『まんが島』(まんがじま)〜サバイバルなトキワ荘? マンガ家以外立ち入り禁止の危険な島〜

  • 2017年03月25日更新

脚本家(『キツツキと雨』『ディアスポリス−DIRTY YELLOW BOYS−』)で俳優の守屋文雄 による、 構想10年の長編初監督作品。無人島にカンヅメになって描き続ける、売れないマンガ家5人の命がけの白日夢を描く。キャスト&スタッフの作品にかける異様な情熱と、関係者の強力なサポート力を感じる、お祭り騒ぎみたいな作品。 2017年3月25日(土)より、新宿K’sシネマにて公開、順次全国ロードショー©2017守屋文雄ー

 

マンガに命をかけたベレー帽の妖精たち

【あらすじ】マンガ家が住み着くいう、日本のどこかにある伝説的な無人島。この「離島のトキワ荘(※)」ともいうべき島に現在住んでいるのは、家賃滞納、締め切り放棄などの事情をかかえた四十路目前のマンガ家たち5人(水澤紳吾、守屋文雄、松浦祐也、宇野祥平、政岡泰志)。彼らは島にカンヅメになって渾身の作品を描き上げる。そして、船に乗って東京の出版社に持ち込み、ボツを食らっては、また島に戻ってくるのだった。無茶なアイディア、パクり、裏切り、励まし合い……大自然の中で波音を聞きながら、ひたすら作品作りに打ち込む、終わりなき青春の日々。しかしある日、ライフラインだった長平さん(長平:役名同じ)の船が島にやってこなくなり、紙も墨汁も尽きてしまった。飢餓とパニックに襲われ、彼らの作品は次第に狂気を帯び始める。そんな中、マンガ雑誌の編集者・冬田(川瀬陽太)が ハンバーガーを手土産に、「マンガ家以外立ち入り禁止」の札が立つこの島に降り立って……。

(※トキワ荘:昭和27年頃、手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫ら、日本のマンガ・アニメ文化の礎を築いた面々が青春時代を過ごした伝説のアパート)

 

スキ間なし、火を噴く情熱がすべて埋め尽くす

長編初監督とはいえ、脚本家・俳優として今まで業界で活動してきた守屋監督。しかし、アラフォー世代の作品とは思えない、情熱の塊のような、恐ろしく勢いがある作品だ。その掛け値なしの「火を噴く情熱」に、度肝を抜かれる人も多いだろう。「無難」とか「ほどほど」とかいったものが入り込むスキが、1ミリたりともない。行き過ぎなほどの情熱と狂気をまとい、全身に「汚し」をかけすぎている5人のマンガ家たち。さらに鼻水ほか、いろんなものが溢れる出てしまう熱演。やり過ぎ、という声も聞こえてきそうだ。しかし、その汚れっぷりに反して、海や川を抱く島の自然の風景は、とても大きく美しい。また、柳英里紗ら女優陣も、泥に咲いた花のようにみずみずしく映える。この淀みと美しさの対比が、横溝正史映画のごとく、作品全体を悪夢のように妖しく見せる。

 

「観たいものを作った」命がけのお祭り騒ぎ

関係者の間でも、作品評価の賛否が分かれているという本作。しかし守屋監督は「自分が観たいものを作る」というブレない思いがあったという。その意気は間違いなくスクリーンから伝わってくる。撮影もさぞハードだったことだろう。ちなみに「現場は本気の猛々しさがあり、それでいて楽しかった」とのこと。俳優の手加減なしのテンションはもちろんのこと、劇中に登場する力強く個性的な画の数々のマンガ、そして全編に流れるパワフルでユニークな打楽器による劇伴もすごい。ちなみにこの演奏は実際の洞窟で収録したそうだ。とにかく、お祭りのようなエネルギッシュな作品だ。

 

▼『まんが島』作品・公開情報

(2016年/日本107分/カラー/16×9 (1.78×1) / Dolby Digita / 5.1ch /ステレオ)

監督・脚本・編集・制作 : 守屋文雄

演奏:Aki-Ra Sunrise

漫画:岡田悠

出演:水澤紳吾、守屋文雄、松浦祐也、宇野祥平、政岡泰志、川瀬陽太、柳英里紗、笠木泉、森下くるみ、河原健二、長平、邦城龍明 ほか

●『まんが島』公式HP

2017年3月25日(土)より、新宿K’sシネマにて公開、順次全国ロードショー

©2017守屋文雄

文:市川はるひ

  • 2017年03月25日更新

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