーん」「しりとり」 まつおかたつひで/ポプラ社 (C)「ねずみくんのチョッキ」「りんごがたべたいねずみくん」「ねずみくん 海へいく」なかえよしを・上野紀子/ポプラ社 (C)2010「とびだす絵本3D」製作委員会
『とびだす絵本3D』公式サイト
※2010年10月23日(土)、シネマイクスピアリほか全国順次公開。

文:しのぶ
改行

  • 2010年10月25日更新

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