『エンドレス・ポエトリー』〜アレハンドロ・ホドロフスキー監督による、極彩色のリアリティ&ファンタジー再び!〜

  • 2017年11月18日更新


アレハンドロ・ホドロフスキーの自伝作品、第2弾。衝撃的な映像美とみずみずしい感性で、従来のファンをも驚かせた『リアリティのダンス』から3年。前作で少年だったアレハンドロの青年時代を描く。奇妙で魅力的な芸術家の友人や恋人との、美しくも残酷な、愛と幻想の日々。今回も極彩色の映像と、強烈な演出で観客を楽しませてくれる。
2017年11月18日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク渋谷ほか全国順次公開 ©2016 SATORI FILMS, LE SOLEIL FILMS Y LE PACTE
photo:©Pascale Montandon-Jodorowsky


詩人となった青年アレハンドロの、狂喜と光に満ちた日々
【あらすじ】チリのトコピージャから首都サンティアゴへ移住したホドロスキー一家。相変わらず暴君である父ハイメ(ブロンティス・ホドロフスキー)は「医者になれ」と言うが、少年アレハンドロ(イェレミアス・ハースコヴィッツ)は、詩人ガルシア・ロルカの詩集に出会い、感銘を受け、夢中になる。そして母サラ(パメラ・フローレンス)の実家に出かけた際、アレハンドロは「詩人になる」と宣言。それを見て心を動かした従兄弟のリカルドは、アレハンドロをアーティストたちが集うある姉妹の家に導く。そこで仲間たちに歓迎され、詩人としての生活を謳歌し始めるアレハンドロ(青年時代/アダン・ホドロフスキー)。やがて、詩人ニカノール・パラの詩に登場する「毒蛇女」のようなミューズとの出会いを夢見るようになる。ある日、詩人の集うカフェに出かけたアレハンドロの目の前に、真っ赤な髪をした、まさに理想通りの女性が登場して…。


88歳のホドロフスキーからの「生きろ!」というメッセージ
『リアリティのダンス』から3年、多くのファンに望まれ、続編が完成した。クラウド・ファンディングで1万人以上の協力により、資金を得たという。今回は、詩人となったアレハンドロと、彼を取り巻く芸術家仲間を描いた、青年期の物語。破天荒で魅力あふれる人物たち。画面いっぱい広がる極彩色のコスチュームや風景。前作からの期待を裏切らず、さらなる刺激に満ちた作品となった。88歳となっても進化し続けるホドロフスキー監督、そのみずみずしいイマジネーションと力強さには驚愕するばかりだ。なお、前作『リアリティのダンス』を観ていない方も十分楽しめるし、前作を観た方は新たな衝撃を感じるだろう。作品は全編を通し、滑稽な狂気と激しさに満ちているが、人生を完全に肯定した人生賛歌的であるのも素晴らしい。ホドロフスキー本人によれば、これは「”生きること”への招待状ともいうべき作品」なのだ。


青年時代の本人役を演じるのは…キャスティングにも溢れる凄み!
ホドロフスキーの作品では、出番の多少にかかわらず、登場人物はみな個性が強く、象徴的な存在だ。中でも、今回登場する女性ステラは、特に目を引く。赤い髪をし、強い目力で他人を睨みつけ、エキセントリックな行動を繰り返す。このステラを演じる女優は、今回、一人二役で出演しているのだが、この演じ分けもかなり衝撃的だ。また、青年アレハンドロ役には、末の実子であるアダン・ホドロフスキーをキャスティング。異様に権威的な父役も、前作に引き続き長男のブロンティス・ホドロフスキーが演じる。今回もエグいシーンが多いし、かなり過酷な撮影であったと想像される。父も子もあっぱれとしか言いようがない。そして、息子たちを演出するにあたって、アレハンドロ・ホドロフスキー監督は「内部は煮えくりかえってもソフトに礼儀正しく接した」と笑いながら「とてもとても美しい経験だった」とコメントしている。まさに、人生をまるごと芸術に捧げる一族なのだろう。作品を通して、芸術にすっかり身を任せた家族のコラボレーションを見守るのも、面白い体験なのだ。


▼『エンドレス・ポエトリー』作品・公開情報
(2016年/フランス、チリ、日本/128分/スペイン語/1:1.85/5.1ch/DCP)
原題・英題 :Poesía sin fin
監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
撮影:クリストファー・ドイル
出演:アダン・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、ブロンティス・ホドロフスキー、レアンドロ・ターブ、イェレミアス・ハースコヴィッツ
配給:アップリンク
●『エンドレス・ポエトリー』公式サイト

2017年11月18日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク渋谷ほか全国順次公開
©2016 SATORI FILMS, LE SOLEIL FILMS Y LE PACTE
photo:©Pascale Montandon-Jodorowsky

文:市川はるひ

  • 2017年11月18日更新

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