『男と女 人生最良の日々』ー53年の時を経て同じスタッフ・キャストが再集結。あの愛の物語が再び始まる

  • 2020年01月24日更新

映画『男と女 人生最良の日』メイン画像甘美でスタイリッシュな映像と粋な台詞で男女の感情を細やかに掬い取り、多くの人々を魅了したクロード・ルルーシュ監督『男と女』(‘66)。テーマ曲も大ヒットしたこの作品は、カンヌ国際映画祭のパルムドールやアカデミー賞®最優秀外国語映画賞を受賞し、今なお愛の名作として語り継がれている。

その53年後、監督をはじめ、当時のスタッフやキャストが再集結し、老境を迎えた主人公ジャン・ルイとアンヌの新たな愛の物語を作り上げた。ただの懐かしさで終わらない、明るい希望さえ感じさせる珠玉の1作だ。2020年1月31日(金)  TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー。

人生の晩秋に再会を果たした“男と女”

映画『男と女 人生最良の日』サブ画像1

<STORY>いまや記憶を失いかけている元レーシング・ドライバーの男ジャン・ルイ。過去と現在が混濁するなかでも、かつて愛した女性アンヌのことだけを追い求めていた。そんな父親の姿を見た息子は、アンヌを探し出すことを決心。その想いを知ることになったアンヌはジャン・ルイの元を訪ね、そしてついに、別々の道を歩んでいた2人は再会を果たすことになる。長い年月が過ぎたいま、アンヌとジャン・ルイの物語がまたあの場所から始まろうとしていた……。

さらに魅力を増した仏映画界のレジェンドたち

映画『男と女 人生最良の日』サブ画像2

本作では全編にわたり名曲とともに昔のシーンが散りばめられ、現在と過去を行きつ戻りつする。パリ、ノルマンディーのホテル、海辺……。それは、ジャン・ルイとアンヌの記憶の片隅にある想い出が観客と共有される時間であり、2人の間の長い空白を埋めていく手段でもある。

再会の場面は、切なさが漂いつつも穏やかな風が吹き抜ける。目の前にいるアンヌを認識できず、同じ話を何度も繰り返すジャン・ルイ。時折見せるいたずらっ子のような表情がとてもチャーミングだ。彼女は戸惑いながらも、やがて包み込むような笑顔になり、聖母のような眼差しを彼に投げかける。

アヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャンは、撮影時80代半ばを過ぎていたが、どこまでも艶っぽく色っぽい。顔や手に刻まれた皺さえ彼らをより魅力的に見せる。人生も終盤に差し掛かった男女を主役にこれほど魅力的な作品を作ってしまうとは、心憎い限りである。

また、音楽担当として映画音楽の巨匠フランシス・レイが再登板(これが遺作となってしまったが)。まさに夢のようなコラボレーションが実現した。さらに、中年となった子どもたちを演じるのも53年前と同じ俳優だ。“男と女”を取り巻く家族の存在がより大きくなったことで、作品に温かさと深みが加わった。

この上ない感動と幸福感に包まれる

病気や老いという言葉で連想されがちな悲壮感ではなく、“今”を生きる2人に焦点を当てた本作は、前作の価値を高めるとともに、続編という言葉の一般的な解釈を超える傑作となった。

作中に引用されているヴィクトル・ユーゴーの「最良の日々はこの先の人生に訪れる」という言葉を噛みしめながら、感動と幸福感に包まれる。こんな経験はそう何度もできるものではない。ルルーシュ監督の描く2人の物語が永遠に続いてほしい、と心から思わずにはいられない。

>> 『男と女 人生最良の日々』予告編<<


▼『男と女 人生最良の日々』作品・公開情報

映画『男と女 人生最良の日』ポスタービジュアル(2019年/フランス/90分)
監督:クロード・ルルーシュ
出演:アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン、スアド・アミドゥ、アントワーヌ・シレ
音楽:カロジェロ、フランシス・レイ
宣伝プロデュース:サルーテ
配給:ツイン
© 2019 Les Films 13 – Davis Films – France 2 Cinéma

映画『男と女 人生最良の日々』公式サイト

※2020年1月31日(金)  TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー

文:吉永くま

  • 2020年01月24日更新

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