9月公開映画 短評 ―New Movies in Theaters―

  • 2018年08月31日更新

9月公開映画の中から、ミニシアライターが気になった作品をまとめてピックアップ! あなたが気になるのは、どの映画!?

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9/1(土)公開 『SPL 狼たちの処刑台』
9/15(土)公開『ウルフなシッシー』
9/28(金)公開『かごの中の瞳』
9/29(土)公開『運命は踊る』 『太陽の塔』

『SPL 狼たちの処刑台』

衝撃のバイオレンスアクション! 胸えぐる人間ドラマ!

映画『SPL 狼たちの処刑台』メイン画像ルイス・クー、トニー・ジャー、ラム・カートン、ウー・ユエ……アジアンアクション&香港ノワール好きなら悶絶必至のキャストに加え、監督は『イップマン』シリーズ等のウィルソン・イップ、アクション監督にはサモ・ハン・キンポーと、最強の布陣が集結! 香港の警察官(ルイス・クー)が、タイで失踪した一人娘を追って、現地警察官(ウー・ユエ、トニー・ジャー)と共に凶悪組織と死闘を繰り広げる。憤怒と悔恨を瞳に宿すルイス・クー、ウー・ユエの優しい表情、トニー・ジャーの不思議な存在感、狡猾さを巧みに表現するラム・カートンの演技がいずれも素晴らしい。衝撃のバイオレンスアクションと、皮肉な因果に導かれた哀しきドラマが胸をえぐる。(min)

2018年9月1日(土)より全国順次公開 公式サイト
(2018年/中国・香港/100分) 原題:『殺破狼:貪狼 Sha po lang: taam long』 監督:ウィルソン・イップ アクション監督:サモ・ハン・キンポー 出演:ルイス・クー、トニー・ジャー、ラム・カートン、ウー・ユエ ほか 配給:AMGエンタテインメント  © 2017 SUN ENTERTAINMENT FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.


『ウルフなシッシー』

愛すべきダメカップルのノンストップ痴話喧嘩

映画『ウルフなシッシー』メイン画像2017年度の「TAMA NEW WAVE」で、グランプリ、ベスト男優&女優賞の3冠に輝いたシニカルな脱力系コメディ。新米AV監督と売れない女優のカップルによる、夜もすがらの痴話喧嘩を延々と映し出す会話劇であり、うだつのあがらぬ男女のやりとりに笑いと悲哀がノンストップで込み上げてくる。監督・脚本・主演を務めた大野大輔のとぼけたキャラクターと、ヒロインを演じる根矢涼香の憮然とした演技のマッチングが絶妙。大野監督曰く「ルーザー同士の泥仕合」とのことだが、ときめきが怠惰に変わった男女の姿には、きっと誰もが多少の共感を覚えるはず。大野監督は本作で劇場公開デビュー。洒落がきいたタイトルもいい。(min)

2018年9月15日(土)より新宿K’s cinemaにてレイトショー上映 公式サイト
(2017年/日本/79分) 監督・脚本:大野大輔 出演:根矢涼香、大野大輔、真柳美苗、中村だいぞう、本村壮平 ほか 製作・配給:楽しい時代/モクカ ©楽しい時代/モクカ


『かごの中の瞳』

開眼手術で変貌したヒロインの欲望の行方は

映画『かごの中の瞳』メイン画像【幼い頃、事故で盲目になった女性が手術によって片眼の視力を取り戻し、現実を目の当たりにしたとき、冴えない中年男の夫は、幸せがこぼれ落ちていくことに耐えかねて……。】水中のイメージや、声だけが聞こえる「見えない世界」の表現が美しい。「現実の世界」を知り、自由を求めるほどねじ曲がっていく夫との関係・悶々とする心理状態が丁寧に描かれる。己の抑えきれぬ欲望に抗うのか、それとも従うのかという葛藤、 盲目の世界と見えている世界の狭間を、ユラユラとたゆたうようなヒロインの体験がリアルに感じられる瞬間、ゾクゾクする。善悪を隔てることなく、生身の人間の弱さと情熱をあぶり出す、見事な心理サスペンス。(市川はるひ)

2018年9月28日(金)より全国順次公開  公式サイト
(2016年/アメリカ/109分/R-15) 原題:『ALL I SEE IS YOU』 監督・脚本:マーク・フォースター 出演:ブレイク・ライヴリー、ジェイソン・クラーク、ダニー・ヒューストン ほか 配給:キノフィルムズ/木下グループ ©2016 SC INTERNATIONAL PICTURES. LTD


『運命は踊る』

軽快に踊るように、運命は人々を悲劇へ誘う

映画『運命は踊る』メイン画像【突然、軍役についている息子の訃報を受ける夫婦。運命を受け止めきれずにいる中、息子の死が誤報だったと知らされると、父親は「今すぐ息子を呼び戻せ」と激昂。一方、戦場ではある悲劇が……。】ストーリーは混み入っておらず、ギリシャ悲劇のような重厚さと、大きな仕掛けが土台になっている。夫婦の家では、細やかなカメラワークの中、アーティスティックな映像美を味わうことができる。一方、戦場は若者たちの世界。スタイリッシュで印象深い、グッとくるシーンが幾つもある。原題『Foxtrot(フォックストロット)』は、四角形を描くダンスステップ。このステップを踏みながら、運命は人々を翻弄しているのだろうか?(市川はるひ)

2018年9月29日(土)より全国順次公開 公式サイト
(2017年/イスラエル・ドイツ・フランス・スイス/113分) 原題:『Foxtrot』 監督:サミュエル・マオス 出演:リオル・アシュケナージ、サラ・アドラー、ヨナタン・シライ ほか 配給:ビターズ・エンド © Pola Pandora – Spiro Films – A.S.A.P. Films – Knm – Arte France Cinéma – 2017


『太陽の塔』

大阪万博のシンボルの謎と魅力を解き明かす

映画『太陽の塔』メイン画像1970年開催の大阪万博の象徴として建造され、その圧倒的な存在感と独創性で当時の人々の度肝を抜いた「太陽の塔」。鬼才・岡本太郎はなぜこの塔を作ったのか、各界の専門家やアーティスト等へのインタビューを通し、その謎と魅力に迫るドキュメンタリー。今年48年ぶりに内部展示「生命の樹」が一般公開され、一時サイトのサーバーがダウンするほど見学希望者が殺到した。この異形の塔が今も私たちの魂を惹きつけるのは、単に外観だけではなく、そこに込められた岡本氏のエネルギーとメッセージを知らず知らずのうちに受け取ってきたからではないだろうか。決して過去の遺物ではないことを改めて認識させられる。(吉永くま)

2018年9月29日(土)より全国順次公開 公式サイト
(2018年/日本/112分) 監督:関根光才 出演:平野暁臣、大杉浩司、織田梨沙 ほか 配給:パルコ © 2018 映画『太陽の塔』製作委員会

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