ここでしか観ることのできない作品が目白押し。映画好きが加速する映画祭―第17回 東京フィルメックス

  • 2016年11月19日更新

11月19日より第17回東京フィルメックスがスタートする。今年も選りすぐりの22作品、そして選りすぐりのゲストが集結した。世界の三大映画祭すべてで受賞経験のあるキム・ギドク監督が新作『The NET 網に囚われた男』でオープニングを飾れば、モフセン・マルマフバフ監督は1990年以降、上映を禁止されていた幻の作品『ザーヤンデルードの夜』とともに作品を語りに東京にやってくる。これだけの巨匠たちの信頼を一身に集める東京フィルメックスの魅力は何といっても独自に掘り出された作品のラインナップだ。まだ世に出ていない監督を発掘し、もう一度見るべき名作を発掘する。その作品は社会を映す出す作品だったり、ごく私的な内面に問いかける作品だったりとバラエティに富んでいるが、どれも自分の内部の中で化学反応を起こさせてくれるような作品たちだ。そこで生まれた興味が別の映画作品を観ようと思わせてくれる。映画好きが加速するような作品に出会いに行こう。『ミニシアターに行こう。』からのおすすめ3作品をご紹介します。(写真は『タイペイ・ストーリー』)

 


三大映画祭常連、キム・ギドク監督の新作は北朝鮮の漁師が主人公
オープニング:『The NET 網に囚われた男』
韓国 / 2016 / 112分 / 監督:キム・ギドク
提供:キングレコード 配給:クレストインターナショナル
妻子と平穏な日々を送っていた北朝鮮の漁師・ナムは、網がエンジンに巻き込まれたトラブルにより、意に反して水上の韓国との国境を越えてしまう。韓国の警察に捉えられたナムは、スパイと疑われて拷問を受け、更には韓国への亡命を強要される。妻子の元にただ戻りたいだけのナムは自らの意思を貫き、ついに北朝鮮に戻ることになる。表面的には資本主義の誘惑に打ち勝った英雄として北朝鮮に迎えられたナムだったが、彼を待っていたのは更に過酷な運命だった……。キム・ギドク作品のトレードマークであった極端なバイオレンスは本作では封印され、体制に翻弄される一人の男の姿が重厚に描かれた傑作。ナムを演じたリュ・スンボムの熱演も見どころだ。
© 2016 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.
11月19日 19:10~ (開会式含む)


フィルメックスから発掘された監督が二度目のコンペに挑む
コンペティション部門:『ぼくらの亡命』
日本 / 2016 / 116分 / 監督:内田伸輝
配給:マコトヤ
東京近郊の森でテント暮らしをする昇は、人々への恨みを書道にしてテントに貼りつけて飾る日々を送っている。ある日、美人局をやらされている女性・樹冬と出会った昇は、彼女をその境遇から救う目的で誘拐する。昇は樹冬の男・重久に身代金を要求するが、重久は意に介さない。捨てられるのを恐れた樹冬は重久の元に戻るが、重久が別の女に美人局をさせているのを見て逆上し、重久を刺す。それを目撃した昇は「重久は死んだ」と嘘をつき、樹冬と共に日本を脱出することを企てる……。『ふゆの獣』で2010年東京フィルメックス最優秀作品賞を受賞した内田伸輝の最新作。”他者への依存”という内田作品に共通するテーマが極限に至るまでに展開された力作。
11月20日 18:10~


『独裁者と小さな孫』で観客賞を受賞したマフマルバフ監督は1990年の当局が没収した幻の作品を持ってフィルメックスに登場。直接監督に質問ができるQ&Aも。

特別招待作品:『ザーヤンデルードの夜』
イラン / 2016 / 63分 / 監督:モフセン・マフマルバフ
人類学者の父親と救急病棟で働くその娘のたどる運命をイスラム革命前、イスラム革命中、そしてイスラム革命後の3つの時代にわたって描き、マフマルバフ本人もその一端を担った1978年のイスラム革命の意味を鋭く問う作品。検閲によって25分間カットされた後、1990年のテヘラン・ファジル映画祭で上映されたものの、再度の検閲で上映自体が禁止となってネガが当局に没収されたため、それ以降イラン国内外を問わず全く見ることのできなかった幻の映画。近年、何らかの形でネガがイラン国外に持ち出されてロンドンで復元作業が行われ、本年のヴェネチア映画祭クラシック部門のオープニングを飾った。検閲前のオリジナル版は100分であったと言われる。

11月23日 19:10~

 



▼第17回 東京フィルメックス概要
名称 : 第17回 東京フィルメックス / TOKYO FILMeX 2016
期間 : 2016年11月19日(土) ~ 11月27日(日) (全9日間)
会場 :有楽町朝日ホール(有楽町マリオン) (メイン会場:11/20(日)〜11/27(日))
TOHOシネマズ 日劇
(オープニング[日劇1]、レイトショー会場[日劇2および3]:11/19(土)〜11/27(日))
● 第17回 東京フィルメックス公式サイト

(共催企画 Talents Tokyo 2016)有楽町朝日スクエア )

文:白玉

  • 2016年11月19日更新

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