『下衆の愛』― 世界を魅了する四畳半映画がいよいよ公開! ヒロインを演じた女優・岡野真也の進化と魅力に迫る

  • 2016年03月30日更新


最高に下衆な登場人物たちの織りなす人間模様と映画愛を描いた『下衆の愛』が、4月2日(土)より東京・テアトル新宿にて公開を迎える。第28回東京国際映画祭、第45回ロッテルダム国際映画祭で注目を浴びた本作は、インディーズ映画シーンという、身近だけれどちょっと特殊な世界を描く“四畳半映画”だ。メガホンを取るのは、国内外でカルト的な人気を誇る『グレイトフルデッド』の内田英治監督。主人公の売れない映画監督テツオを渋川清彦が演じ、でんでん、内田慈、忍成修吾、細田善彦、津田寛治、古舘寛治、木下ほうかといった強烈な個性の実力派俳優たちが脇を固める。

そんな極濃キャストの中で才能あふれる新人女優ミナミを演じたのが、映画や舞台に躍進中の岡野真也だ。これまで等身大の女の子を演じる事が多かった彼女が、本作ではイメージを覆すような妖艶な表情と体当たりの演技をみせる。

初主演作を務めた『飛べないコトリとメリーゴーランド』から約1年、2度目となる当サイトでのインタビュー。久しぶりに会った彼女は、「女優」という覚悟を身に纏った、おどろくほど魅力的な女性に成長していた。いったい、岡野真也に何があったのか? この作品はどう彼女を変えたのか? ――今の率直な思いを聞いた。


「自分の殻を破るにはこの作品しかない、この作品がいい!」と強く思いました

― 初主演作の『飛べないコトリとメリーゴーランド』でインタビューさせていただいて以来、1年弱ぶりにお会いします。ぐっと大人っぽく、さらに美しくなられましたね。

岡野真也さん(以下、岡野):本当ですか? うれしいです!

― 『下衆の愛』では、曲者ぞろいの個性派俳優陣に囲まれてヒロイン役を演じられました。ご出演が決まった時はどんな事を感じましたか。

岡野:こんなに、おもしろい俳優の方々と一緒に芝居ができるんだという感激と、うれしさで胸がいっぱいになりました。本当にありがたいと思いました。

― 内田英治監督とは以前からお仕事をされていたのですか?

岡野:以前、内田さんが演出をされたドラマ*にゲスト俳優として出演させていただいた事があります。その時に演じた役が、当初の設定よりも撮影しているうちにだんだん悪女になっていって(笑)。そのイメージが監督の中にあってミナミ役をいただけたのかなと思っています。この作品では、さらにガラッと変化を遂げる女の子を演じてほしいと言われました。
*『なぜ東堂院聖也16歳は彼女が出来ないのか? 』(2014/名古屋テレビ)

― 『下衆の愛』というタイトルも強烈ですが、「監督とプロデューサーは、全員クソ野郎!」という宣伝コピーもまたすごいですね(笑)。

岡野:ふふふ(笑)。たしかに、初めて脚本を読んだ時は、こんな人たちがいるのかな!? と思いました。いつの時代の話かなって。

― 渋川清彦さんも、東京国際映画祭の舞台挨拶で登場人物たちの濃さを「ファンタジー」と評されていましたね(笑)。内田監督は「脚本が過激なので、女優さんが寄り付かなくてキャスティングに苦労した」というお話をされていました。岡野さんは、この脚本をどう受け止めたのでしょうか。

岡野:最初に脚本を読んだ時から夢を追う熱い人々のステキな物語だと思いましたし、これまでに演じた事のない役でとてもやりがいを感じました。わたし自身は、過激さというフィルターを通して作品を見ていなかったですね。もちろん、過激なシーンも含めて、この作品の魅力ではあると思います。

― ご自身のブログにも、ミナミはとても思い入れの強い役になったと書かれていましたね。一番やりがいを感じた部分はどこでしょうか。

岡野:これまでは等身大のまじめな女の子の役が多くて、もっと幅広い役柄に挑戦したいという思いがあったんです。役者として、どうしたら一歩前進できるだろうと悩んでいた時にこの作品に出会えて。「自分の殻を破るにはこの作品しかない、この作品がいい!」と強く思いました。これまでにない芝居や表情を見せる事も、そうそうたるキャストの中でヒロインを演じる事も大きな挑戦でしたし、その機会を内田監督からいただけた事も、すべてがありがたかったし、やりがいを感じました。

― 妖艶な表情や、激しく感情を爆発させるシーンなど、これまで見た事のない岡野さんの演技に本当にドキドキしました。津田寛治さんとのシーンは特に印象的でしたが、どのように役作りをされたのですか?

岡野:今回は自分の中で前例のない表現や芝居でしたから、考えすぎても仕方ないというか。とにかく一つひとつの演技に集中するしかないと思いました。津田さんは、わたしに考える隙を与えないくらいの気迫で向かってきてくださって、気付いたらわたしもそれに応えるカタチになっていたんです。監督に「今のすごくいい表情していたよ」って言っていただけたのですが、そんな表情を作っていた事さえ分からなかったほど、芝居に入りこんでいました。

― すばらしい共演シーンだったのですね。ほかの共演者の方とのエピソードで印象的だった事はありますか?

岡野:皆さん、役にとても真剣に向き合っていて圧倒されました。でんでんさんはセリフの中でウンチクを語る事が多かったのですが、その一つひとつを徹底的に調べて、納得してから演技をされていたんです。本当に一字一句、芯の芯まで突き詰めていらして。すごいと思いましたし、ここまでするからこそ芝居を楽しめているんだという事を目の当たりにしました。

ミナミもわたしも女優として生きようともがいている

― ミナミが演技にかける情熱やひたむきさは、岡野さんそのものだと感じる場面が何度もありました。

岡野:そう思っていただけたのは、すごくうれしいです。わたしが女優として悩んだり、立ち止まったりした時の感情を、すべてミナミにぶつけようという思いで臨みました。ミナミもわたし自身も女優として生きようとしてもがいている。その姿を見ていただきたいですね。

― 以前、役者のおもしろさとは何かとうかがった時に、「カメラの存在を忘れるくらい役に入り込む瞬間があって、その感覚を知ってしまうとやみつきになってしまう」とおっしゃっていました。この作品ではそんな瞬間に出会う事ができたましたか?

岡野:はい。ミナミがボロボロになって教会に行くシーンは、その感覚に近い瞬間があったと思います。女優として生きていくという覚悟を決めるシーンで、ミナミが口にするセリフは、わたし自身の決意のセリフでもあるんです。

― 今回の役を演じた事で、周囲からはどういった反響がありましたか?

岡野:「今のタイミングで、この役をやって本当によかったと思うよ」という事は多くの方から言っていただきました。

― 岡野さんの女優としての成長や転機を感じさせる作品になったという事ですね! これから本作をご覧になる方にメッセージをお願いします。

岡野:本当に下衆だなー。こんな人いるのかなーと思いながらご覧になるかと思いますが(笑)。でも、何かしらの夢を追っている方や、その歩み方で迷っている方には刺激になる部分もあると思いますし、夢を追うってかっこいい姿だけじゃなくて、みっともない姿を晒してもいいんだって思ってもらえたらうれしいですね。そして、この作品を経た、これからの岡野真也も見ていただきたいと思っています。最高に下衆で、最高にすてきな四畳半映画を楽しんでください!

 

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一目惚れで購入したという私物のオックスフォードシューズ。スクールガール風の清楚なファッションと、フォトセッションで見せてくれた大人びた表情のギャップに、今回も取材班はメロメロにされてしまいました。

担当ライターのひとこと:「マヤ、おそろしい子……(白目)!!! 」

 

 

▼『下衆の愛』作品・公開情報
(2015年/日本/110分)
監督:内田英治
プロデューサー: アダム・ トレル
出演:渋川清彦 、岡野真也、でんでん、内田慈、忍成修吾、細田善彦 、津田寛治 、古舘寛治 、木下ほうか ほか
製作会社:サートドウィンドウフィルムズ
配給:エレファントハウス
コピーライト:© third window films

【ストーリー】
売れない映画監督のテツオは、40歳目前にして夢を諦めきれないパラサイトニート。女優志望を自宅に連れ込んでは手込めにする自堕落な毎日を送っていた。しかしある日、才能溢れる新人女優・ミナミとの出会いにより再び映画への情熱を燃やす。「裸と動物」にこだわる昭和風味満載のプロデューサーや、枕営業に精を出す売れない女優、自らのハメ撮りで生計をたてる助監督など、映画界の底辺でもがく仲間たちと最後の賭けに出ようとするテツオ。しかし、そこには過酷な現実の壁が立ちふさがり……。

※2016年4月2日(土)よりテアトル新宿ほか全国順次ロードショー

●『下衆の愛』公式サイト

取材・編集・文:min  スチール(インタビュー):hal

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