『ラブ&マーシー  終わらないメロディー』〜ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン、その苦悩に満ちた壮絶な半生〜

  • 2015年08月01日更新

軽快なサウンドと美しいハーモニーで今でも愛され続けるザ・ビーチ・ボーイズ。その中心的メンバー、ブライアン・ウィルソンの苦悩と葛藤の半生。人気絶頂の中、新たなサウンドへ挑戦するも、傷つきながら挫折。音楽活動のみならず人生まで崩壊したブライアンが、20年の時を経て完全復活を遂げるまでを描く。数々の名曲が彩るブライアン・ウィルソン衝撃の半生が、本人公認のもと映画化。『それでも夜は明ける』のスタッフ、そしてジョン・キューザック&ポール・ダノが二人一役を見事に体現する。8/1(土)、角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
©2015 Malibu Road, LLC. All rights reserved.



人気絶頂からの転落。天才ミュージシャン、ブライアン・ウィルソンの壮絶な苦悩の年月。
1960年代、カリフォルニア。ザ・ビーチ・ボーイズは人気の頂点にいた。だが、新たな音を求めてスタジオで曲作りに専念するブライアン・ウィルソン(ポール・ダノ)は、メンバーや威圧的な父との確執が深まり、精神的に追い詰められ、薬物に逃避するようになる。心血を注いだアルバム『ペット・サウンズ』も不振に終わり、次作へのプレッシャーから心が完全に折れ、ブライアンは表舞台から姿を消す。それから20余年後、美しく聡明な女性メリンダ(エリザベス・バンクス)との出会い が、中年になったブライアン(ジョン・キューザック)に再び希望の光をもたらす。惹かれ合う二人。そしてメリンダの協力のもと、ブライアンは自分の本当の音楽を取り戻すために立ち上がる。しかし、二人の前に精神科医のユージン(ポール・ジアマッティ)が立ちはだかる。ユージンは、ブライアンを不当な治療と叱責で服従させ、そのすべてを管理しようとしていた……。



孤独を乗り越えLove&Mercy(愛と慈愛)に満ちた人生を得たブライアン・ウィルソン
キャッチーな曲調、太陽を思わせる明るい若者文化を表現したザ・ビーチ・ボーイズの数々の楽曲。デビュー当時からその才能を発揮しながら、ブライアン・ウィルソンは絶頂の人気から一気に転落、挫折と苦痛に満ちた道のりを歩んだ。あまつさえ精神まで崩壊していたという本作で描かれる彼の半生は、ザ・ビーチ・ボーイズの曲調とはあまりにかけ離れた壮絶さだ。70代となった現在も「生ける伝説」として活躍するブライアン・ウィルソンは、一流ミュージシャンにもファンをもつほど、奥の深い才能の持ち主である。復活後の楽曲は、’60年代同様の美しいハーモニーは残しつつ、年齢と経験を重ね、より人々の心に深く入り込むように素晴らしい。若き日のブライアンが心身を病むほど深く傷ついたのは、音楽への強い想いだけではなく、壊れた人間関係が家族や友人など、もともと近しい存在だったこともあるだろう。冷徹な孤高の天才ではなく、家族や友人を思う情の深さ。そんなブライアンの側面を知ることで、彼の楽曲がより味わい深く感じられるかもしれない。孤独を乗り越え、愛と慈愛に満ちた人生を得たブライアンの半生を堪能しよう。



ブライアンの内面を体験したかのような描写。運命に飲み込まれてゆく沈鬱な心理に迫る!
本作は『ブロークバック・マウンテン』や『それでも夜は明ける』など、数々の濃厚な人間ドラマをプロデュースしてきたビル・ポーラッドの初監督作。今までの実績を活かすように、本作でも容赦なく運命に飲み込まれてゆく沈鬱な心理に迫り、観客がブライアンの内面を体験したかのような描写も重なり、リアルな人物像を描いている。主人公を二人一役で演じるというアイディアのもと、二人の演技派俳優をブライアンにキャスティング。’60年代の若き日のブライアンを演じるのは、ポール・ダノ。見事な歌声も披露しながら生き生きとレコーディングに興じる様や、傷つき崩壊してゆく姿を丁寧かつリアルに演じ、ブライアンの苦しみを観客に刻み付ける。一方、’80年代を演じるのは、ジョン・キューザック。長年病んで世離れし、哀愁に浸りきった表情に、変わり者風なユーモアと優しさを同居させる。その表情は、現在のブライアン・ウィルソンを彷彿させるようでもある。二人の演じるブライアンを交互に登場させることで、作品では描かれない20年の年月を私たちに想像させてくれる。



▼『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』作品・公開情報
2015年/アメリカ/英語/122分/ビスタ/カラー/デジダル5.1ch
原題:LOVE & MERCY
監督・製作:ビル・ポーラッド
出演:ジョン・キューザック、ポール・ダノ、エリザベス・バンクス、ポール・ジアマッティ
脚本:オーレン・ムーヴァーマン、マイケル・アラン・ラーナー
音楽:アッティカス・ロス
『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』公式HP

監修:萩原健太
配給:KADOKAWA
8/1(土)、角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
©2015 Malibu Road, LLC. All rights reserved.
文:市川はるひ

  • 2015年08月01日更新

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