『女は冷たい嘘をつく』〜娘を思う母親の執念を描いたサスペンス。「嘘よりも恐ろしい真実」とは?〜

  • 2017年10月30日更新

あるシングルマザーが、わが子を連れ去ったベビーシッターの行方を追う中で、恐ろしい真実に出逢うサスペンス。韓国の女優ならではの激しい情念を抱いた迫力の演技が、人間ドラマとしての趣を深くし、本作をただのサスペンスではなく、感動を呼ぶ質の高いドラマに仕上げている。シネマート新宿/心斎橋の特集上映「のむコレ」にて上映。

10月30日(月)より シネマート新宿、11月10日(金)よりシネマート心斎橋にて公開 ※特集上映につき、タイムテーブルにご注意ください。©2016, DICE FILM & MEGABOX PLUS M, ALL RIGHTS RESERVED



孤立無援のシングルマザー、ジソンは自力で娘とベビーシッターを捜索するが・・・
【あらすじ】シングルマザーのジソン(オム・ジウォン)は、1歳の一人娘・ダウンの親権をめぐり、元夫と調停中。親権を勝ち取るためにも、生活を安定させようと必死に働いていた。そして留守中ダウンの世話を任せるベビーシッターとして、中国人女性のハンメ(コン・ヒョジン)を住み込みで雇い入れる。韓国語は片言でも子どもの扱いがうまいハンメを、ジソンは信頼していた。しかしある日突然、ハンメはダウンを連れ出したまま、戻らなくなってしまう。警察もあてにならないうえに、聞いていたハンメの身元情報がすべて嘘であったことがわかり、混乱してくジソン。さらに親権調停中であることから、ダウンが行方不明であること自体が、自作自演によるものではないか疑われ、ジソンは単身、ハンメの行方を追い始める。母親の執念で必死にダウンとハンメを探し回るジソンは、やがてハンメの衝撃的な秘密にたどり着く・・・。



八方ふさがりのシングルマザー。その母性に心を奪われる前半から急展開へ
「シングルマザーとは、こんなにも大変で、追い詰められるものなのか」という思いでいっぱいになる前半。ジソンは、仕事も決して順調とはいえず、必死に食らいついて収入を得ている。 第一子なので子育ての勝手も分からず、頼る人もいない中、とにかく、娘・ダウンとの平和な暮らしを守ろうと奮闘する。それなのに、元夫・元姑の強引で意地悪なこと! さらにそこへ降ってわいた災難、ベビーシッターが、愛する娘と行方知れずに。しかも行方をたどろうとしても、意図的に形跡を消されている。まさに泣きっ面に蜂。しかし、泣いた後は心を強く立て直し、自力で立ち上がる母親・ジソンのひたむきな姿に、ぐいぐいと引き込まれる。そうして、観客はガッチリとジソンに心を掴まれるものの、物語は中盤から急激に、ベビーシッター・ハンメの過去へとスポットが移っていく。



謎のベビーシッター・ハンメを演じるのは、ラブコメクイーンの、コン・ヒョジョン
謎に包まれたベビーシッターのハンメ役を演じているのは、女優コン・ヒョジョン。韓国ドラマ界では「ラブコメクイーン」として人気が高く、チャーミングな女優として名を馳せているという。しかし本作では、その雰囲気を一切排除し、重い秘密抱え、密かにうごめくミステリアスな中国人女性を熱演。この謎の女・ハンメと母親・ジソンの対決は、ストーリー上のみならず、女優の熱演合戦としても、息を飲む迫力がある。また、監督のイ・オニも女性。繊細でリアルな表現と、しっかり計算された演出により、観客を引き込むスケールの大きいドラマを作り出す。本作は、サスペンスの緊迫感と人間ドラマの感動、両方を味わえる「女たちによる映画」なのだ。



▼女は冷たい嘘をつく』作品・公開情報
(2016年/カラー/ビスタ/100分/韓国)
英題:『Missing』
監督:イ・オニ『アメノナカノ青空』
脚本:イ・オニ、ホン・ウンミ
撮影:キム・ソンアン
音楽:シム・ヒョンジョン
出演:コン・ヒョジン、オム・ジウォン、キム・ヒウォン
配給:クロックワークス
●シネマート新宿/心斎橋・のむコレ公式HP 

10月30日(月)より シネマート新宿、11月10日(金)よりシネマート心斎橋にて公開
※特集上映につき、タイムテーブルにご注意ください(シネマート新宿の上映日時:10/30月14:30・11/2木19:00・11/3金16:45・11/22水16:45)。
©2016, DICE FILM & MEGABOX PLUS M, ALL RIGHTS RESERVED

文:市川はるひ

  • 2017年10月30日更新

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